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物件タイプ・間取り別|リロケーションにかかる費用相場と節約のコツ

最終更新日

転勤・海外赴任時の家の扱い

「リロケーションしたいと思っているけど、いくらくらいかかるもの?費用が知りたい」
「リロケーションをするときって費用はどうやって計算したらいい?自分のパターンを算出したい」

転勤や一時的な転居などでリロケーションを検討している方のなかには、このように費用を知りたい方は多いのではないでしょうか。

リロケーション費用は、戸建てとマンションで異なり、東京都江東区を例にすると以下が目安です。

戸建て
3LDK 4LDK〜
賃料 30万円 40万円〜
総額 約394万5,000円~ 約457万5,000円~
マンション
1R・1K 1LDK
(1DK)
2LDK
(2DK)
3LDK 4LDK〜
賃料 約14万円 約25万円 約38万円 約48万円 約100万円〜
総額 約264万9,000円 約335万9,500円 約435万5,000円 約441万4,000円 約778万円

諸経費から税金まで、すべてのリロケーションにかかる費用を計算すると、数百万単位の資金が必要になることをおわかりいただけるでしょう。

とはいえこちらの金額はあくまで一例であり、実際はオーナーの収入や物件の築年数、リフォームの有無などあらゆる条件で変動します。

そこで本記事では、リロケーションの費用をあなたのケースで当てはめて計算できるよう、時系列、項目別にお伝えしていきます。

本記事の最後にはリロケーション費用を抑えるコツも解説しますので、ぜひご覧ください。

意外とかかる!リロケーション費用の全体像

まずは、リロケーション費用の全体像をみていきましょう。

まずは相場や全体像を把握いただくため、東京都江東区の築5年程度の戸建てとマンションを例にとり、それぞれのおおよその費用相場をお見せいたします。

戸建て
3LDK 4LDK〜
賃料 30万円 40万円〜
総額 約394万5,000円~ 約457万5,000円~
マンション
1R・1K 1LDK
(1DK)
2LDK
(2DK)
3LDK 4LDK〜
賃料 約14万円 約25万円 約38万円 約48万円 約100万円〜
総額 約264万9,000円 約335万9,500円 約435万5,000円 約441万4,000円 約778万円

※あくまでも一例で、築年数や室内の設備状況などにより異なります。

意外にかかると感じる方もいるのではないでしょうか。

ここからはより詳細にお伝えしていきます。

リロケーションの費用全体像(1)戸建て

戸建てをリロケーションで貸す場合の費用を以下の条件で仮定すると、以下のとおりです。

所在地:東京都江東区
築年数:築5年
間取り:3LDK・4LDK
修 繕:軽微なもののみ
想定家賃:3LDK30万円/月 4LDK40万円/月
年間家賃収入:3LDK420万円 4LDK480万円
年収:700万円
管理会社:委託(手数料:家賃の5%)
入居期間:12か月
3LDK 4LDK〜
賃料 30万円 40万円〜
貸す前 8万5,000円~ 9万5,000円~
契約時 約32万5,000円~ 約45万5,000円~
入居者決定時 75万円~ 100万円~
運用中 約276万円~ 約318万~
帰任時 2万5,000円~ 2万5,000円~
総額 約394万5,000円~ 約457万5,000円~

これらの費用は賃料やエリア、依頼する管理会社などによって変動するため、あくまでも概算として認識しておいてください。

2.【時系列・項目別】戸建てでリロケーションにかかる費用」からは各タイミングごとにどのような費用がかかるのか、細かく見ていきます。

リロケーションの費用全体像(2)マンション

マンションをリロケーションで貸す場合の費用を以下の条件で仮定すると、以下のとおりです。

所在地:東京都江東区
築年数:築5年
修 繕:軽微なもののみ
年収:700万円
管理会社:委託(手数料:家賃の5%)
入居期間:12か月
1R・1K 1LDK
(1DK)
2LDK
(2DK)
3LDK 4LDK〜
賃料 約14万円 約25万円 約38万円 約48万円 約100万円〜
貸す前 1万5,000円〜 2万円〜 3万5,000円〜 5万円〜 6万5,000円〜
契約時 16万5,000~ 29万5,000円~ 40万5,000円〜 50万5,000円~ 102万5,000円~
入居者決定時 35万円~ 62万5,000円~ 95万円~ 120万円~ 250万円~
運用中 約209万4,000円~ 約239万4,500円~ 約294万円 約263万4,000円~ 約416万5,000円
帰任時 約2万5,000円~ 2万5,000円~ 2万5,000円~ 2万5,000円~ 2万5,000円~
総額 約264万9,000円 約335万9,500円 約435万5,000円 約441万4,000円 約778万円

これらの費用は賃料やエリア、依頼する管理会社などによって変動するため、あくまでも概算として認識しておいてください。

3.【時系列・項目別】マンションでリロケーションにかかる費用」からは各タイミングごとにどのような費用がかかるのか、細かく見ていきます。

【時系列・項目別】戸建てでリロケーションにかかる費用

戸建てでリロケーションにかかる費用は、以下のとおりです。

タイミング 費用項目 費用目安
貸す前 原状整備・ハウスクリーニング費用 8万5,000円~
リフォーム費用 数十万円〜数百万円
契約時 契約締結・入居者決定時にかかる費用 賃料の1ヶ月分+1万円
鍵交換費 1万5,000円~10万円
入居者決定時 契約書類作成・事務手数料 賃料の1ヶ月分
仲介手数料 賃料0.5~1か月分+消費税
広告費 賃料の1~2か月分
運用中 管理手数料 賃料の5~12%
毎月・定期的にかかる費用
・修繕費(積立)
7,000円~1万円
毎月・定期的にかかる費用
・火災・地震保険料
約1万9,600〜8万円
毎月・定期的にかかる費用
・所得税・住民税
・固定資産税・都市計画税
状況に応じて変動
帰任時 退去〜再利用時にかかる費用 2万5,000円~

築年数や間取り、住宅の状態に応じて費用はかなり変動するため、一概にはいえません。

この章では東京都世田谷区の住宅を一例として、3LDKと4LDK〜の戸建てをリロケーションする場合の費用を見ていきます。

各章を参考にしながら、自分のケースと比較しながら確認してみてください。

【貸す前】原状整備・ハウスクリーニング費用:8万5,000円~

貸す前にかかる原状整備・ハウスクリーニング費用は、住む前の状態に整えたり、入居者が住める状態にするために必要です。

家の状況や年数などによって変動するので、戸建ての場合は広さに寄らず、最低でも10万円弱を見積もっておきましょう。

【毎回発生(目立った修繕・損傷なし)】

必要になる費用項目 3LDK:35坪前後 4LDK〜:40坪前後~
室内クリーニング
(エアコン、水回り、床など)
7万~11万円 8万~14万円
庭掃除 作業員1人1日あたり1万5,000円から3万円程度
庭の広さや状態により異なるため、要見積り

【+αで発生】

必要になる費用項目 必要なケース一例 3LDK:35坪前後 4LDK〜:40坪前後~
クロスの張り替え 破け
喫煙
ペットの飼育
40万円~ 50万円~
床の張り替え 表面剥がれ
床鳴り・沈み
32万5,000~120万円 50万円~
外壁クリーニング カビ・藻・コケ 約3万円〜6万円 約4万円〜10万円
雨樋清掃 詰まり
破損
2万5千円〜3万円
足場の設置が必要な場合:+15万〜25万円

部屋の広さや使用状況、損傷の程度によって原状整備・ハウスクリーニング費用は大きく変動します。

  • クロスの張り替え:ごく小さな隙間・ひび割れ:5,000円~1万円程度
  • 床の張り替え:5㎠未満ほどのごくわずか:6,000~2万1,000円

とくに戸建ては面積が広く、庭や外回りのメンテナンスも必要になるため、全体的に費用が高くなる傾向にあります。

吹き抜けや階段の有無といった内装の構造も、費用の変動要因です。

自宅の状態と照らし合わせながら、必要な項目を確認し、想定される費用を把握しておきましょう。

【貸す前】リフォーム費用:数十万円〜数百万円

貸す前は、住まいの状態に応じてリフォーム費用が発生します。
費用はリフォーム箇所によって大きく変動し、数十万円〜数百万円に広がります。

どこまでリフォームすべきかは、築年数をひとつの判断基準として考えるとわかりやすくなるので、以下の表を参考に、自宅がどこに該当するか確認してください。

築年数 リフォーム内容 費用
【最低限のリフォーム】
築1〜10年
コンロ→IH 10~30万円(工事・本体費用込み)
給湯器の交換 10〜25万円(工事・本体費用込み)
外壁・シーリングの軽微補修 25万円〜45万円
※補修方法によって変動する
【設備の寿命が一気に来るゾーン】
築11年~20年
水回り設備の全入れ替え 100~300万円(工事・本体費用込み)
外壁・屋根塗装リフォーム 80万円前後〜
【間取りそのものが今のニーズと合わない!大規模リフォーム検討】
築21年~
間取りの変更(壁の撤去) 5~30万円(6畳間の場合)
※面積、コンセントの有無等で異なる
和室から洋室への変更 35~100万円(6~8畳間の場合)
※部分か和室全体かで異なる

リロケーションは自宅であっても一時的に「賃貸化」することから、入居者トラブルを避けるためにも不具合がすでに出ていたり、今後出るであろう設備は優先して交換する判断が重要です。

コンロと給湯器は10年が使用目安のため、築年数8年を過ぎているようであれば交換したほうがいいでしょう。

また築21年以上になると「家そのものが現在の生活スタイルに合っているか?」を見直す必要があるため、入居率を高める方法を視野に入れましょう。

【契約時】契約締結・入居者決定時にかかる費用:約賃料の1ヶ月分+1万円

リロケーション会社との契約時には、契約締結・入居者決定時にかかる事務系コストが発生します。

費用項目 詳細 費用
管理委託申込料 入居者募集や広告掲載にかかる費用 1万円前後
保証料 賃貸契約の敷金に近いもので、原状回復費用に充てられる 賃料の1ヶ月分

東京都世田谷区の築10~15年の物件を例に、以下の家賃相場となっているので、参考にしてください。

エリア 3LDK 4LDK〜
東京都世田谷区 26万4500円 29万3,000円〜

家賃の相場は、地域や築年数により異なります。

自宅エリアの周辺相場を知らない場合は、SUUMOHOME'Sなどのポータルサイトなどを参考にすると、おおよその相場感を把握できます。

【契約時】鍵交換費:1万5,000円~10万円

トラブルを避けるためには鍵交換が必須となり、費用目安は1万5,000円~10万円です。

鍵交換費用は鍵のグレードによって大きく変わる項目で、費用と防犯性のバランスを考えると、とくにおすすめなのがディンプルシリンダーキーです。

戸建てでは、防犯性能が十分でありながら費用を抑えた「入居者トラブルになりにくい鍵」を選ぶ必要があります。

なぜなら、高額な鍵ほど防犯性や利便性に優れる反面、紛失・破損時の交換費が高額になり、借主負担となる場合には不満やトラブルにつながりやすいためです。

その点、ディンプルシリンダーキーは防犯性能が高く、費用も過度に高額になりにくいため、迷ったときにはもっともバランスの良い選択肢といえます。

【入居者決定時】契約書類作成・事務手数料:賃料の1ヶ月分

契約書類作成・事務手数料とは、賃貸借契約を締結するために必要な書類作成や手続き、審査などの事務的な業務に対して、支払う費用です。

費用目安は賃料の1か月分となり、以下が目安です。

エリア 費用 3LDK 4LDK〜
東京都世田谷区 賃料1か月分 26万4500円 29万3,000円〜

【入居者決定時】仲介手数料:賃料0.5~1か月分+消費税

入居者が決まったら、仲介手数料を支払います。

仲介手数料とは、入居者とオーナーの間に立って、契約を成立させるための不動産会社への報酬です。成功報酬に対して発生するため、契約書類作成や事務手数料とは別の費用となります。

仲介手数料は宅地建物取引業法によって「賃料1か月分+消費税」が上限と定められており、相場は賃料の0.5~1か月分です。

東京都世田谷区の築10~15年の物件を例にすると、以下が仲介手数料の相場となっているので、参考にしてください。

エリア 費用 3LDK 4LDK〜
東京都世田谷区 家賃相場 26万4500円 29万3,000円〜
賃料1か月分+消費税 29万0,950円 32万2,300円〜
賃料0.5か月分+消費税 14万5,475円 16万1,150円〜

なお、誰が仲介手数料を負担するかは不動産会社ごとに異なります。

オーナー負担の場合もあれば、入居者負担・折半・無料プランなどケースはさまざまなため、事前に確認しておきましょう。

【入居者決定時】広告料:賃料の1~2か月分

入居者が決まった際、不動産会社に支払う「広告料(AD)」が発生する場合があります。

広告業務一例

  • 募集図面(マイソク)作成
  • 物件写真撮影・加工
  • ポータルサイト(SUUMOHOME'Sなど)への掲載
  • 不動産業者専用の物件データベースへの掲載
  • 仲介会社への紹介活動

これは、入居者募集のためにおこなわれた各種広告・営業活動に対する成功報酬で、賃料の1~2か月分が相場です。

【広告料:東京都世田谷区の築10~15年の物件例】

エリア 費用 3LDK 4LDK〜
東京都世田谷区 家賃相場 26万4500円 29万3,000円〜
賃料1か月分 26万4500円 29万3,000円〜
賃料2か月分 52万9,000円 58万6,000円〜

広告料は、物件があるエリアの競争状況や募集時期によっても大きく変動します。
競合物件が多い場所や、動きが鈍い時期は、広告料が高くなる傾向がある点を理解しておきましょう

また、不動産会社によっては、広告料を管理委託料に含めるケースや広告料が無料のプランなど、料金体系が異なる場合があります。

そのため、入居者募集を依頼するときは、

  • 広告料は発生するのか
  • 金額はいくらか
  • どこまでの業務が含まれるのか

をリロケーション会社に問い合わせて、事前に確認しておくことが大切です。

【運用中】管理手数料:賃料の5~12%

リロケーションをする場合、不動産会社に管理手数料を支払う必要があります。

管理手数料の相場は家賃の5~12%前後となっており、東京都世田谷区の築10~15年の物件を例にすると以下のようになります。

エリア 費用 3LDK 4LDK〜
東京都世田谷区 家賃相場 26万4500円 29万3,000円〜
5% 1万3,225円 3万1,740円〜
12% 1万4,650円 3万5,160円〜

管理委託料には以下のような項目が含まれていますが、不動産会社によって異なるため、注意が必要です。

  • 入居者募集
  • 契約関連業務
  • 家賃管理や滞納に対する対応
  • 入居者のトラブルやクレームへの対応
  • 更新や退去手続き
  • 修繕や設備メンテナンス手配

含まれていない項目についてはオーナー自身で対応するか、可能であればオプション追加、難しければ別途専門業者へ依頼するなどを検討しなければなりません。

費用に直結する部分であるため、どこまで管理会社に任せられるのかを事前に必ず確認しておきましょう。

【運用中】毎月・定期的にかかる費用:状況に応じて変動

リロケーションするにあたって、入居中も毎月・定期的に発生するランニングコストを把握しておく必要があります。

費用項目 詳細 費用
修繕費(積立) 設備交換・軽微補修・突発トラブルに備える 月数千〜1万円程度
火災・
地震保険料
建物の火災・水災、地震に備える保険料 地震保険付き:
5年一括:32万〜40万円
年払い換算:約64,000〜80,000円
地震保険なし:
5年一括:9万8,000〜17万円
年払い換算:約1万9,600〜3万4,000円
所得税・住民税 不動産所得に応じて発生する税金 収益や年収(所得)により変動
固定資産税・
都市計画税
不動産を所有している人に毎年かかる税金 現在支払っている金額を参照

所得:1年間に得た収入から、必要な経費を差し引いた「手元に残る利益」のこと

戸建てはマンションのように共用部がなく、建物すべてをオーナーの持ち出しで修繕しなければならないため、修繕費を積み立てていくことは必須です。

国土交通省の「民間賃貸住宅の計画修繕ガイドブック」にも長期修繕計画の重要性と資金積立の必要性が明記されており、「月々1戸あたり約7,000円」の積立例が紹介されています。

またリロケーションにより収入を得るようになれば、所得税・住民税が発生することも忘れてはいけません。

税額は収益だけでなく、累進課税制度によりオーナー自身の年収(所得)によっても変動します。

【例:年間家賃収入120万円の場合の税額イメージ】

所得900万円のオーナーの場合

年間家賃収入:120万円
必要経費:40万円(管理費・修繕積立など)
不動産所得:80万円
所得税率:23%
住民税:10%
所得税:80万円 × 23% = 18万4,000万円
住民税:80万円 × 10% = 8万円
合計:26万4,000円

所得400万円のオーナーの場合

年間家賃収入:120万円
必要経費:40万円(管理費・修繕積立など)
不動産所得:80万円
所得税率:10%
住民税:10%
所得税:80万円 × 10% = 8万円
住民税:80万円 × 10% = 8万円
合計:16万円

このように、オーナー自身の所得によって不動産所得の税額が大きく変わるため、ご自身のケースに当てはめて計算する必要があります。

所得税は国税庁によって以下のように定められているため、自身のケースに当てはめて計算してみてください。

課税所得金額 税率 控除額
1,000円 から 1,949,000円 5% 0円
1,950,000円 から 3,299,000円 10% 97,500円
3,300,000円 から 6,949,000円 20% 427,500円
6,950,000円 から 8,999,000円 23% 636,000円
9,000,000円 から 17,999,000円 33% 1,536,000円
18,000,000円 から 39,999,000円 40% 2,796,000円
40,000,000円 以上 45% 4,796,000円

出典:国税庁「No.2260 所得税の税率」

【帰任時】退去時にかかる費用:2万5,000円~

リロケーション契約が終了し、オーナーが帰任・再入居する際には、退去時特有の費用 が発生します。
ここでは、一般的に必要となる主な費用と、その内容・目安をまとめました。

費用項目 詳細 費用
退去立会い費用 室内確認や、原状回復費用の説明、鍵返却などの立会作業 1万円程度
※原状回復工事を管理会社に依頼する場合は無料となるケースも多い
原状回復・
ハウスクリーニング費
壁紙交換・床補修・室内清掃などの整備 2-1.【貸す前】原状整備・ハウスクリーニング費用」を参照
室内設備交換・再リフォーム費 給湯器・水回り・エアコンなどの設備交換、内装リフォーム 2-2.【貸す前】リフォーム費用」を参照
鍵交換費用 トラブル防止のため、必ず交換する 1万5,000円~10万円

入居者が退去するとき、経年劣化や通常使用による損耗は、法律上オーナー負担となるため入居者に請求できません。

一方、入居者の故意・過失による破損や汚損は、入居者負担での原状回復が可能です。

オーナー負担 入居者負担
・壁紙の日焼け
・床材の軽いすり減り
・設備の故障(給湯器・エアコン等の寿命)
・ゴムパッキンの劣化
・換気扇モーターの寿命
・明らかな破損(穴あけ、落書き)
・過失による水濡れ・汚損
・喫煙によるヤニ汚れ
・ペットによる傷

リロケーションで貸し出していた期間が長いほど、設備の寿命や経年劣化による補修が増え、帰任時の費用はオーナー負担が中心となりがちです。

契約時に退去費用の「負担区分」を明確にしておくことで、トラブルや不要な出費を防ぐことができます。

負担区分 詳細
クリーニング費・鍵交換費 物件によって扱いが違うため、誰が負担するか明記する
喫煙・ペットの飼育 どのような場合に誰がどこまで負担するのか明記する
例:
室内喫煙の場合 → 壁紙張替えは入居者負担
ペット飼育の場合 → 補修費の一部を入居者負担とする特約をつける
設備故障の判断基準 トラブルを避けるため、状況に応じた判断方法を明記する
例:
給湯器の自然故障 → オーナー負担
フィルター未清掃でのエアコン故障 → 入居者過失で入居者負担

【時系列・項目別】マンションでリロケーションにかかる費用

マンションをリロケーションに出す場合にかかる費用は、以下のとおりです。

タイミング 費用項目 費用
貸す前 原状整備・ハウスクリーニング費用 1万5,000円〜
リフォーム費用 数十万円~数百万円
契約時 契約締結・入居者決定時にかかる費用 賃料の1ヶ月分+1万円
鍵交換費 1万5,000円~10万円
入居者決定時 契約書類作成・事務手数料 賃料の1ヶ月分
仲介手数料 賃料0.5~1か月分+消費税
広告費 賃料の1~2か月分
運用中 管理手数料 賃料の5~12%
修繕積立金 4,000円~(状況による)
管理費 4,000円~(状況による)
火災・地震保険料 3,000円~2万1,000円
毎月・定期的にかかる費用
・所得税・住民税
・固定資産税・都市計画税
状況による
帰任時 退去〜再利用時にかかる費用 2万5,000円〜(状況による)

築年数や間取り、住宅の状態に応じて費用はかなり変動するため、一概にはいえません。

この章では東京都港区のマンションを一例として、広さ別にリロケーションする場合の費用を見ていきます。

各章を参考にしながら、自分のケースと比較しながら確認してみてください。

【貸す前】原状整備・ハウスクリーニング費用:1万5,000円〜

自宅をリロケーションに出す場合、住む前の状態に近づけるための原状整備やハウスクリーニング費用がかかります。

部屋の広さや室内の状況によって費用は異なりますが、3万円~50万円以上が相場です。

【毎回発生(目立った修繕・損傷なし)】

必要になる費用項目 1R・1K 1LDK
(1DK)
2LDK
(2DK)
3LDK 4LDK〜
室内クリーニング
(エアコン、水回り、床など)
1万5,000〜2万5,000円 2万~4万5,000円 3万5,000~5万3,000円 5万~10万円 6万5,000円~

【+αで発生】

必要になる費用項目 必要なケース一例 1R・1K 1LDK
(1DK)
2LDK
(2DK)
3LDK 4LDK〜
クロス(壁紙)の張替え 破け
喫煙
ペットの飼育
8万~15万円 24万~50万円 36万~78万円 52万~120万円 60万円~
床張替え 表面剥がれ
床鳴り・沈み
6万~15万円 12万~45万円 22万5,000~97万5,000円 32万5,000~120万円 50万円~

損傷の程度や交換が必要な箇所がどれだけあるかによって、費用には大きな差が生じます。

・クロスの張り替え:ごく小さな隙間・ひび割れ:5,000円~1万円程度
・床の張り替え:5㎠未満ほどのごくわずか:6,000~2万1,000円

たとえば、軽微な汚れのみで簡易クリーニングだけで済む場合は、4LDK以上の広い物件でも10万円前後に収まることがあります。

しかし、喫煙によるヤニ汚れ・ニオイ、ペット飼育による床の引っかき傷などが目立つ場合は、クロスや床材の交換が必要です。

1R・1Kといった小規模な部屋でも15万円以上の費用が発生するケースがあるので把握しておきましょう。

貸す前】リフォーム費用:数十万円~数百万円

貸す前には、設備や部屋の状況に応じてリフォームが必要になる場合があります。

リフォーム箇所や内容によって費用は異なり、数十万円~数百万円ほどかかります。

築年数 リフォーム内容 費用
【最低限のリフォーム】
築1〜10年
コンロ
マンションでは管理規約上「IH不可」の場合もある
10~30万円(工事・本体費用込み)
給湯器の交換 10〜25万円(工事・本体費用込み)
【設備の寿命が一気に来るゾーン】
築11年~20年
水回り設備の全入れ替え 100~300万円(工事・本体費用込み)
【間取りそのものが今のニーズと合わない!大規模リフォーム検討】
築21年~
間取りの変更(壁の撤去) 5~30万円(6畳間の場合)
※面積、コンセントの有無等で異なる
和室から洋室への変更 35~100万円(6~8畳間の場合)
※部分か和室全体かで異なる

築1〜10年でも、とくに注意したいのがコンロと給湯器です。

いずれも寿命の目安は約10年とされますが、築8年を過ぎたあたりから不具合が出始めるケースが増える ため、次の入居前に交換を検討しておくと安心でしょう。

一方、キッチンや浴室などの水回り設備は、耐用年数を踏まえると築11~20年のタイミングでまとめてリフォームするのが合理的です。

耐用年数:設備や部材が「大きな支障なく使える期間」として一般的に認められている目安年数

耐用年数あくまでも目安であり、必ずこの年数で故障するというわけではありませんが、計画的なメンテナンスの基準となります。

水回り設備は導入時期が同じケースが多く使用頻度が高いため、劣化が同時期に進むことから、このタイミングで一度に交換すると、工事費や施工期間を抑えられます。

仮にまだ使える設備をそのまま使用する場合は、専門業者に点検を依頼し、故障やトラブルが生じていないかを確認しましょう。

【契約時】契約締結・入居者決定時にかかる費用:賃料の1ヶ月分+1万円

契約時には、契約締結・入居者決定時にかかる事務系コストが発生します。

費用項目 詳細 費用
管理委託申込料 入居者の募集を依頼するときの着手金のようなもの 1万円前後
保証料 賃貸契約の敷金に近いもので、原状回復費用に充てられる 賃料の1ヶ月分

賃料の相場は、築20年以内の東京都港区の家賃相場を例に紹介すると、以下のとおりです。

エリア 1R・1K 1LDK
(1DK)
2LDK
(2DK)
3LDK 4LDK〜
東京都港区 約14万円 約25万円 約38万円 約48万円 約100万円〜

家賃の相場は、地域や築年数により異なります。

自宅エリアの周辺相場を知らない場合は、SUUMOHOME'Sなどのポータルサイトなどを参考にすると、おおよその相場感を把握できます。

【契約時】鍵交換費:1万5,000円~10万円

トラブルを避けるためには、マンションをリロケーションするときの鍵交換は必須となり、費用目安は1万5,000円~10万円です。

鍵交換費用は鍵のグレードによって大きく変わる項目であり、費用と防犯性のバランスを考えると、もっともおすすめなのがディンプルシリンダーキーです。

賃貸物件では、「防犯性と費用のバランスが取れた鍵」を選ぶことが大切です。

高性能な鍵ほど防犯面や使い勝手に優れていますが、紛失や破損した際の交換費用も高額になるため、借主負担となったときに入居者の不満につながり、トラブルに発展する可能性があります。

ディンプルシリンダーキーは、高い防犯性能を持ちながら交換費用も比較的抑えられるため、賃貸物件に最適な選択肢といえます。

【入居者決定時】契約書類作成・事務手数料:賃料の1ヶ月分

契約書類作成・事務手数料とは、賃貸借契約を締結するために必要な書類作成や手続き、審査などの事務的な業務に対して、支払う費用です。

費用目安は賃料の1か月分となり、以下が目安です。

【東京都港区の築10~15年の物件例】

1R・1K 1LDK(1DK) 2LDK(2DK) 3LDK 4LDK〜
東京都港区 約14万円 約25万円 約38万円 約48万円 約100万円〜

入居者が決まったら、仲介手数料を支払います。

仲介手数料とは、入居者とオーナーの間に立って、契約を成立させるための不動産会社への報酬です。

仲介手数料は宅地建物取引業法によって「賃料1か月分+消費税」が上限と定められており、相場は賃料の0.5~1か月分です。

【東京都港区の築10~15年の物件例】

1R・1K 1LDK(1DK) 2LDK(2DK) 3LDK 4LDK〜
東京都港区 約14万円 約25万円 約38万円 約48万円 約100万円〜
賃料1か月分+消費税 約15万4,000円 約27万5,000円 約41万8,000円 約52万8,000円 約110万円〜
賃料0.5か月分+消費税 約7万7,000円 約13万7,500円 約20万9,000円 約26万4,000円 約55万円〜

なお、誰が仲介手数料を負担するかは不動産会社ごとに異なります。

オーナー負担の場合もあれば、入居者負担・折半・無料プランなどケースはさまざまなため、事前に確認しておきましょう。

【入居者決定時】広告料:賃料の1~2か月分

入居者が決まった際、不動産会社に支払う「広告料(AD)」が発生する場合があります。

広告業務一例

  • 募集図面(マイソク)作成
  • 物件写真撮影・加工
  • ポータルサイト(SUUMOHOME'Sなど)への掲載
  • 不動産業者専用の物件データベースへの掲載
  • 仲介会社への紹介活動

これは、入居者募集のためにおこなわれた各種広告・営業活動に対する成功報酬で、賃料の1~2か月分が相場です。

【東京都港区の築20年の物件例】

1R・1K 1LDK(1DK) 2LDK(2DK) 3LDK 4LDK〜
東京都港区 約14万円 約25万円 約38万円 約48万円 約100万円〜
賃料1か月分 約14万円 約25万円 約38万円 約48万円 約100万円〜
賃料2か月分+消費税 約28万円 約50万円 約76万円 約96万円 約200万円〜

広告料は、物件があるエリアの競争状況や募集時期によっても大きく変動します。
競合物件が多い場所や、動きが鈍い時期は、広告料が高くなる傾向がある点を理解しておきましょう

また、不動産会社によっては、広告料を管理委託料に含めるケースや広告料が無料のプランなど、料金体系が異なる場合があります。

そのため、入居者募集を依頼するときは、

  • 広告料は発生するのか
  • 金額はいくらか
  • どこまでの業務が含まれるのか

を問い合わせで事前に確認しておくことが大切です。

【運用中】管理手数料:賃料の5~12%

リロケーションをする場合、不動産会社に管理手数料を支払う必要があります。

管理手数料の相場は家賃の5~12%前後となっており、東京都港区の築20年の物件を例にすると以下のようになります。

【東京都港区の築20年の物件例】

1R・1K 1LDK(1DK) 2LDK(2DK) 3LDK 4LDK〜
東京都港区 約14万円 約25万円 約38万円 約48万円 約100万円〜
5% 約7,000円 約1万2,500円 約1万9,000円 約2万4,000円 約5万円〜
12% 約1万6,800円 約3万円 約4万5,600円 約5万7,600円 約12万円〜

管理委託料には以下のような項目が含まれていますが、不動産会社によって異なるため、注意が必要です。

  • 入居者募集
  • 契約関連業務
  • 家賃管理や滞納に対する対応
  • 入居者のトラブルやクレームへの対応
  • 更新や退去手続き
  • 修繕や設備メンテナンス手配

含まれていない項目についてはオーナー自身で対応するか、可能であればオプション追加、難しければ別途専門業者へ依頼するなどを検討しなければなりません。

費用に直結する部分であるため、どこまで管理会社に任せられるのかを事前に必ず確認しておきましょう。

【運用中】修繕積立金:4,000円~(状況による)

マンションをリロケーションする場合、現在支払っている修繕積立金は入居中も引き続きオーナーが支払う必要があります。

修繕積立金は 専有面積に応じて金額が決まる方式が一般的で、相場は200〜300円/㎡/月が目安です。

東京都港区の分譲マンションに多い専有面積帯で換算すると、毎月のおおよその金額は以下のようになります。

エリア 1R・1K 1LDK
(1DK)
2LDK
(2DK)
3LDK 4LDK〜
広さ目安 20〜25㎡ 35〜45㎡ 50〜65㎡ 70〜80㎡ 85〜100㎡
修繕積立金 4,000〜7,500円 7,000〜13,500円 10,000〜19,500円 14,000〜24,000円 17,000〜30,000円

修繕積立金は管理組合の方針や共用設備の規模により変動し、築年数が古いマンションでは段階的に増額されるケースもあります。

リロケーションするにあたって現在の金額のまま計算して問題ありませんが、将来的に増額される可能性は十分あることを理解しておきましょう。

【運用中】管理費:4,000円~(状況による)

リロケーションするとき、現在支払っているマンションの管理費用はオーナーがそのまま負担します。

管理費はマンションの規模や地域、設備などによって変動し、国土交通省の令和5年度マンション総合調査では、平均230.1円/㎡です。

【東京都港区の築20年の物件例】

エリア 1R・1K 1LDK
(1DK)
2LDK
(2DK)
3LDK 4LDK〜
広さ目安 20〜25㎡ 35〜45㎡ 50〜65㎡ 70〜80㎡ 85〜100㎡
管理費 4,602〜5,752円 8,053〜1万354円 1万1,505〜1万4,956円 1万6,107〜1万8,408円 1万9,558〜2万3,010円

管理費用は以下のようなマンション全体の基本運営費で、区分所有している限り支払義務がある費用です。

・共用部分の維持管理
・管理会社への委託費
・エレベーター・清掃・照明
・ごみ置き場・設備維持

そのため自分が住んでいる場合はもちろん、誰かに貸していても空室でも必ずオーナーが支払う必要があります。

たとえば点検費用には以下のようなものがあり、年間15万円程度の費用が管理費からまかなわれることになります。

費用項目 検査箇所 費用詳細 年間
消防設備点検 ・機器点検
・総合点検
▼機器点検3万円/回÷戸数×2回(半年に1回)
▼総合点検3万円/回÷戸数(年1回)
数千~数万円
建築設備定期検査 ・換気設備
・排煙設備
・非常用の照明装置
・給水設備
・排水設備
3万円~6万円/回(年1回) 6~12万円
エレベーター法定点検 ・エレベーター 4万円~6万円(年1回)÷戸数
※設備点検から劣化部品の交換や修理を含む場合
数千円
簡易専用水道管理状況検査 ・水道設備の確認
・水質検査
1.5万円~2万円/回(年1~2回)÷戸数 数千円

なお、マンション管理組合や委託先の管理会社が点検費用の一部を負担する場合もあるため、事前に具体的な金額や負担範囲を確認することが大切です。

【運用中】毎月・定期的にかかる費用:状況による

リロケーションするにあたって、入居中も毎月・定期的に発生するランニングコストを把握しておく必要があります。

費用項目 詳細 費用
火災・
地震保険料
建物の火災・水災、地震に備える保険料 地震保険付き:
5年一括:9万1,000〜10万5,000円
年払い換算:約1万8,200〜2万1,000円
地震保険なし:
5年一括:〜1万5,000円
年払い換算:〜3,000円
所得税・
住民税
不動産所得に応じて発生する税金 収益や年収(所得)により変動
固定資産税・
都市計画税
不動産を所有している人に毎年かかる税金 現在支払っている金額を参照

所得:1年間に得た収入から、必要な経費を差し引いた「手元に残る利益」のこと

リロケーションにより収入を得るようになれば、所得税・住民税が発生することも忘れてはいけません。

税額は収益だけでなく、累進課税制度によりオーナー自身の年収(所得)によっても変動します。

【例:年間家賃収入120万円の場合の税額イメージ】

所得900万円のオーナーの場合

年間家賃収入:120万円
必要経費:40万円(管理費・修繕積立など)
不動産所得:80万円
所得税率:23%
住民税:10%
所得税:
80万円 × 23% = 18万4,000万円
住民税:
80万円 × 10% = 8万円
合計:26万4,000円

所得400万円のオーナーの場合

年間家賃収入:120万円
必要経費:40万円(管理費・修繕積立など)
不動産所得:80万円
所得税率:10%
住民税:10%
所得税:
80万円 × 10% = 8万円
住民税:
80万円 × 10% = 8万円
合計:16万円

このように、オーナー自身の所得によって不動産所得の税額が大きく変わるため、ご自身のケースに当てはめて計算する必要があります。

所得税は国税庁によって以下のように定められているため、自身のケースに当てはめて計算してみてください。

課税所得金額 税率 控除額
1,000円 から 1,949,000円 5% 0円
1,950,000円 から 3,299,000円 10% 97,500円
3,300,000円 から 6,949,000円 20% 427,500円
6,950,000円 から 8,999,000円 23% 636,000円
9,000,000円 から 17,999,000円 33% 1,536,000円
18,000,000円 から 39,999,000円 40% 2,796,000円
40,000,000円 以上 45% 4,796,000円

出典:国税庁「No.2260 所得税の税率」

【帰任時】退去〜再利用時にかかる費用:2万5,000円~(状況による)

リロケーション契約が終了し、オーナーが帰任・再入居する際には、退去時特有の費用 が発生します。
ここでは、一般的に必要となる主な費用と、その内容・目安をまとめました。

費用項目 詳細 費用
退去立会い費用 室内確認や、原状回復費用の説明、鍵返却などの立会作業 1万円程度
※原状回復工事を管理会社に依頼する場合は無料となるケースも多い
原状回復・
ハウスクリーニング費
壁紙交換・床補修・室内清掃などの整備 3-1.【貸す前】原状整備・ハウスクリーニング費用」を参照
室内設備交換・再リフォーム費 給湯器・水回り・エアコンなどの設備交換、内装リフォーム 3-2.【貸す前】リフォーム費用」を参照
鍵交換費用 トラブル防止のため、必ず交換する 1万5,000円~10万円

入居者が退去するとき、経年劣化や通常使用による損耗は、法律上オーナー負担となるため入居者に請求できません。

一方、入居者の故意・過失による破損や汚損は、入居者負担での原状回復が可能です。

オーナー負担 入居者負担
・壁紙の日焼け
・床材の軽いすり減り
・設備の故障(給湯器・エアコン等の寿命)
・ゴムパッキンの劣化
・換気扇モーターの寿命
・明らかな破損(穴あけ、落書き)
・過失による水濡れ・汚損
・喫煙によるヤニ汚れ
・ペットによる傷

リロケーションで貸し出していた期間が長いほど、設備の寿命や経年劣化による補修が増え、帰任時の費用はオーナー負担が中心となりがちです。

契約時に退去費用の「負担区分」を明確にしておくことで、トラブルや不要な出費を防ぐことができます。

負担区分 詳細
クリーニング費・鍵交換費 物件によって扱いが違うため、誰が負担するか明記する
喫煙・ペットの飼育 どのような場合に誰がどこまで負担するのか明記する
例:
室内喫煙の場合 → 壁紙張替えは入居者負担
ペット飼育の場合 → 補修費の一部を入居者負担とする特約をつける
設備故障の判断基準 トラブルを避けるため、状況に応じた判断方法を明記する
例:
給湯器の自然故障 → オーナー負担
フィルター未清掃でのエアコン故障 → 入居者過失で入居者負担

実際にリロケーションするといくらになる?費用シミュレーション

リロケーションでかかる費用について、おわかりいただけましたでしょうか。

ただし先述の通り、地域や広さ、築年数や間取りなどで左右されます。

ここからはリロケーションで総額いくらになるのか、戸建てとマンションごとにシミュレーションしながら見ていきたいと思います。

戸建ての場合

次のモデルケースの場合に、戸建てをリロケーションするときの費用総額のシミュレーションをお伝えします。

所在地:東京都江東区
築年数:築5年
間取り:3LDK(約35坪)
修 繕:軽微なもののみ
想定家賃:26万円/月
年間家賃収入:312万円
年収:700万円
管理会社:委託(手数料:家賃の5%)
入居期間:12か月

このような前提条件の場合に、戸建てをリロケーションに出すと年間で約401万〜410万円かかります。

具体的な費用項目と、ここまで紹介した単価感をもとにした費用目安を見ていきましょう。

タイミング 費用項目 内容 費用シミュレーション
貸す前 原状整備・ハウスクリーニング費用 ・軽微な壁紙補修
・ハウスクリーニング
約15万円
リフォーム費用 ・コンロの入れ替え 約10万円
契約時 契約締結・入居者決定時にかかる費用 ・管理委託申込料
・契約事務手数料
・保証料
約27万円
鍵交換費 ・ディンプルシリンダーキー 1万5,000円
入居者決定時 契約書類作成・事務手数料 ・契約書作成・審査・事務手続きなど 26万円
仲介手数料 ・入居者を紹介 約26万円
広告費 ・入居者募集広告 約26万円
運用中 管理手数料 ・家賃管理・トラブル対応など 年間:15万6,000円
毎月・定期的にかかる費用 ・修繕費(積立) 年間:12万円
毎月・定期的にかかる費用 ・火災保険地震付き 年間:約6.4万〜8万円
毎月・定期的にかかる費用 ・所得税・住民税 年間:約216〜220万円
毎月・定期的にかかる費用 ・固定資産税・都市計画税 年間:約10万〜13万円
帰任時 退去〜再利用時にかかる費用 ・ハウスクリーニング
・給湯器の交換
・鍵交換
・扉・床・壁など軽微補修
約30万円
総額 約401万〜410万円
戸建てを貸すときに必要な費用の合計:約401万〜410万円
〇内訳
・貸す前:25万円
・契約時:28万5000円
・入居者決定時:78万円
・運用中:約260万円万円
・帰任時:30万円

戸建てはマンションよりも修繕箇所が広範囲になりがちですが、築5年程度であれば設備の故障リスクや大規模なリフォームの必要性が少ないため、負担は最小限で済むケースが多いでしょう。

各費用の相場を把握し、ご自身の戸建てをリロケーションに出す場合の総額を一度試算してみてください。

マンションの場合

つづいて次のモデルケースの場合に、マンションをリロケーションするときの費用総額のシミュレーションをお伝えします。

▼前提条件

所在地:東京都江東区
築年数:築5年
間取り:2LDK(約60㎡)
階 数:5階建てマンションの5階(最上階)
修 繕:軽微なもののみ
想定家賃:18万円/月
年間家賃収入:216万円
年収:700万円
管理会社:委託(手数料:家賃の5%)
入居期間:12か月

このような前提条件の場合に、マンションをリロケーションに出すと約390万円〜408万円かかります。

タイミング 費用項目 内容 費用シミュレーション
貸す前 原状整備・ハウスクリーニング費用 ・軽微な壁紙補修
・ハウスクリーニング
約10万円
リフォーム費用 ・コンロの入れ替え 約10万円
契約時 契約締結・入居者決定時にかかる費用 ・管理委託申込料
・保証料
約19万円
鍵交換費 ・ディンプルシリンダーキー 1万5,000円
入居者決定時 契約事務手数料 書類作成・手続き・審査 18万円
仲介手数料 ・入居者を紹介 約18万円
広告費 ・入居者募集広告 約18万円
運用中 管理手数料 ・家賃管理・トラブル対応など 年間:10万8,000円
修繕積立金 ・200〜300円/㎡×12か月(60㎡想定) 年間:約17万3,000〜26万円
管理費 ・230円/㎡×12か月(国交省平均) 年間:約16万5,600円
毎月・定期的にかかる費用 ・火災保険地震付き 年額:約2万
毎月・定期的にかかる費用 ・所得税・住民税 年間:約179万〜182万円
毎月・定期的にかかる費用 ・固定資産税・都市計画税 年間:約10万~12万円
帰任時 退去〜再利用時にかかる費用 ・ハウスクリーニング
・給湯器の交換
・鍵交換
・扉・床・壁など軽微補修
約20万円
総額 約390万円〜408万円

▼費用合計と内訳

マンションを貸すときに必要な費用の合計:約390万円〜408万円
〇内訳
・貸す前:約20万円
・契約時:約20万5000円
・入居者決定時:約54万円
・運用中:約235万〜249万円
・帰任時:約20万円

今回のケースでは、追加の設備工事が発生しない前提のため、初期費用は比較的抑えられる想定です。

しかし帰任後に壁紙がかなり汚れている場合や、水回り設備の全入れ替えをするとなれば、数十万円から100万円プラスになることもあります。

各費用の相場を参考にしながら、貸し出し時の総額を確認してみてください。

リロケーション費用を安くするコツ

リロケーション費用のシミュレーションはできましたでしょうか。

最後に、リロケーション費用を安くなるコツを以下3つ解説します。

  • 相場を踏まえて「必要な部分だけ」整える
  • ハウスクリーニングや設備交換などをするときは各箇所をまとめておこなう
  • 複数の不動産会社に査定・見積りを依頼する

順番に見ていきましょう。

相場を踏まえて「必要な部分だけ」整える

リロケーションをするにあたって、相場を踏まえて「必要な部分だけ」整えることで費用を抑えられます。

貸し出す前に室内を整える必要がありますが、すべてを新品にリフォームする必要はありません。

必要な部分だけでもリロケーションは可能

  • 汚れが目立つ壁紙は部分補修
  • 設備は故障や不具合があるものだけ交換
  • フローリングは表面の剥がれのみなら補修で対応

このように「最低限の整備」で問題なく募集できるケースは多く、余計なリフォームを避けるだけで数十万円単位の節約につながります。

自分で判断するのは難しいですが、賃貸管理を任せる不動産会社は多くの物件を扱っているため、
入居が決まりやすい状態にするための最適なラインを教えてくれます。

たとえば、「今は補修だけでOK」「これは交換しないと入居がつきにくい」など、相場と市場を踏まえたアドバイスがもらえるため判断材料にしましょう。

ハウスクリーニングや設備交換などをするときは各箇所をまとめておこなう

リロケーション前の自宅の整備は、各箇所をできるだけ同じタイミングでまとめて依頼することで費用を抑えられます。

バラバラに頼むと、そのたびに出張費や作業費が発生するため、結果的に割高になりやすいのが実情です。

たとえば水回りは5点セットでハウスクリーニングを依頼したり、トイレ交換のタイミングで給湯器やエアコンなども同時に交換したりすると、数万円単位の節約になるケースも多いです。

必要以上に整備する必要はありませんが、以下のようなケースでは同時に見積りを取り、まとめて依頼するほうが結果的に安く済みます。

  • 近いうちに交換が必要そうな設備がある
  • クリーニングしたい箇所が多い
  • 立ち合いを減らして手間も減らしたい

複数の不動産会社に査定・見積りを依頼する

リロケーションをするときは、複数の不動産会社に査定・見積りを依頼しましょう。

不動産会社選びは収益を大きく左右するため、リロケーションを成功させるうえで、最重要ポイントです。

管理手数料、広告費、仲介手数料の取り扱い、修繕時の対応方針などは会社によって大きく異なり、同じ条件でも年間で数万〜数十万円の差が出ることもあります。

1社だけだと「これが普通か…」と思いがちですが、複数社比較で「本当に条件の良い会社」が見えてきます。

最低でも3~4社から見積りを取り、比較しましょう。

不動産会社の比較ポイント

〈そもそも自身の物件に対応しているか〉
  • 対応エリア
  • 物件種類
〈信頼できる会社か?〉
  • 会社の信頼性
  • 実績
  • 口コミの良さ
〈収益性〉
  • 家賃査定額
  • 管理手数料と内訳
  • 広告費
  • 契約時の初期費用
〈維持管理の対応力〉
  • 修繕対応の方針・費用
  • トラブル対応力

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まとめ

リロケーションするときの費用について、おわかりいただけましたでしょうか。

最後に本記事の要点についてまとめていきます。

◎戸建てをリロケーションで貸す場合の費用を以下の条件で仮定すると、以下のとおりです。

所在地:東京都江東区
築年数:築5年
間取り:3LDK・4LDK
修 繕:軽微なもののみ
想定家賃:3LDK30万円/月 4LDK40万円/月
年間家賃収入:3LDK420万円 4LDK480万円
年収:700万円
管理会社:委託(手数料:家賃の5%)
入居期間:12か月
3LDK 4LDK〜
賃料 30万円 40万円〜
貸す前 8万5,000円~ 9万5,000円~
契約時 約32万5,000円~ 約45万5,000円~
入居者決定時 75万円~ 100万円~
運用中 約276万円~ 約318万~
帰任時 2万5,000円~ 2万5,000円~
総額 約394万5,000円~ 約457万5,000円~

◎【時系列・項目別】戸建てでリロケーションにかかる費用は以下のとおりです。

タイミング 費用項目 費用目安
貸す前 原状整備・ハウスクリーニング費用 8万5,000円~
リフォーム費用 数十万円〜数百万円
契約時 契約締結・入居者決定時にかかる費用 賃料の1ヶ月分+1万円
鍵交換費 1万5,000円~10万円
入居者決定時 契約書類作成・事務手数料 賃料の1ヶ月分
仲介手数料 賃料0.5~1か月分+消費税
広告費 賃料の1~2か月分
運用中 管理手数料 賃料の5~12%
毎月・定期的にかかる費用
・修繕費(積立)
7,000円~1万円
毎月・定期的にかかる費用
・火災・地震保険料
約1万9,600〜8万円
毎月・定期的にかかる費用
・所得税・住民税
・固定資産税・都市計画税
状況に応じて変動
帰任時 退去〜再利用時にかかる費用 2万5,000円~

◎マンションをリロケーションで貸す場合の費用を以下の条件で仮定すると、以下のとおりです。

所在地:東京都江東区
築年数:築5年
修 繕:軽微なもののみ
年収:700万円
管理会社:委託(手数料:家賃の5%)
入居期間:12か月
1R・1K 1LDK
(1DK)
2LDK
(2DK)
3LDK 4LDK〜
賃料 約14万円 約25万円 約38万円 約48万円 約100万円〜
貸す前 1万5,000円〜 2万円〜 3万5,000円〜 5万円〜 6万5,000円〜
契約時 16万5,000~ 29万5,000円~ 40万5,000円〜 50万5,000円~ 102万5,000円~
入居者決定時 35万円~ 62万5,000円~ 95万円~ 120万円~ 250万円~
運用中 約209万4,000円~ 約239万4,500円~ 約294万円 約263万4,000円~ 約416万5,000円
帰任時 約2万5,000円~ 2万5,000円~ 2万5,000円~ 2万5,000円~ 2万5,000円~
総額 約264万9,000円 約335万9,500円 約435万5,000円 約441万4,000円 約778万円

◎【時系列・項目別】マンションでリロケーションにかかる費用は、以下のとおりです。

タイミング 費用項目 費用
貸す前 原状整備・ハウスクリーニング費用 1万5,000円〜
リフォーム費用 数十万円~数百万円
契約時 契約締結・入居者決定時にかかる費用 賃料の1ヶ月分+1万円
鍵交換費 15,000円~10万円
入居者決定時 契約書類作成・事務手数料 賃料の1ヶ月分
仲介手数料 賃料0.5~1か月分+消費税
広告費 賃料の1~2か月分
運用中 管理手数料 賃料の5~12%
修繕積立金 4,000円~(状況による)
管理費 4,000円~(状況による)
火災・地震保険料 3,000円~2万1,000円
毎月・定期的にかかる費用
・所得税・住民税
・固定資産税・都市計画税
状況による
帰任時 退去〜再利用時にかかる費用 2万5,000円~

◎リロケーション費用を安くするコツは以下3つです。

  • 相場を踏まえて「必要な部分だけ」整える
  • ハウスクリーニングや設備交換などをするときは各箇所をまとめておこなう
  • 複数の不動産会社に査定・見積りを依頼する

本記事がリロケーションの費用目安を把握する参考になれば幸いです。

河上 隼人

Author information

河上 隼人

1980年11月8日生まれ
広島県出身
株式会社エイムプレイス 代表取締役

インターネットメディア事業「マンション貸す.com」を運営し、不動産オーナーと不動産会社をつなぐ架け橋として活動。効率的で自由度の高い経営スタイルを追求しながら、自らも日々学び続けている。

趣味はトレーニングと健康的なライフスタイルづくり。毎日の冷水シャワーを日課とし、体幹トレーニングではアブローラーの“立ちコロ”を悠々こなす。数年前にお酒をやめてからは、心身ともにすっきりとした日々を楽しんでいる。
「挑戦と進化」をテーマに、自然体で自分らしい生き方を磨き続けている。

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