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海外転勤でマンションを貸す人へ!ローンや税金の不安を解消する手順

最終更新日

転勤・海外赴任時の家の扱い

「海外転勤が決まったけど、住宅ローンがまだ残っているこのマンション、どうしよう?」

売却するには決断が重すぎますし、思い出の詰まった我が家を手放すことになります。かといって、そのまま空き家にしてしまうのは、防犯面も心配ですし、ローン返済だけが続くのは避けたいところです。

そこで、多くの人にとって最適な選択となるのが「賃貸化」です。

一方、海外転勤でマンションを貸すときには、賃貸契約の形態や所得税の納税など、注意すべきポイントがあります。

本記事では、海外転勤でマンションを貸す人が、あらかじめ知識をつけて失敗を回避できるよう、必要な情報をまとめました。

【この記事を読むと得られるメリット】

  • 住宅ローン契約違反を避けながら賃貸運用する方法がわかる
  • 帰国時に自宅に戻れる契約形態と注意点が理解できる
  • 海外赴任中の税金問題と節税対策の具体的な手続きが把握できる

海外での新生活を安心して始めるために、これらの知識をお役立てください。

海外転勤でマンションを貸すならまず知っておきたい3つのポイント

海外にいる間に自宅を貸し出すことは、多くの方にとって非常に賢い選択です。しかし、後で「こんなはずじゃなかった」と後悔しないために、まずは以下の3つのポイントを押さえておきましょう。

1. 住宅ローン返済中なら金融機関から「賃貸の承諾」を得る

2. できるだけ早く信頼できる「賃貸管理会社」を探す

3. 帰国時に退去してもらえる「定期借家契約」を結ぶ

住宅ローン返済中なら金融機関から「賃貸の承諾」を得る

住宅ローン利用中のマンションの場合、金融機関の承諾なしに賃貸に出すのは非常に危険な行為です。契約違反により、残高の一括請求を求められるリスクがあるからです。

住宅ローン契約では、借主本人(と家族)がその住宅に居住することが、融資の条件として明記されています。

よって、住宅ローン返済中のマンションを賃貸化することは原則できないのですが、例外があります。

多くの金融機関では、「転勤などのやむを得ない事情がある場合で、かつ一時的であり、住宅に戻る予定がある場合」に限定して、賃貸することを許容しています。

たとえば、住宅金融支援機構(フラット35)では、以下のとおり案内されています。

返済中に融資住宅を賃貸にしてもいいですか。 フラット35は、お申込ご本人またはそのご親族の方がお住まいになる住宅の取得資金としてご利用いただいております。 転勤等のやむを得ないご事情で、一時的に居住できない場合、融資住宅に戻ることを前提に賃貸することは可能です。 ただし、金融機関の窓口で住所変更に関する手続を行ってください。 なお、第三者に賃貸する目的の物件などの投資用物件の取得資金に利用するなどの目的外利用が判明した場合には、お借入れの全額を一括で返済いただく場合がありますのでご注意ください。
出典:住宅金融支援機構「返済中に融資住宅を賃貸にしてもいいですか。 - フラット35」

海外転勤という事情があれば、賃貸化を承諾してもらえる可能性が高いでしょう。

ただし、事前承諾を得ずに、無断で賃貸してしまうと、契約違反の状態になってしまいます。かならず金融機関の案内に従って、必要な手続きを済ませてください。

できるだけ早く信頼できる「賃貸管理会社」を探す

海外赴任中は、日本での物件管理業務を直接行うことはできません。そこで、賃貸管理会社(不動産管理会社)へ委託する必要があります。

管理会社では、入居者募集から契約手続き、日常の管理業務、退去時のサポートまで一括して代行してもらえます。

月次の家賃収納、入居者からの問い合わせ対応、緊急時のトラブル対応や修繕手配なども委託する必要があるため、管理会社との契約は必須です。

できるだけ早く、信頼できる管理会社を見つけるために行動を起こしましょう。

海外赴任前で忙しい方には、あらかじめ厳選された質の高い管理会社からの査定が届く「マンション貸す.com」がおすすめです。

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帰国時に退去してもらえる「定期借家契約」を結ぶ

もうひとつ、重要なポイントとなるのが、入居者(借主)との賃貸契約の形態です。

海外赴任後に自宅へ戻れるようにするために、賃貸借契約はかならず「定期借家契約」を選択してください。

その理由は、通常の契約形態である「普通借家契約」では、借主の居住権が非常に強く保護されており、一度契約すると、退去してもらうのが困難になるからです。

「普通の契約でも、更新しなければいいのでは?」と思うかもしれませんが、普通借家契約で借主が更新を希望した場合、貸主(オーナー)は更新を拒むことが非常に難しいのです。

具体的には、貸主の更新拒絶には正当事由が必要で、貸主の帰国というだけでは、正当事由として不十分と判断される可能性が高くなります。

これが「定期借家契約」であれば、借主の更新権が法的に認められていないため、このような問題は発生しません。2年間の契約であれば、2年後に自動的に終了します。

実際の手続きは、管理委託をした管理会社が主導してくれるはずですが、オーナー自身としても、「定期借家契約」を選択する重要性をしっかり認識しておきましょう。

参考: 国土交通省「定期借家制度(定期建物賃貸借制度)をご存じですか…?」

海外転勤にまつわる「税金」の問題にしっかり対策

続いて知っておきたいのが、マンション賃貸にまつわる税金の話です。海外に住んでいる間の税金は、日本にいる時とはルールが異なります。知らずに損をしたり、トラブルになったりしないよう、大切な4つのポイントを事前に確認しておきましょう。

1. 税金手続きを代行する「納税管理人」の選任が必要となる

2. 家賃収入にかかる「20.42%の源泉徴収」について理解しておく

3. 確定申告では経費を計上して節税する

4. 海外転勤中の住宅ローン控除は停止となるが帰国後に再開できる

税金手続きを代行する「納税管理人」の選任が必要となる

海外転勤すると、多くの場合「日本の非居住者」となります。非居住者であるものの日本国内に所得がある場合、 国内での税務手続き(確定申告や納税など)を代行する「納税管理人」の選任が必要となります。

マンションを賃貸すると、日本国内に所得が生じますので、納税管理人を選任しなければなりません。

身内に適任者がいない場合、税理士事務所や管理会社に納税管理人を依頼することも可能です。勤務先の会社の経理部門に依頼できるケースもあります。

具体的な手続きとしては、出国前に所轄税務署へ「所得税・消費税の納税管理人の選任届出書」を提出します。この届出を行うと、税務署からの各種通知が納税管理人宛に送付されるようになります。

なお、確定申告の期限は毎年3月15日です。

海外赴任中でも、このサイクルは変わりません。納税管理人には余裕をもって確定申告に必要な必要書類を渡し、期限に確定申告を確実に実行してもらうようにしましょう。

出典:国税庁「No.1923 海外勤務と納税管理人の選任又は解任」

家賃収入にかかる「20.42%の源泉徴収」について理解しておく

海外赴任により非居住者となった場合、日本国内の不動産から得る賃貸収入には、特殊な源泉徴収制度が適用されます。

入居者(借主)が法人、または個人であっても自己または家族の居住用ではない場合(事業用など)は、20.42%(所得税20%と復興特別所得税)の税率で、源泉徴収(受取額から天引き)されます。

たとえば、月額家賃15万円の場合、毎月30,630円が源泉徴収され、実際の受取額は119,370円となります。

一方、借主が個人で自己または家族の居住用として賃借する場合、源泉徴収義務は発生しないので、家賃は満額で支払われます。

なお、源泉徴収の有無に関わらず、最終的には確定申告を行い、経費控除後の正確な税額を計算します。源泉徴収額との差額は還付または追加納税となります。

出典:国税庁「No.2885 非居住者等に対する源泉徴収のしくみ」国税庁「No.2884 非居住者等に対する源泉徴収・源泉徴収の税率」国税庁「No.2880 非居住者等に不動産の賃借料を支払ったとき」

確定申告では経費を計上して節税する

「できるだけ、支払う税金を少なくしたい」と誰もが思うところですが、そのために重要なのが経費の計上です。

確定申告の際に、必要な領収書や証左書類を漏れなく準備しておき、できる限り不動産所得(賃貸で得られた利益)を圧縮するのが節税のコツです。

たとえば、賃貸管理会社への管理委託料、火災保険・地震保険の保険料、ハウスクリーニング費、修繕費など、さまざまな費用を経費に計上できます。

具体的な項目は、賃貸経営のプロである管理会社からのアドバイスも受けながら、可能な限り多くの経費を計上するように動きましょう。

海外転勤中の住宅ローン控除は停止となるが帰国後に再開できる

住宅ローン返済中の方は、毎年、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の適用を受けてきたことと思います。

住宅ローン控除は、年末時点のローン残高の0.7%が、所得税額から控除される制度です。

海外赴任により賃貸に出す場合には、住宅ローン控除は停止となります。「自己の居住の用」(本人の居住)が、控除の適用要件となっているためです。

しかし、適切な手続きを行えば、帰国後の再適用制度により、残存期間の控除を受けられます。

たとえば10年間の控除期間がある場合、3年間適用後に転勤 → 4年間海外勤務(控除停止) → 帰国後に残り3年間の控除を受けられます。

そのための手続きとしては、出国前に「転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書」を所轄税務署に提出しておきましょう。帰任後の再適用が認められます。

出典:国税庁「転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書」
詳しくは、国税庁の「A1-42 転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出手続」にてご確認ください。
出典: 国税庁「No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」

海外転勤まで時間がなくても大丈夫!マンションを貸す流れ

ここまで、重要ポイントや注意点を解説してきましたが、海外赴任の辞令は突然で、準備期間が短いことも少なくありません。慌てずに済むよう、出発までの理想的なスケジュールと、やるべきことを順番に見ていきましょう。

1. 【〜2カ月前】複数社へ査定依頼し管理会社を決定する
2. 【1.5カ月前】金融機関へ相談し承諾を得る
3. 【1カ月前】入居者募集を始める/納税管理人を選任する
4. 【2週間前】賃貸借契約を締結する/引越しの準備を進める
5. 【出発直前】鍵を引き渡し最終確認を行う

【〜2カ月前】複数社へ査定依頼し管理会社を決定する

赴任出発の2カ月前には、自宅マンションの賃料査定を複数の管理会社に依頼し、最適な委託先を選定してください。2カ月の猶予がすでにない場合は、最速で動くことが重要です。

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すでに6社以内に絞り込まれているため、比較的スムーズに、依頼したい会社が見つかるはずです。

「高い家賃を提示してくれた管理会社がベスト」とは限りません。実際に担当者とコミュニケーションを取ってみて、質問や不安に誠実で信頼できる回答をしてくれる会社を選びましょう。

海外転勤者の取扱件数や定期借家契約の経験などもあわせて確認すると、海外赴任中に心強い管理会社を見抜くために役立ちます。

【1.5カ月前】金融機関へ相談し承諾を得る

管理会社選びと前後して、出発の1.5カ月前までには、住宅ローン借入先への正式な相談を完了し、賃貸運用の承諾を取得しておきましょう。必要書類の準備と手続きを迅速に進めます。

【金融機関手続きの具体的な進め方】

  • 必要書類の準備と提出:海外赴任の辞令書、転勤期間の証明書類、定期借家契約での運用計画書などを準備し、金融機関の指定する書式に従って提出します。不備があると手続きが遅延するため、事前に必要書類リストを確認します。
  • 承諾書や特約書の締結:金融機関によっては賃貸転用に関する特約書への署名や、条件変更に伴う手数料の支払いが必要な場合があります。

金融機関の承諾が得られた段階で、選定した管理会社との正式な管理委託契約を締結しましょう。この時点から入居者募集の準備も本格的に開始されます。

なお、万一、金融機関から賃貸不可の回答があった場合は、不動産投資ローンへの借り換えや売却も含めた代替案を検討しなければなりません。時間的制約があるため、早期の判断と対応が重要です。

【1カ月前】入居者募集を始める/納税管理人を選任する

出発1カ月前には入居者募集を本格開始し、並行して税務面の準備も完了させます。この時期は非常に重要な手続きが集中するため、漏れのないよう注意深く進めてください。

【募集活動と税務準備のポイント】

  • 入居者募集の開始と内見対応:管理会社が、賃貸情報サイトへの物件掲載や営業活動などを通じて、入居希望者探しをスタートします。内見申し込みが入れば、マンション内を見せる必要があります。整理整頓して準備しましょう。
  • 納税管理人の選任:信頼できる家族・親族または税理士などに納税管理人を依頼し、税務署への届出書類を準備します。今後の連絡体制や確定申告の進め方についても、詳細を詰めておきましょう。
  • 住民票異動の準備:市区町村の役場への転出届の提出準備を行い、海外転出日を正式に決定します。住民票の異動により住民税(地方税)などの課税関係も整理されるため、適切なタイミングで手続きを行います。

入居者募集の反響が少ない場合は、家賃設定の見直しや募集条件の緩和などの対策を、スピード感を持って実施します。出発日が決まっているため、柔軟に対応して、早期の入居者確保を図ることを優先しましょう。

【2週間前】賃貸借契約を締結する/引越しの準備を進める

出発2週間前には、入居者との定期借家契約を締結し、同時に自身の引越し準備も本格化させましょう。

契約手続きと引越し作業を並行して行う必要があるため、管理会社にアドバイスをもらいながら効率的に進めてください。

【契約締結と引越し準備のポイント】

  • 定期借家契約書の確認と署名:契約期間・賃料条件・特約事項などの契約内容を最終確認し、定期借家契約を締結します。敷金・礼金の精算と初回家賃の受領手続きも行います。これらの手続きは、基本的に管理会社が代行してくれます。
  • 家具家電の仕分けと整理:持参するもの、実家などに保管するもの、借主に使用を許可するものを明確に仕分けします。借主使用を認める家具家電については、契約書の特約条項に明記し、故障時の責任関係も明確にしておきます。
  • 室内清掃と設備点検:入居者に気持ちよく住んでもらうため、室内の清掃と各種設備の動作確認をしておきましょう。エアコン清掃、給排水設備の点検、害虫駆除なども必要に応じて実施します。

契約が成立すれば入居開始日も確定するため、自身の出国日程との最終調整も行いましょう。出発後、すぐに賃貸運用を開始できる体制が理想的です。

【出発直前】鍵を引き渡し最終確認を行う

出発直前には管理会社への鍵の引き渡しと最終的な物件チェックを実施し、賃貸運用の開始に向けた準備を完了させます。

この段階では、すべての手続きを完璧に仕上げることが重要です。

【最終段階での重要な確認事項】

  • 鍵の引き渡しと設備確認:玄関鍵・郵便受け鍵・オートロック鍵などのすべての鍵類を管理会社に引き渡し、設備の最終的な動作確認を共同で実施します。物件の現状を写真・動画で記録し、将来のトラブル防止に備えておきましょう。
  • 緊急時の連絡体制:赴任先での連絡先、日本国内の緊急連絡先、納税管理人の連絡先などを管理会社に伝えておきます。
  • 近隣へのあいさつと最終確認:マンション管理人や近隣住民へのあいさつを行い、長期不在と管理会社への委託について説明しておきましょう。管理会社の連絡先を伝え、何かあった際の連絡先を明確にしておきます。

すべての準備が完了すれば、安心して海外赴任に臨めます。この後は、管理会社からの定期報告を受けながら、赴任先での業務に専念してください。

まとめ

本記事では「海外転勤でマンションを貸す」をテーマに解説しました。要点をまとめておきましょう。

海外転勤でマンションを貸すならまず知っておきたい3つのポイントは、以下のとおりです。

1. 住宅ローン返済中なら金融機関から「賃貸の承諾」を得る
2. できるだけ早く信頼できる「賃貸管理会社」を探す
3. 帰国時に退去してもらえる「定期借家契約」を結ぶ

海外転勤にまつわる「税金」の問題にしっかり対策しましょう。

1. 税金手続きを代行する「納税管理人」の選任が必要となる
2. 家賃収入にかかる「20.42%の源泉徴収」について理解しておく
3. 確定申告では経費を計上して節税する
4. 海外転勤中の住宅ローン控除は停止となるが帰国後に再開できる

海外転勤までにマンションを貸す流れを解説しました。

1. 【〜2カ月前】複数社へ査定依頼し管理会社を決定する
2. 【1.5カ月前】金融機関へ相談し承諾を得る
3. 【1カ月前】入居者募集を始める/納税管理人を選任する
4. 【2週間前】賃貸借契約を締結する/引越しの準備を進める
5. 【出発直前】鍵を引き渡し最終確認を行う

本記事で解説した知識と手順を参考に、大切なマンションをうまく活用しましょう。そして、安心して新たなステージで活躍していただけることを願っています。

河上 隼人

Author information

河上 隼人

1980年11月8日生まれ
広島県出身
株式会社エイムプレイス 代表取締役

インターネットメディア事業「マンション貸す.com」を運営し、不動産オーナーと不動産会社をつなぐ架け橋として活動。効率的で自由度の高い経営スタイルを追求しながら、自らも日々学び続けている。

趣味はトレーニングと健康的なライフスタイルづくり。毎日の冷水シャワーを日課とし、体幹トレーニングではアブローラーの“立ちコロ”を悠々こなす。数年前にお酒をやめてからは、心身ともにすっきりとした日々を楽しんでいる。
「挑戦と進化」をテーマに、自然体で自分らしい生き方を磨き続けている。

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