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海外赴任で持ち家どうする?「賃貸」が良い理由とその他の選択肢

最終更新日

転勤・海外赴任時の家の扱い

「海外赴任が決まったけど、持ち家をどうするか本当に悩む」「賃貸に出すか売却するか、それとも空き家のままにするか、正解がわからない」

このような悩みを抱えているところかもしれません。結論からいえば、海外赴任中の持ち家は、「賃貸運用する」のが最もおすすめの選択肢です。

その理由は、売却のように取り返しのつかない後悔をするリスクや、空き家のように持ち家を劣化させるリスクを回避しながら、家賃収入を得られるからです。

一方、「売却」「空き家」の選択肢についても、それぞれのメリット・デメリットがあります。本記事では、多角的な視点から海外赴任中の持ち家をどうするかについて、解説します。

【この記事を読むと得られるメリット】
・自分の状況に最適な持ち家の活用方法が明確になる
・賃貸運用で失敗しないための具体的なポイントがわかる
・各選択肢の落とし穴や注意点を事前に把握できる

海外赴任の転機を、持ち家という大切な資産を守りながら乗り越えるために、本記事の情報をお役立てください。

海外赴任中の持ち家を「賃貸」する場合のメリット・デメリット

まずは、最もおすすめの選択肢である「賃貸」について、メリット・デメリットを確認しましょう。

1. ◎メリット1:大切な資産を守りながら家賃収入でローンを賄える
2. ◎メリット2:帰国後の住まいがあるという安心感を確保できる
3. ◎メリット3:将来の資産価値上昇の恩恵を受けられる可能性がある
4. △デメリット:賃貸運用を成功させるための注意点がある

◎メリット1:大切な資産を守りながら家賃収入でローンを賄える

海外赴任中の持ち家賃貸は、家賃収入で住宅ローン返済負担を大幅に軽減できる点が、非常に大きなメリットです。

入居者からの賃料でローン支払いを相殺すれば、家計がぐっと楽になります。

たとえば、月額14万円のローンに対して、12万円の家賃収入があれば、実質負担は月2万円です。もちろん、月々のローン返済額よりも高い家賃で賃貸でき、利益が出る場合もあります。

さらに、人が住むことで日々の換気や点検が行われるので、空き家にしておいた場合の住宅の劣化を防止できます。

「資産を守りながら、家賃収入を得られる」という点で、賃貸化は海外赴任中に最適な選択肢です。

◎メリット2:帰国後の住まいがあるという安心感を確保できる

賃貸運用なら、赴任終了後に慣れ親しんだ我が家に戻れます。売却すれば二度と同じ家には住めませんが、適切な契約形態で貸し出せば、帰任時に確実に自宅に住める状態になります。

家族にとって “帰れる場所がある” 心理的な支えは、海外生活で何物にも代えがたい価値といえるのではないでしょうか。

とくに、お子さんがいるご家庭では、海外生活という大きな環境変化の後、帰国時に再び新しい環境へ順応しなければならないのは、大きな負担となります。

持ち家を賃貸運用していれば、また我が家に戻れます。慣れ親しんだ住環境や学校区域で、安心して生活を再開できるのです。

◎メリット3:将来の資産価値上昇の恩恵を受けられる可能性がある

持ち家を売却せず、そのまま所有していれば、資産価値上昇の恩恵を受けられる可能性があります。

とりわけ2025年現在は、マンション市場を中心に不動産市場が上昇トレンドとなっています( 参考:経済産業省「高騰するマンション市場」)。

出典:国土交通省「不動産価格指数(令和7年4月・令和7年第1四半期分)を公表」

海外赴任のタイミングで慌てて売却してしまうと、あとで後悔することになりかねません。

賃貸運用なら、収益を確保しながら市場動向を見極めて、最適な売却タイミングを計れます。

不動産価格は経済情勢で変動するため、かならず値上がりするとは限りません。しかし、賃貸運用により「価格上昇を待つ余裕」が生まれる点は大きな強みです。

△デメリット:賃貸運用を成功させるための注意点がある

ここまで見てきたように、賃貸運用には多くのメリットがあります。一方で、成功させるためには、重要な注意点も存在します。

たとえば、住宅ローン利用中は金融機関の承諾が必須で、契約違反となれば一括返済を求められるリスクがあります。また、帰国時に確実に自分が住めるようにするためには、定期借家契約の選択が不可欠です。

海外赴任中は自身での物件管理が困難なため、信頼できる管理会社への委託が必要です。さらに、非居住者としての税務処理や納税管理人の選任などの手続きも発生します。

これらの注意点を事前に知って対処すれば、賃貸運用は海外赴任者にとって最適な選択肢となります。具体的な手順と対策について、続けて以下で解説しますので、このまま読み進めてください。

海外赴任で持ち家を賃貸するときに失敗しないための注意点

賃貸運用では、海外赴任ならではの注意点があります。失敗しないための6つの重要ポイントを見ていきましょう。

1. 金融機関へ連絡し「賃貸の承諾」を得る
2. 帰国時に確実に退去してもらえる「定期借家契約」で契約する
3. 海外赴任者向けの実績豊富な賃貸管理会社を選ぶ
4. 税金支払いを代行する「納税管理人」を選任する
5. 非居住者に対する課税の仕組みを理解しておく
6. 賃貸中の住宅ローン控除は停止となる

金融機関へ連絡し「賃貸の承諾」を得る

住宅ローン返済中の方が持ち家を賃貸に転用する場合、まず金融機関から正式な承諾を得ることが必須です。

というのは、住宅ローンは「契約者本人やその家族が居住すること」を前提とした融資商品のため、無断で第三者に貸し出すことは契約違反に該当するからです。

契約違反が発覚した場合、最悪のケースでは残債の一括返済を求められる可能性もあります。かならず事前に金融機関との調整を行いましょう。

具体的な手続きは金融機関によって異なるため、それぞれ確認が必要です。たとえば、住宅金融支援機構(フラット35)では、以下のとおり案内されています。

返済中に融資住宅を賃貸にしてもいいですか。フラット35は、お申込ご本人またはそのご親族の方がお住まいになる住宅の取得資金としてご利用いただいております。転勤等のやむを得ないご事情で、一時的に居住できない場合、融資住宅に戻ることを前提に賃貸することは可能です。ただし、金融機関の窓口で住所変更に関する手続を行ってください。なお、第三者に賃貸する目的の物件などの投資用物件の取得資金に利用するなどの目的外利用が判明した場合には、お借入れの全額を一括で返済いただく場合がありますのでご注意ください。 出典:住宅金融支援機構「返済中に融資住宅を賃貸にしてもいいですか。 - フラット35」

帰国時に確実に退去してもらえる「定期借家契約」で契約する

借主(入居者)との賃貸契約は、かならず「定期借家契約」にすることが非常に重要です。

通常の賃貸借契約(普通借家契約といいます)では、借主に強固な居住権が保障されており、貸主(オーナー)から契約を終了させることは困難だからです。更新を拒むこともできません。

海外赴任者のように明確な帰国予定がある場合は、契約期間満了と同時に確実に明け渡してもらえる「定期借家契約」を選択してください。

定期借家契約なら、たとえば「契約期間2年」と設定すれば、2年後には確実に物件を返還してもらえます。

注意点としては、普通借家契約に比較して借主にとって不利な契約のため、その分、家賃の値引きなどの調整が必要になることがあります。

海外赴任者向けの実績豊富な賃貸管理会社を選ぶ

海外赴任中は、持ち家の物件管理はできないため、信頼できる賃貸管理会社への委託が必須です。

管理会社は単なる仲介業者ではなく、オーナーの代理人として物件運営を担当する、重要なパートナーの位置付けです。

優良な管理会社に委託すれば、入居者募集から契約締結、家賃集金、日常メンテナンス、クレーム対応、退去時の原状回復まで一貫して代行してもらえます。

設備故障時の業者手配、家賃滞納時の督促、近隣トラブルの調整など、オーナー不在では対応できない業務も専門スタッフが処理してくれるため、海外にいながら安心して持ち家を賃貸できます。

管理委託料は家賃の5〜8%程度が相場です。複数の会社に査定と管理プランの提案を依頼して、管理会社選びを進めましょう。

海外赴任前で忙しい方には、あらかじめ厳選された質の高い管理会社からの査定が届く「マンション貸す.com」がおすすめです。

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税金支払いを代行する「納税管理人」を選任する

次に確認しておきたいのが、家賃収入にまつわる所得税についてです。

海外赴任で日本の非居住者となった場合でも、国内不動産からの賃貸収入は、日本で所得税の申告・納付義務が生じます。

しかし、海外赴任中は、税務署からの連絡受け取りや必要な手続きができません。そこで、「納税管理人」という代理人を選任します。

納税管理人は、非居住者に代わって税務署からの書類受取り、確定申告の提出、税金の納付などを行う代理人です。

勤務先の日本法人、実家の家族、税理士などを指定できますが、確実に手続きを行ってくれる相手を選ぶことが重要です。

納税管理人を選任するポイント

選任相手を選ぶ:家族を納税管理人にする場合は、確定申告の知識がある方を選ぶか、税理士のサポートを併用することをおすすめします。会社の経理部門に依頼する場合は、個人の税務も対応してもらえるか事前に確認しておきましょう。

選任届出書を提出する:出国前に所轄税務署に「所得税・消費税の納税管理人の選任届出書」を提出します。以後の税務手続きは納税管理人を通じて行います。

必要書類が納税管理人に届くようにする:不動産所得の確定申告では、家賃収入の証明書類、管理費や修繕費の領収書、固定資産税の納税通知書などが必要です。これらの書類が納税管理人の手元に届くよう、郵送先の変更手続きも忘れずに行いましょう。

なお、確定申告の期限は毎年3月15日です。

海外赴任中でもこの期限は変わらないため、納税管理人には余裕をもって必要書類を渡し、期限内申告を確実に実行してもらいます。

出典:国税庁「No.1923 海外勤務と納税管理人の選任又は解任」

非居住者に対する課税の仕組みを理解しておく

海外赴任で日本非居住者となったオーナーの不動産所得には、日本居住者とは異なる特別な課税ルールが適用されます。国税庁の「No.2873 非居住者等に対する課税のしくみ(平成29年分以降)」「No.2880 非居住者等に不動産の賃借料を支払ったとき」に目を通しておきましょう。

重要なのが「不動産の賃借料に対する源泉徴収」です。これは、家賃支払い時に一定税率が天引きされる仕組みです。

具体的には、日本非居住者が日本国内の不動産から得る家賃収入に対して、借主が法人または個人でも事業用の場合には、支払い時に20.42%(所得税20%+復興特別所得税0.42%)が源泉徴収されます。

たとえば、月額15万円の家賃の場合、30,630円が税金として差し引かれ、残りの119,370円がオーナーに送金される計算です。

源泉徴収された税額は仮払いですので、正確な所得税額は確定申告で精算することになります。

なお、借主が自己や家族の居住用の個人の場合には、源泉徴収はされません。

出典:国税庁「No.2885 非居住者等に対する源泉徴収のしくみ」国税庁「No.2884 非居住者等に対する源泉徴収・源泉徴収の税率」国税庁「No.2880 非居住者等に不動産の賃借料を支払ったとき」

賃貸中の住宅ローン控除は停止となる

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、「年末時点でその住宅に本人または家族が居住していること」が適用条件です。

賃貸に出した年以降は一時的に控除適用外となりますが、帰国後の再入居時に残存期間があれば、控除再開は可能です。

転勤前に「転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書」を所轄税務署に提出しておくと、帰任後の再適用が認められます。

出典:国税庁「転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書」

詳しくは、国税庁の「A1-42 転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出手続」にてご確認ください。

「売却」する場合のメリット・デメリットと向いている人

次に、持ち家を「売却」する選択肢も見ておきましょう。管理の手間から解放される大きなメリットがありますが、大切な資産を手放す決断には注意も必要です。

1. ◎メリット1:維持管理の手間や将来のリスクから完全に解放される
2. ◎メリット2:売却によって現金を確保できる
3. △デメリット1:大切な資産を失い二度と同じ家には住めなくなる
4. △デメリット2:オーバーローンの場合は手出し金が必要になる
5. △デメリット3:売却にはコストがかかる
6. △デメリット4:制約がある中で売却しなければならない
7. 売却が向いているのは「帰国予定がない人」や「ローン完済済みの人」

◎メリット1:維持管理の手間や将来のリスクから完全に解放される

持ち家売却の最大のメリットは、物件管理のあらゆる責任から解放されることです。

売却代金でローンを完済できれば、月々の返済負担もなくなり、家計が大幅に改善されます。

固定資産税、火災保険料、修繕積立金などの年間維持費も不要となり、家計管理がシンプルになります。

◎メリット2:売却によって現金を確保できる

住宅ローンがない持ち家の場合や、完済後に手元資金が残る場合は、まとまったお金を確保できるメリットがあります。

赴任先での生活基盤の構築や、子どもの海外教育費、緊急時の資金など、さまざまな用途に対応できます。

売却による現金化は、とくに長期赴任者にとって、新たな人生設計のために役立ちます。

△デメリット1:大切な資産を失い二度と同じ家には住めなくなる

売却のデメリットとしては、まず愛着ある住まいを永久に失うことが挙げられます。一度売却すれば、将来「あの家に戻りたい」と思っても叶わなくなります。

とくに人気エリアや希少性の高い立地物件であれば、不動産価格が上昇している現在、同条件での再取得はきわめて困難です。

このデメリットは一度実行すると取り返しがつかないため、将来の住まい方針が不確定な段階での性急な売却判断は、避けてください。

△デメリット2:オーバーローンの場合は手出し金が必要になる

先ほど、メリットとして「売却によって現金を確保できる」とお伝えしましたが、これはアンダーローン(ローン残高が売却価格を下回る)の場合のみです。

ローン残高が売却価格を上回る「オーバーローン」の状態では、逆にローン完済の不足分を補填するための手出し金が必要となってしまいます。

「完済するだけの手元資金がない」「現金を手元に残しておきたい」という場合は、売却の選択肢は取りにくくなります。

△デメリット3:売却にはコストがかかる

「家を売ることで、お金がかかる」という面についても、しっかり把握しておきましょう。

たとえば、売却価格3,000万円の物件なら、仲介手数料だけで約105万円が必要です。

これに登記費用、印紙税、測量費用を加えると、総額150万円以上の諸費用が発生する可能性があります。

売却にかかるコストを考慮すると、実際の手取り金額は、売却価格より大幅に少なくなることを覚悟しなければなりません。

△デメリット4:制約がある中で売却しなければならない

海外赴任をきっかけとする売却では、赴任までの限られた期間内に買い手を見つける必要があります。高値売却を待つ余裕がありません。

急いで売却すると、相場より安い価格で手放すことになりがちです。

市況によっては、売り出してもすぐに買い手が見つからない可能性もあります。「これなら、賃貸で運用しておけばよかった」と後悔するケースも少なくありません。

もし売却の選択肢を選ぶのなら、早め早めの行動が肝心です。直前になって売却したいと考えても、不本意な結果になってしまいます。

売却が向いているのは「帰国予定がない人」や「ローン完済済みの人」

「売却」の選択肢で満足のいく結果が得やすいのは、
・帰国予定がない人
・住宅ローンを完済している人

です。

この2つを両方満たしている場合には、売却メリットがデメリットを上回る可能性があります。

上記に加えて、「まとまった現金が今すぐ欲しい」という希望がある人なら、売却による資金調達は得策といえるでしょう。売却では、賃貸運用で家賃収入を待つよりも、即座に大きな資金を確保できるからです。

「空き家」にしておくメリット・デメリットと向いている人

続いて、海外赴任中に持ち家を「空き家」として維持する選択肢について見ていきましょう。

多くの場合は賃貸(または売却)のほうが適していますが、ごく短期赴任など特定の状況では検討に値する選択肢となります。

1. ◎メリット1:特別な手続きが何も必要なく楽
2. ◎メリット2:荷物の保管場所になる
3. ◎メリット3:一時帰国時に自由に使用できる
4. △デメリット1:ローンと維持費で経済的負担が大きい
5. △デメリット2:劣化や不法侵入などのリスクが高まる
6. 空き家が向いているのは「1年未満の短期赴任」でデメリットを許容できる人のみ
7. 空き家管理サービスの活用でリスクを軽減する

◎メリット1:特別な手続きが何も必要なく楽

空き家維持の最大の利点は、特別な手続きを何も必要としないことです。

賃貸や売却にはさまざまな契約手続きや税務処理が付随しますが、空き家にしておく分には、とくにすることがありません。

法的リスクや契約トラブルの心配もなく、最もストレスフリーな選択肢と感じる方もいるでしょう。

◎メリット2:荷物の保管場所になる

空き家にしておく場合、家具や私物をそのまま置いておけるため、引っ越しの手間もありません。

海外に持参しない家具や書籍、季節用品が多く、賃貸や売却ではトランクルームを借りる必要がある場合、その費用や手間が省けます。

そのうえ、帰国時にはすぐに元の生活環境に戻ることができ、新たな家具や家電の購入費用も不要です。

◎メリット3:一時帰国時に自由に使用できる

一時帰国時に自宅を自由に使用できる点もメリットです。

ホテル代や、実家などに世話になる負担がありません。慣れ親しんだ我が家で過ごせる安心感があります。

家族連れで年間数回の帰国を予定している場合は、数十万円以上の宿泊費を削減できる可能性があります。

△デメリット1:ローンと維持費で経済的負担が大きい

一方、空き家を維持することでまず問題となるのは、多額の固定費負担が継続することです。住宅ローン返済、固定資産税、火災保険料、管理費などが発生する一方、家賃収入はありません。

住宅ローン控除も適用外となるため、税制上のメリットも失われてしまいます。仮に、月額12万円のローン返済と年間30万円の維持費が必要な場合、年間174万円の持ち出しが発生します。

多くの家庭にとって重荷となり、赴任期間が長くなるほど家計を圧迫します。長期間の継続は、現実的ではない家庭がほとんどでしょう。

△デメリット2:劣化や不法侵入などのリスクが高まる

人が住まない家は、急速に劣化が進む点も見逃せません。日本の高温多湿な気候では、締め切った室内にカビが繁殖し、水回り設備も機能低下します。手入れをしないことで、建材の痛みや害虫の侵入の問題も起きやすくなります。

出典:政府広報オンライン「空き家の活用や適切な管理などに向けた対策が強化。トラブルになる前に対応を!」

定期的な換気や通水を行わないまま放置すれば、帰国時に大規模なリフォームが必要になることも珍しくありません。

また、空き家は犯罪の標的になりやすく、不法侵入や放火などのリスクも高まります。全国で、管理不全の空き家が被害に遭う事例が多発しています。

空き家が向いているのは「1年未満の短期赴任」でデメリットを許容できる人のみ

空き家維持が合理的選択となるのは、「1年未満の短期赴任」の場合で、かつ上述のデメリット(経済的な負担など)が許容できる人のみです。

たとえば、すでに住宅ローンが完済済みで、頻繁に日本へ帰国予定がある方なら、短期間、空き家にしておいても、ダメージは限定的でしょう。

しかしながら、それ以外の方には、空き家維持はおすすめできません。とくに赴任期間が2年を超える場合は、確実に賃貸運用に切り替えるべきでしょう。

空き家管理サービスの活用でリスクを軽減する

やむを得ず空き家として持ち家を維持する場合は、専門の空き家管理サービスの活用を検討してください。

月額5,000円〜1万円程度で管理代行サービスが提供されており、月1〜2回の定期巡回点検、通水・換気作業、簡易清掃、郵便物整理、異常発見時の緊急連絡などを依頼できます。

詳しくは[空き家管理サービス]といったキーワードで検索してみてください(⇒Googleで[空き家管理サービス]と検索した結果ページはこちら)。

まずは査定を受けて貸せる金額を把握しよう

ここまで、売却や空き家の選択肢も含めて、海外赴任時の家をどうするか、解説してきました。

最終的にどのような選択をするにせよ、まずは査定を受けて、「賃貸するなら、いくらで貸せるか?」を把握することをおすすめします。具体的な数字が見えてくると、よりリアルに検討できるからです。

「マンション貸す.com」では、分譲マンションから戸建てまで、すべて査定可能です。

まとめ

本記事では「海外赴任のときに、持ち家をどうするか?」をテーマに解説しました。要点をまとめておきましょう。

海外赴任中の持ち家を「賃貸」する場合のメリット・デメリットは以下のとおりです。
1. ◎メリット1:大切な資産を守りながら家賃収入でローンを賄える
2. ◎メリット2:帰国後の住まいがあるという安心感を確保できる
3. ◎メリット3:将来の資産価値上昇の恩恵を受けられる可能性がある
4. △デメリット:賃貸運用を成功させるための注意点がある

海外赴任で持ち家を賃貸するときに失敗しないための注意点を解説しました。
1. 金融機関へ連絡し「賃貸の承諾」を得る
2. 帰国時に確実に退去してもらえる「定期借家契約」で契約する
3. 海外赴任者向けの実績豊富な賃貸管理会社を選ぶ
4. 税金支払いを代行する「納税管理人」を選任する
5. 非居住者に対する課税の仕組みを理解しておく
6. 賃貸中の住宅ローン控除は停止となる

「売却」する場合のメリット・デメリットと向いている人は以下のとおりです。
1. ◎メリット1:維持管理の手間や将来のリスクから完全に解放される
2. ◎メリット2:売却によって現金を確保できる
3. △デメリット1:大切な資産を失い二度と同じ家には住めなくなる
4. △デメリット2:オーバーローンの場合は手出し金が必要になる
5. △デメリット3:売却にはコストがかかる
6. △デメリット4:制約がある中で売却しなければならない
7. 売却が向いているのは「帰国予定がない人」や「ローン完済済みの人」

「空き家」にしておくメリット・デメリットと向いている人は以下のとおりです。
1. ◎メリット1:特別な手続きが何も必要なく楽
2. ◎メリット2:荷物の保管場所になる
3. ◎メリット3:一時帰国時に自由に使用できる
4. △デメリット1:ローンと維持費で経済的負担が大きい
5. △デメリット2:劣化や不法侵入などのリスクが高まる
6. 空き家が向いているのは「1年未満の短期赴任」でデメリットを許容できる人のみ
7. 空き家管理サービスの活用でリスクを軽減する

海外赴任という大きな転機だからこそ、持ち家の扱いもうまく行い、新生活への弾みを付けたいところです。この記事が、あなたの後悔のない決断の一助となれば幸いです。

河上 隼人

Author information

河上 隼人

1980年11月8日生まれ
広島県出身
株式会社エイムプレイス 代表取締役

インターネットメディア事業「マンション貸す.com」を運営し、不動産オーナーと不動産会社をつなぐ架け橋として活動。効率的で自由度の高い経営スタイルを追求しながら、自らも日々学び続けている。

趣味はトレーニングと健康的なライフスタイルづくり。毎日の冷水シャワーを日課とし、体幹トレーニングではアブローラーの“立ちコロ”を悠々こなす。数年前にお酒をやめてからは、心身ともにすっきりとした日々を楽しんでいる。
「挑戦と進化」をテーマに、自然体で自分らしい生き方を磨き続けている。

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