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離婚して持ち家を賃貸するのは要注意!住宅ローン契約違反リスクあり

最終更新日

離婚・住み替えと不動産の問題

「離婚することになったけど、住宅ローンが残る持ち家を賃貸に出すのって大丈夫なの?」「夫名義の家に子どもと住み続けたいけれど、何か問題があるのでしょうか?」

ただでさえ、離婚は精神的に大変です。そのうえ、持ち家の扱いについて頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。

たとえば、夫から妻へ賃貸できるのか、あるいは第三者に賃貸物件として貸し出すことができるのか、検討中の方もいるでしょう。

結論からいえば、離婚して持ち家を賃貸することには、いくつかの重大な注意点があります。とくに住宅ローン返済中の場合は、賃貸が契約違反となるリスクに注意が必要です。

この記事では、離婚時の持ち家を賃貸に出す際の法的リスクから具体的な対処法まで、詳しく解説します。

【この記事を読むと得られるメリット】
・賃貸化する際の住宅ローン契約違反のリスクがわかる
・離婚後の住居継続に必要な手続きと注意点が理解できる
・自分の状況に最適な解決策を選択できる

離婚という人生の転機において、持ち家問題で後悔しないための正しい知識を身につけましょう。

ローン中の持ち家賃貸は「金融機関の承諾」がなければ契約違反

住宅ローンが残る家を賃貸に出す前に、絶対に知っておかなければならない大原則があります。それは、金融機関の承諾なしに勝手に貸すことは、重大な契約違反になるという事実です。なぜそれが許されないのか、詳しく見ていきましょう。

1. 住宅ローンは「契約者本人が住む」ための特別金利
2. 離婚で元夫と元妻は他人になるため「家族が住むからOK」は通用しない
3. 発覚した場合に待つローン一括返済という最悪のシナリオ

住宅ローンは「契約者本人が住む」ための特別金利

住宅ローンは、投資用物件向けのローンと比べて、大幅に優遇された低金利が適用されています。これは、借主が実際にその物件に居住することを前提としているためです。

住宅ローンの契約書には、「資金使途」に関する条項があり、〈自己または配偶者、ならびに一親等以内の親族の居住に供する不動産の取得…〉といった記載があります。

実際の文面は、ご自身の契約書で確認してみてください。

このように定められている以上、住宅ローン返済中の住宅を、金融機関に無断で賃貸に出すことは、資金使途の違反となります。契約書に明記された条件に反する行為として、厳しい対応を取られる可能性が高いのです。

離婚で元夫と元妻は他人になるため「家族が住むからOK」は通用しない

住宅ローン契約においては、本人の居住だけでなく「家族・親族の居住」での利用が、多くの場合で認められています。

具体的には、住宅ローンの契約者本人が住んでいなくても、配偶者や親族(一親等以内などの制限がされている場合もある)が住んでいればOK、と解釈されることが一般的です。

一方、離婚が成立した時点で、元配偶者は法律上完全に他人となります。そのため、離婚後に妻や夫だけが住み続ける状況は、契約上「第三者への貸与」とみなされるのが原則です。

補足として、実際の金融機関の対応には幅があります。子どもが住んでいることを理由に、一定期間は黙認するケースもあれば、厳格に契約違反として扱う銀行もあります。しかし「元家族だから問題ない」という自己判断は、きわめて危険です。

発覚した場合に待つローン一括返済という最悪のシナリオ

住宅ローンの無断賃貸が金融機関に発覚した場合、最も深刻な結果として、残債の一括返済を求められるリスクがあります。通常の月々の返済が停止され、数千万円の残債を即座に清算するよう迫られるのです。

このような最悪のシナリオを回避するためには、離婚前の段階から住宅ローン問題を真剣に検討し、適切な対処法を選択することが大切です。安易な賃貸運用という選択は、取り返しのつかない結果を招く危険性があります。

続いて以下では、次の2つのケースに分けて、具体的な注意点を見ていきましょう。

【ケース1】夫婦のうち名義人ではない人が名義人から借りて住み続ける【ケース2】夫婦とも持ち家から退去して第三者に貸し出す

【ケース1】夫婦のうち名義人ではない人が名義人から借りて住み続ける場合

離婚後も子どもの生活環境を維持するために、妻と子が現在の家に住み続けるケースは、実際に多く見られます。

しかし夫が住宅ローンの名義人として返済を続ける一方で、自身は別の場所に住むという状況は、前述のとおり金融機関との関係で問題が生じます。以下のポイントを確認しましょう。

1. 夫がローン返済を継続している場合:金融機関に相談が必要
2. 金融機関の承諾が取れない場合:妻への名義変更が必要(借り換えを行う)
3. 賃貸の条件は離婚協議書に明記しておく
4. 児童扶養手当への影響や養育費との兼ね合いにも注意する

なお、「妻がローン契約者で、夫と子に賃貸したい」というパターンもありますが、ここではわかりやすさを優先して、夫がローン契約者として話を進めます。

夫がローン返済を継続している場合:金融機関に相談が必要

夫が住宅ローンの支払いを継続しながら、妻・子に家を提供する形態では、まず金融機関への事前相談が必要です。

金融機関によって判断基準は異なりますが、離婚という特別な事情を考慮して、一定期間の猶予を与えてくれるケースもあります。重要なのは事後報告ではなく事前相談であり、隠蔽することなく正直に状況を説明することです。

金融機関に相談するときのポイント

事情を正直に伝える:離婚に至った経緯と現在の居住状況を、事実に基づいて正確に伝えます。「子どもの転校を避けたい」「売却準備に時間が必要」といった具体的な理由があると、金融機関の理解を得やすくなります。

今後の計画や見通しを伝える:どのような事情があったとしても、永続的な賃貸は、認められない可能性が高くなります。一定期間が経過した後での売却や名義変更を検討し、その内容を伝えましょう。明確な期限と先の見通しの情報があると、金融機関も判断しやすくなります。

返済継続の意思:ローンの名義人である夫が、責任を持って返済を続ける意思があることを強調します。滞納リスクがないことを示すため、収入証明や返済計画の提出も検討しましょう。

金融機関から承諾を得られれば、一定期間は現状維持が可能です。

金融機関の承諾が取れない場合:妻への名義変更が必要(借り換えを行う)

一方、上記のとおり事情を説明しても金融機関の承諾が取れない可能性もあります。

それでも、現在生活している持ち家で妻・子が生活を続けたい場合には、住宅ローンと不動産の名義を妻に変更する必要があります。

具体的には、夫から妻への住宅ローンの借り換えを行います。妻が新たな住宅ローンを借り入れて、夫が借り入れていた住宅ローンを完済するのです。

借り換えを行うためには、妻が金融機関の住宅ローン審査に通る必要があるため、十分な安定収入が必要です。専業主婦の場合や、副業・パートのみで収入源が安定していない場合には、ローンの審査に通りません。

また、現在の住宅ローンを全額返済した後で、財産分与の手続きは別途行います。財産分与に関しては複雑になることがあるため、弁護士に相談しながら進めることをおすすめします。

賃貸の条件は離婚協議書に明記しておく

夫から妻への賃貸が金融機関で認められ、賃貸借契約によって居住を継続する場合、夫婦間の取り決めを明文化し、将来のトラブルを防ぐことがきわめて重要です。

口約束だけでは、解釈違いや約束の反故につながりやすくなるからです。

たとえば、途中で夫がローンの支払いを停止した場合、自宅が競売にかけられて、強制退去を求められるリスクがあります。

【離婚協議書に明記すべき事項

居住期間:無期限ではなく具体的な期限を設定します。「子どもが高校を卒業するまで」「3年間」など明確な終期を定め、のちの退去時のトラブルを防ぎましょう。期限延長の可否についても決めておくとより安全です。

費用負担:家賃の有無、固定資産税、修繕費、公共料金などの負担区分を明確にします。「妻は月8万円を夫に支払う」「固定資産税は夫負担」といった具体的な金額と支払方法を記載します。

退去条件:期間満了以外の退去事由も定めておきます。「妻の再婚時は3カ月前に通知して退去」「夫の経済事情が悪化したときは6カ月前予告で明け渡し」など、想定される状況変化への対応を盛り込みます。

これらの取り決めはかならず書面化し、できるだけ公正証書として作成してください。公正証書にしておくと、約束不履行時の法的対応がスムーズになります。

詳しくは法務省の「離婚を考えている方へ/公正証書を作成するには?」にて詳しく解説されています。

児童扶養手当への影響や養育費との兼ね合いにも注意する

妻が児童扶養手当(いわゆる母子手当)の受給を予定している場合、持ち家を賃貸することが、支給要件に影響する可能性があります。

これは、制度上、夫からの養育費は手当の算定に影響するためです。夫が住宅ローンを肩代わりしている状況は、実質的な養育費とみなされる場合があります(自治体ごとの判断)。

児童扶養手当への影響を最小限にする方法

適正な家賃を設定する:周辺相場に見合った家賃を設定し、経済援助ではなく正当な賃貸借関係であることを明確にします。無償や極端な低額では援助とみなされる可能性が高くなります。

養育費と明確に分ける:家賃と養育費は別項目として明確に分けて記録します。「家賃8万円、養育費3万円」のように区別し、混同しないよう注意深く管理してください。

自治体へ事前に相談する:手当申請前に居住形態について自治体窓口に相談し、支給への影響を確認します。地域により運用が異なる場合があるため、かならず地元の担当課で確認を取ることが重要です。

制度を適切に活用するためにも、実際にどうやるのかを慎重に検討し、自治体の担当者や弁護士など専門家のアドバイスを受けながら進めることをおすすめします。

>参考:東京都福祉局「児童扶養手当|児童に関する手当」

【ケース2】夫婦とも持ち家から退去して第三者に貸し出す場合

続いて、離婚後に夫婦ともに現在の住宅を離れ、第三者への賃貸による収益化を図るケースについて、見ていきましょう。

1. 金融機関へ相談し「不動産投資ローン」への借り換えをする
2. 転勤などの「やむを得ない事情」があれば承諾を得られる
3. トラブル回避のために信頼できる不動産管理会社を選ぶ

金融機関へ相談し「不動産投資ローン」への借り換えをする

第三者への賃貸を実現するためには、現在の住宅ローンを不動産投資ローンに切り替えることが原則として必要です。住宅ローンのまま、無断で賃貸運用を続けることは、発覚すれば確実に契約違反として処理されるためです。

不動産投資ローンへの借り換えは、金融機関にとってもリスク管理上適切な対応です。相談すれば応じてもらえる可能性があります。ただし、融資条件は住宅ローンより厳しくなることを覚悟しなければなりません。

事業用ローンへの借り換え時の変更点

金利:住宅ローンの優遇金利から、通常の事業用金利に変更されます。投資用ローンの金利は2〜4%以上と、住宅ローンよりも大幅に高くなることが一般的です。

融資条件:融資限度額が物件評価額の70〜80%程度に制限される場合があります。また返済期間の短縮や頭金の追加投入を求められることもあり、資金計画の見直しが必要になります。

審査基準:事業としての収益性が重視されるため、家賃収入の妥当性や空室リスクなども審査対象となります。立地条件や築年数、賃貸需要などを総合的に評価され、場合によっては借り換えが認められないこともあります。

借り換えによる返済負担の増加を家賃収入で補えるかどうか、収支シミュレーションをしっかり行いましょう。赤字になってしまっては本末転倒です。

転勤などの「やむを得ない事情」があれば承諾を得られる

一方、やむを得ない事情があれば、第三者への賃貸を一定期間の限定で、認めてもらえる場合があります。

その典型例が、「転勤によって、一時的に居住できなくなった場合」です。たとえば、住宅金融支援機構(フラット35)では、以下のとおり案内されています。

返済中に融資住宅を賃貸にしてもいいですか。フラット35は、お申込ご本人またはそのご親族の方がお住まいになる住宅の取得資金としてご利用いただいております。転勤等のやむを得ないご事情で、一時的に居住できない場合、融資住宅に戻ることを前提に賃貸することは可能です。ただし、金融機関の窓口で住所変更に関する手続を行ってください。なお、第三者に賃貸する目的の物件などの投資用物件の取得資金に利用するなどの目的外利用が判明した場合には、お借入れの全額を一括で返済いただく場合がありますのでご注意ください。 出典:住宅金融支援機構「返済中に融資住宅を賃貸にしてもいいですか。 - フラット35」

転勤のほかには、親の介護のために同居が必要となった場合なども、やむを得ない事情として了承してもらえる場合があります。

離婚とは別に、やむを得ない事情がある場合には、金融機関へ相談してみましょう。承諾を得て必要な手続きを行えば、問題なく賃貸できる可能性があります。

トラブル回避のために信頼できる不動産管理会社を選ぶ

第三者に住宅を貸し出す場合、賃貸経営に伴うさまざまな業務が発生します。離婚問題で多忙のなか、個人で賃貸管理を行うのは現実的に困難です。専門の不動産管理会社への委託を強くおすすめします。

良質な管理会社を選択できれば、入居者募集から退去時の清算まで一括して任せることができ、オーナーの負担を大幅に軽減できます。一方で管理会社選びを誤ると、追加費用や入居者トラブルで余計な負担が生じる恐れもあります。

信頼できる管理会社を選ぶためには、質の良い一括査定サービスの利用が最も確実です。「マンション貸す.com」オーナー向けの完全無料で利用できるサービスとして、多くの方に利用されています

結局どうする?離婚時の持ち家の状況別に考える最適解

これまで離婚後の持ち家を賃貸活用する方法を詳述してきましたが、実際には、賃貸以外の選択肢のほうが合理的である場合もあります。

最後に、賃貸以外の選択肢も含めて整理しておきましょう。

1. アンダーローン(売却額>借金)なら「売却」が最も後腐れない
2. オーバーローン(売却額<借金)なら「任意売却」で借金を整理する
3. 住宅ローンの借り換えができれば「賃貸」の可能性も出てくる

アンダーローン(売却額>借金)なら「売却」が最も後腐れない

持ち家の現在の市場価格(売却見込みの金額)が、ローン残高を上回っている状況(アンダーローン)では、売却による完全な清算が最も確実で問題の少ない解決策です。

売却代金でローンを完済できれば、金融機関との契約関係はすべて終了し、支払いの負担や契約違反のリスクから完全に解放されます。

離婚時の財産分与においても、不動産という現物資産より現金のほうが分配しやすく、公平性を保ちやすいという利点があります。売却によって得られた利益は夫婦で適切に分割し、それぞれの新生活の資金として活用できます。

オーバーローン(売却額<借金)なら「任意売却」で借金を整理する

持ち家の現在の市場価格(売却見込みの金額)がローン残高を下回っている状況(オーバーローン)では、通常の売却では債務が残ってしまいます。

この場合、金融機関と協議して「任意売却による債務整理」を検討することが、現実的な解決策です。

任意売却とは、金融機関の承諾のもとで市場価格に近い金額で売却し、残った債務を返済していくやり方です。

競売と比べて有利な条件での売却が可能であり、ローンの借主にとってもダメージを最小限に抑えられます。

任意売却の実際の手順は、住宅金融支援機構の「任意売却パンフレット」にて詳しく解説されています。

住宅ローンの借り換えができれば「賃貸」の可能性も出てくる

どうしても住宅を手放したくない場合や、将来的な資産価値の上昇を期待する場合は、賃貸運用する選択肢を検討します。

ただし、これは前述した金融機関との調整が成功することが大前提です。

住宅ローンから不動産投資ローンへの借り換えや、妻への名義変更(妻への賃貸の場合)が実現できれば、契約上の問題をクリアした状態で賃貸経営を開始できます。

第三者への賃貸を検討している場合は、まずは「持ち家をいくらで貸せるか?」を把握するところから始めましょう。

査定を受けるだけなら、金融機関の許可も何もいりませんので、できるだけ早く査定金額を把握しておきましょう。以下のリンクより、たった60秒の簡単入力で、家賃提案をお受け取りください。

まとめ

本記事では「離婚における持ち家の賃貸」をテーマに解説しました。要点をまとめておきましょう。

まず押さえたい前提として、ローン中の持ち家賃貸は「金融機関の承諾」がなければ契約違反となります。
1. 住宅ローンは「契約者本人が住む」ための特別金利
2. 離婚で元夫と元妻は他人になるため「家族が住むからOK」は通用しない
3. 発覚した場合に待つローン一括返済という最悪のシナリオ

夫婦のうち名義人ではない人が名義人から借りて住み続ける場合のポイントは以下のとおりです。
1. 夫がローン返済を継続している場合は金融機関に相談が必要
2. 金融機関の承諾が取れない場合は妻への名義変更が必要(借り換えを行う)
3. 離婚協議書に賃貸条件は明記しておく
4. 児童扶養手当への影響や養育費との兼ね合いにも注意する

夫婦とも退去して第三者に貸し出す場合のポイントは以下のとおりです。
1. 金融機関へ相談し「事業用ローン」への借り換えをする
2. 「転勤」など特別な事情があれば承諾を得られる
3. トラブル回避のために信頼できる不動産管理会社を選ぶ

離婚時の持ち家の状況別に考える最適解として以下を解説しました。
1. アンダーローン(売却額>借金)なら「売却」が最も後腐れない
2. オーバーローン(売却額<借金)なら「任意売却」で借金を整理する
3. 住宅ローンの借り換えができれば「賃貸」の可能性も出てくる

離婚における持ち家の扱いは悩ましいものですが、本記事を参考にベストな選択をしていただければ幸いです。

河上 隼人

Author information

ビーワン先生

税理士/株式会社エイムプレイス 顧問税理士。

医療系の税務会計を主領域に、税務アドバイザーとして社内の数字基盤を整備。レントハックでは不動産の基礎税務(青色申告・減価償却・修繕/資本的支出・消費税の基本)をチェックリストで見える化。
趣味はアフタヌーンティー。 丁寧に淹れた一杯で、複雑な税務もすっきり整理。

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