「サブリースって、いわゆる一括借り上げのことだよね?」
「サブリースの中にも、いくつか種類があるのかな」
「家賃が保証されるサブリースをおすすめされたけど、注意すべき点は無いの?」
賃貸経営を検討する中で、空室リスクを回避できる「サブリース」に魅力を感じる一方で、「仕組みがいまいち理解できない」「トラブルの話を聞いて不安」と感じている方も多いのではないでしょうか。
結論からいうと、サブリースは、毎月決まった保証賃料が支払われる仕組みで、手間を掛けずに安定した賃貸経営を行いたい方に便利な仕組みです。
ただし一方で、「サブリース会社への手数料が高い」などデメリットや注意点も存在するため、おすすめとは言えないケースもあります。
万人におすすめの方法ではなく、リスクを正しく理解したうえで、誠実で間違いのないサブリース会社を選ぶ必要があります。
この記事を最後まで読み終える頃には、サブリースが自分にとって本当に最適な選択肢なのか、そしてどの会社をパートナーに選ぶべきかという具体的な判断基準までイメージできるはずです。まずは基本となる「仕組み」の理解から始めていきましょう。
サブリースとは?狭義・広義での使われ方・種類
まずは「サブリース」という言葉を正しく理解していきましょう。
実はサブリースには「狭義の意味」と「広義の意味」の2つの使われ方があり、それゆえ混乱する方も多いようです。
本章では、サブリースという言葉の2つの使われ方とともに、「サブリースとはどういうものなのか」など基礎知識をわかりやすく説明していきます。
サブリースとは?
- サブリースには狭義・広義の2つの使われ方がある
- サブリースは入居者ではなくサブリース会社に貸す仕組み
- サブリースは「賃料保証型」が原則だが「実績連動型」もある
「自分にサブリースが向いているかどうか」を確認するためにも重要な章なので、しっかり理解してください。
サブリースには狭義・広義の2つの使われ方がある
「サブリース」という言葉には、(1)本来の意味である狭い定義(サブリース会社が又貸しすること)と、(2)仕組み全体を示す広い意味の、2つの使われ方があります。
狭義のサブリース(本来の意味)とは
狭義のサブリースという言葉は、サブリース会社が、オーナーから借りた物件を入居者に又貸し(転貸)する場合に、サブリース会社と入居者(実際に住む人)の間で結ぶ契約をいいます。下画像でいうと右側の部分の契約(オレンジ色の両矢印)がサブリース契約です。
オーナー(物件の持ち主)とサブリース会社の間での契約は「マスターリース契約」と呼ばれます。
本来は上記のように「サブリース」は、「又貸し(転貸)」の部分を意味しますが、最近では、オーナーがサブリース会社に物件を借り上げてもらい、サブリース会社が入居者に転貸する仕組み全体を指す言葉としても使われるケースが増えています。
広義のサブリース(不動産経営のスキームとしての使われ方)とは
広義のサブリースでは、オーナーがサブリース会社に物件を貸し、その物件をサブリース会社が入居者に転貸する(又貸しする)という仕組み全体を「サブリース」といいます。以下の画像の通り、マスターリース契約も、サブリース契約(=狭義のサブリース契約)も、両方を含めて「サブリース」の一部という考え方です。
物件を貸したいオーナーが、「サブリース会社に借り上げてもらうサブリースにするか、それとも通常の賃貸借契約にするか」という文脈で使われることが多くあります。
このようにサブリースには2つの使われ方がありますが、本記事では、不動産オーナーに向けた内容として、広義の「サブリース(サブリース会社に運用を任せる仕組み)」について解説していきます。
サブリースの仕組み・流れ
整理すると、サブリースは、オーナーが「入居者(実際に住む人)」に貸すのではなく、間に入る「サブリース会社」に物件を貸し出す仕組みです。
サブリースが「一括借上げ」とも呼ばれることもあるように、サブリース会社が物件をまるまる借り上げて、それをサブリース会社が入居者にさらに貸し出す流れになります。
サブリースを選択することで、サブリース会社に物件の管理も運営も含めて丸ごと預けてしまうイメージでの賃貸経営が可能となります。
サブリースの仕組み・流れ
- 一括借り上げ契約(マスターリース契約)を締結する
オーナーとサブリース会社で賃料保証額や契約条件(期間、免責期間など)を決定したうえで、一括借り上げ契約(マスターリース契約)を結びます。 - サブリース会社が入居者募集・審査を行う
サブリース会社が「貸主」となって入居者を募集し、入居審査を行います。 - サブリース契約(転貸借契約)を締結する
サブリース会社が入居者とサブリース契約(転貸借契約)を結びます。 - サブリース会社が物件の管理・運営を行う
その後の入居者の募集や契約、クレーム対応、建物管理などはすべてサブリース会社が行います。 - オーナーに収益が支払われる
賃料保証型の場合、毎月一定額の賃料がオーナーに支払われる(満室家賃の80%〜90%など)。
2章でも説明しますが、上記の仕組みにより、オーナーは空室・満室問わずに毎月決まった収益(保証賃料)を受け取れるメリットがあります。
サブリースは「賃料保証型」が原則だが「実績連動型」もある
一般的にサブリースといえば、空室・満室に関わらず決まった賃料が保証される「賃料保証型(空室保証型)」が主流です。ただし、物件の稼働状況に応じて支払額が変わる「実績連動型(パススルー型)」という選択肢も存在します。
オーナーが「空室リスクを避けたい」「毎月一定の金額を得たい」のか、それとも「手数料を抑えて手間だけを省きたい」のかによって、選ぶべきプランが決まります。
賃料保証型(空室保証型)【通常はこちら】
空室・満室にかかわらず、毎月一定の保証賃料がオーナーに支払われるタイプ- メリット:空室でも一定額の賃料を受け取れる/毎月の収入金額が変わらない
- デメリット:サブリース会社へ支払う手数料・保証料は高め(家賃の10%~20%程度)
- おすすめの人:「空室リスクを負いたくない」「多少取り分が減っても安定的に収入を得たい」という方に最適
実績連動型(パススルー型)
物件の稼働状況に応じて、オーナーへの支払額が変わるタイプ- メリット:サブリース会社が空室リスクを負わないため、手数料が安い(家賃の5%~10%程度)
- デメリット:賃料保証がない/パススルー型は一部のサブリース会社でしか選べない
- おすすめの人:空室の心配がない人気物件を所有しており、手数料を抑えながら管理を丸投げしたい場合に最適
空室リスクを回避することが目的の方は、サブリースの契約を結ぶ際に、実績連動型(パススルー型)ではなく、しっかりと「賃料保証型」になっているかを確認して契約するようにしましょう。
一方で、空室の心配がない人気物件をサブリースしたい場合には、賃料保証型よりも手数料が安いパススルー型を検討するのもおすすめです。
サブリースを活用する3つのメリット
サブリースの仕組みを理解したところで、次は「サブリースの何がいいのか?」という具体的なメリットについて見ていきましょう。
サブリースを活用する3つのメリット
- 毎月決まった家賃が保証される(賃料保証型の場合)
- 丸投げできるため管理がほとんどかからない
- 確定申告の手間が大幅に削減される
サブリースは「収入が安定すること」「手間がかからないこと」が大きなメリットであり、精神的なゆとりを持って物件を維持したい方には魅力的な選択肢となります。
自分が物件を貸し出す場合にどのような状態なら安心できるか、イメージしながら読み進めてみてください。
毎月決まった家賃が保証される(賃料保証型の場合)
賃料保証型のサブリースの最大のメリットは、空室であっても毎月変わらない収入が保証されるため、収支計画が狂わないという点にあります。
サブリース会社が物件を丸ごと借り上げるため、たとえ所有している部屋が空室になったり、入居者が家賃を滞納したりしても、オーナーが受け取れる金額には影響しません。
その分、一般的な管理委託よりも手数料(サブリース会社に支払う「保証料」)は高くなりますが、毎月の手取りが変わらないのは大きな安心につながります。
たとえば、家賃20万円の物件を貸す場合を想定して比較してみましょう。
通常の管理委託(手数料5%の場合)
- 委託管理費は5%で、毎月1万円(家賃20万円 × 5%)
- 毎月の収益は、家賃20万円-委託管理費1万円=19万円(空室の場合は、収入ゼロになる)
- 満室の場合の年間収益は228万円(月収益19万円×12カ月)ですが、仮に半年空室が続くと年間収益は114万円に減ってしまいます。
賃料保証型のサブリース(手数料20%の場合)
- サブリース会社に支払う保証料は20%で、毎月4万円
- オーナーの収益は、家賃20万円-保証料4万円=16万円が保証賃料(空室でも保証される)
- 満室でも空室でも、変わらず年間収益は192万円(月収益16万円×12カ月)を維持できます。
通常の管理委託の場合、入居者が見つからなければ、当然その部屋の収入はゼロです。一方で賃料保証型のサブリースなら、空室になっても毎月の収入が減らないのが大きなメリットとなります。
※「実績連動型(パススルー型)のサブリースでは、家賃保証がないので注意しましょう。
丸投げできるため管理がほとんど掛からない
入居者募集から契約、入居者対応、退去時の手続きにいたるまで、賃貸管理に関わるほぼすべての実務をサブリース会社に委託できるのも、サブリースの大きなメリットです。
通常の不動産経営では「オーナー」と「入居者」間での契約ですが、その間にサブリース会社が入ることで、ほとんどすべての業務を任せることができます。
通常の管理委託の場合
一次対応は管理会社がしてくれますが、設備の故障や騒音トラブルが発生した際の最終的な判断や費用の承認を求められます。また、家賃集金や入居者の募集、契約更新などは、オーナーが行う必要があります。サブリースの場合
サブリース会社の判断で現場のトラブル対応などが迅速に処理され、入居者募集や契約更新などもすべて丸投げできます。オーナーは毎月送付される明細の確認作業だけで済みます。オーナーがほとんど対応する必要がないため、遠方の物件を任せたい場合や、仕事が忙しくて管理に手が回らない場合などには、サブリースが向いています。
確定申告の手間を大幅に削減できる
サブリースの仕組みを活用すると、毎年の確定申告に向けた収支管理や書類整理の手間を大幅に減らすことができます。
通常の管理委託では多くの仕訳作業が必要ですが、サブリースの場合は「サブリース会社からの明細」を確認するだけで、売上と経費の把握がほぼ完了します。
通常の管理委託の場合
不動産経営にかかった費用について計上できるかを確認したうえで、管理会社への委託手数料やクリーニング代、突発的な修繕費、減価償却費など、項目ごとに自分でひとつずつ仕訳して計上しなければなりません。さらに、領収書や明細などを整理して保管する義務も発生します。サブリースの場合
収入=サブリース会社からの送金額、費用=サブリース会社への保証金がメインとなり、仕訳が非常にシンプルになります。明細を転記するだけで良くなり、申告作業の負担が格段に軽くなります。とくに海外転勤などで日本から離れているような場合、海外に居住しながら日本の税務申告を行うのは心理的にも負担が大きくなります。
サブリースによって確定申告の負担をできる限り軽減しておくことで、精神的な余裕を持つことにつながります。
サブリースの4つのデメリット・注意点
サブリースには賃料保証や管理の手間削減といった魅力的なメリットがある一方で、オーナーが事前に把握しておくべきデメリット・注意点も存在します。
サブリースの4つのデメリット・注意点
- サブリース会社への手数料(保証料)が高い
- 礼金・更新料がオーナーの手元に入らないことが多い
- 保証賃料が下がるリスクがある
- オーナーからの更新拒絶・中途解約が難しい
サブリースは、手間を掛けずに物件を貸すことができる便利な仕組みですが、「収益性の低さ」や「物件を自由に扱える権利の制限」といったリスクが伴います。
こうしたデメリットを正しく理解して事前に対策を講じることが、長期的な賃貸経営を成功させるための必須条件となります。サブリースの悪い面についてもしっかりと把握して、「それでもサブリースが自分に有用か」を見ていきましょう。
サブリース会社への手数料(保証料)が高い
サブリースの大きなデメリットは、一般的な管理委託と比べると、サブリース会社に支払う手数料(=保証料)が高く、手元に残る収益が少なくなってしまう点です。
一般的な管理委託の手数料は家賃の「5%前後」が相場ですが、サブリース(賃料保証型)の場合は「10〜20%」ほど差し引かれるのが一般的です。
たとえば家賃20万円の物件を運用する場合、5%の管理委託なら手数料は月1万円(手取り19万円)ですが、サブリースで手数料20%なら月4万円(手取り16万円)となります。月3万円の差は、年間にすると36万円、10年では360万円という大きな金額の差になります。
手数料が高いのは、サブリース会社がオーナーの代わりに空室リスクを引き受け、入居者募集や契約、入居中の管理などすべて代行するための「保証料」が含まれているからです。
安心と引き換えに高いコストを支払う仕組みのため、当然ながら通常の管理委託と比べると利回りは低くなります。収益性を最優先したいオーナーにとっては、手数料の高さによる収益の圧迫が最大のネックとなり得ます。
サブリースの利回りについては、「サブリースでは利回りが低くなる!そうなる理由と計算方法を実践解説」の記事も参照ください。
礼金・更新料がオーナーの手元に入らないことが多い
サブリースでは、入居者が支払う礼金・更新料といった一時的な収益が、オーナーの手元には入らないことが一般的です。
通常の賃貸管理であれば、賃貸借契約を結ぶ際に「礼金」、そして契約を更新する際に「更新料」を入居者から受け取ります。
しかしサブリースの場合には、こうした一時金は、サブリース会社が受け取るため、オーナーの収入にはなりません。サブリースにおけるオーナーの収益は、保証賃料のみ(保証料を差し引いた賃料)となる点に注意しましょう。
礼金・更新料の扱いを確認しておくことが大切
実際に、礼金・更新料などの一時金が誰の収益になるかは、サブリース会社との契約内容によります。最近では、敷金・礼金なしの物件もあり、サブリース会社も受け取っていないというケースもあります。契約前に、どの名目の費用が誰の取り分になるのかを、明確に確認しておくことが重要です。
保証賃料が下がるリスクがある
サブリースの最大のメリットは「家賃が保証されること」ですが、建物の老朽化や周辺相場の下落などを理由に、保証される賃料が下がるリスクがある点には注意が必要です。
サブリース会社との契約で「〇年間借り上げ保証」とあったとしても、契約当時の金額が永久に保証されるということではなく、保証賃料は定期的に見直されるのが一般的です。
多くのサブリース契約では、最低保証賃料の見直しを2年ごとに行う旨が記載されていることがほとんどです。
収支計画を立てるときには、あらかじめ数年ごとの賃料下落をシミュレーションに組み込んでおくと安心です。
その他、シミュレーション時に検討すべき費用については、「サブリースの費用はいくら?手数料の相場から隠れコストまで実態解説」の記事もぜひ参考になさってください。
オーナーからの更新拒絶・中途解約が難しい
サブリース契約は、オーナーの都合で「サブリースを終わりにしたい」と思っても、更新を拒絶したり中途解約したりすることが非常に難しいという側面があります。借地借家法では「借り手」の権利(この場合はサブリース会社)が強く保護されているためです。
オーナー側から契約を終了させるには、解約における「正当事由」が必要となります。
正当事由として認められる可能性がある事由の例
- 建物の老朽化・耐震不足により建物が危険な状態であり、建て替えの必要性がある
- オーナー側がその物件に戻らなければならない切実な事情がある
- オーナーが生活を維持するために物件を売却せざるを得ない事情がある
- サブリース会社側に重大な契約違反(保証賃料の長期不払いなど)がある
※実際にどのような理由が「正当事由」として認められるかはケースバイケースであり、立ち退き料を支払うことにより解約に合意してもらえるケースもあります。
単に「サブリース会社を変えたい」「子どもに物件を任せたい」などオーナー側の一方的な理由による解約は容易ではなく、多額の立退料などを求められるリスクがある点に注意しましょう。
一度サブリースを契約すると、オーナーであっても自分の物件を自由に扱う権利が大きく制限されます。
サブリース契約を結ぶ際に、「解約予告期間や違約金の条件を明確にする」「あらかじめ解約に関する特約を盛り込める会社を選ぶ」といった対策を契約前に行っておくことが不可欠です。
※安心して任せられるサブリース会社の選び方については、後述する「6.トラブルを回避!サブリース会社を選ぶ3つのポイント」で後述します。
サブリースが向いている2つのケース
サブリースの良い面・悪い面を両方見たうえで、ここからは「どのような方ならサブリースがいいのか」を具体的に解説していきます。
収益を最大化したい方や主体的に不動産経営に関わっていきたい方には、手数料が高いサブリースよりも通常の管理方法(管理委託や自主管理)の方が適しています。
しかし、利回り以上に優先したい条件がある方にとっては、サブリースは非常に賢い選択肢となります。
サブリースが向いている2つのケース
- 毎月の収支を安定させたい人
- 管理の手間・責任をできる限りなくしたい人
サブリースは、手間を極力なくして安定を買うような仕組みです。すべての不動産投資家に向いている管理方式ではありません。
ご自身の理想とする賃貸経営の形や日々の生活スタイルをイメージしながら、当てはまる項目があるかチェックしてみてください。
※空き家の賃貸でサブリースを検討している方は、「空き家のサブリースは向き不向きがある|3つの判断ポイントを解説」の記事もぜひお読みください。
毎月の収支を安定させたい人
不動産収益の「波」をなくし、毎月の収入額を一定に保ちたいと考えているオーナーには、賃料保証型のサブリースが非常に向いています。
たとえば、10部屋などのアパートを経営しているケースの場合、退去が相次いだり空室が続いたりすると、一時的に収入が大きく落ち込む月が出てきます。賃料保証型のサブリースであれば、たとえ空室があっても、オーナーに支払われる金額は変わりません。
空室によって「今月の手取りがガクンと減る」といったストレスを感じることなく、安定した賃貸経営を続けることができます。
最大限の利益(利回り)を追求することよりも、収支の予測しやすさを優先し、精神的なゆとりを持って物件を維持していきたいという方に、サブリース(賃料保証型)は最適な選択肢となります。
【注意】収益の最大化を最優先したい人には向いていない
サブリースは「安心」を買う仕組みである一方、家賃から1割〜2割差し引かれた保証賃料が収入となるため、通常の賃貸経営より実入りは少なくなります。自分で収益をコントロールして利益を最大化したい人には向いていません。管理の手間・責任をできる限りなくしたい人
不動産管理に関わる「細かな判断」や「運営上の責任」をできるだけ手放したいと考えているオーナーにとって、サブリースは非常に有効な選択です。
一般的な管理委託でも実務の多くは代行してもらえますが、最終的な「意思決定」は常にオーナーに委ねられます。空室が出れば「募集条件をどう変えるか」、故障が起きれば「どのプランで直すか」をその都度判断し、承認しなければなりません。
一方でサブリースの場合は、サブリース会社にすべてを任せる状態となるため、オーナーが日々の細かな意思決定に翻弄されることがほとんどない状態にできます。
通常の賃貸経営と比べると手取りは減るものの、「経営判断を負わずに不動産を活用したい」という方にとって、サブリースは価値のある仕組みといえます。
【注意】自分でしっかり管理したい人/ちゃんと経営したい人には向いていない
「リフォームの業者を自分で選びたい」「入居者の審査を自分の目で行いたい」といった、経営の主導権を自分で握り、積極的に関与したいこだわり派の方は、自由度が制限されるサブリースには不向きです。サブリースで注意したいトラブル事例3つ
ここまでサブリースのメリットとデメリット、そして「どのような人に向いているのか」といった判断材料を整理してきました。これらを踏まえた上でさらに理解しておきたいのが、サブリースに関する具体的なトラブルの実態です。
かつてサブリースに関連するトラブルが全国で頻発して大問題となりました。消費者庁や国土交通省から異例の注意喚起が出され、事態を重く見た国が「サブリース新法」を制定するまでに発展したという経緯があります。
しかし実際には、深刻なトラブルの多くは、リスク・注意点を正しく理解したうえで、真っ当な説明を行う会社を選ぶことで防げるケースがほとんどです。
この章では、現在でも起こり得る代表的なトラブルとその背景について簡潔に解説します。
サブリースで注意したいトラブル事例3つ
- トラブル1:一方的な賃料減額を迫られた
- トラブル2:サブリースを辞めたくても解約できなかった
- トラブル3:サブリース会社が倒産してしまった
ここで解説するトラブル事例を反面教師として、信頼できるパートナーを見極めるための視点をイメージしながら読み進めてみてください。
トラブル1:一方的な賃料減額を迫られた
サブリースに関するトラブルとして、契約時に「安定した収益」を強調しながら、わずか数年で当初の計画を根底から覆すような賃料減額を迫られるなどの賃料減額トラブルは多く発生しています。
賃料減額のトラブル事例
- 「30年一括借り上げ」という言葉を「30年間家賃が変わらない」と誤解させるような説明をされた
- 老朽化による家賃下落を計算に入れず、常に満額が入るような無理なローン返済計画を組まされた
- 更新時に「減額に応じないなら解約するしかない」と、ローンを抱えるオーナーの弱みに付け込む形で更新の合意を迫られた
賃料が減額されること自体は、サブリースに限らず、周辺の家賃下落や建物が古くなったことなどにより起こり得ることです。借り手であるサブリース会社には、入居者と同様に、借地借家法に基づく「賃料増減額請求権」があるからです。
周辺の家賃相場に対して現在の保証賃料が不相当に高くなったと判断されれば、サブリース会社から減額を請求することが法的に認められています。
問題は「将来の減額リスクを隠して勧誘すること」や「数年で破綻するような甘い収支予測を提示すること」にあります。2020年12月に施行されたサブリース新法(賃貸住宅管理業法)により、リスクを説明せずに勧誘する行為は禁止されましたが、説明が不足している営業方法は依然残っている可能性があります。
誠実なサブリース会社であれば、将来の減額リスクを織り込んだ「持続可能な事業計画」を提示します。オーナー自身も不動産市況に応じた減額を想定しておくとともに、こうしたリスクを隠さない真っ当な会社を選ぶことが重要です。
トラブル2:サブリースを辞めたくても解約できなかった
「3-4.オーナーからの更新拒絶・中途解約が難しい」で解説した通り、サブリース契約は、通常の賃貸借契約と同様に、オーナー側からの解約が簡単にはできない仕組みになっています。
そのため、不誠実な会社と契約してしまうと、たとえ対応が悪くても簡単には縁を切ることができず、長期間にわたって不利益を被り続けるリスクがあります。
サブリースの解約トラブル事例
- 保証賃料を大幅に下げられて別の管理会社へ乗り換えようとしたが、高額な違約金がかかると言われて解約を断念するしかなかった
- 物件を売却するために契約解除を求めたが、サブリース会社側が解約に応じず、買い手との交渉が破談になってしまった
- 「転勤から戻ったので自宅に住みたい」「親族が住むことになった」と解約を求めても、正当な事由として認められず拒否された
「合わないと思ったら他社に変えればいい」と安易にサブリース会社を選んでしまうと、後悔する羽目になりかねません。
もし将来的に物件を取り戻す可能性や売却の選択肢を確実に残しておきたいのであれば、あらかじめ期間満了で契約が終了する「定期借家契約」を選択したうえで、サブリース契約をするといった対策が不可欠です。
解約が難しい仕組みだからこそ、サブリースは「誰と契約するか」がすべてです。オーナーの将来の計画を真摯に聞き、リスクもしっかり説明してくれる透明性の高い会社を選ぶことが、最大のリスク回避となります。
トラブル3:サブリース会社が倒産してしまった
サブリース会社の経営が悪化すると、入居者から回収した家賃がオーナーへ送金されないまま、会社が倒産してしまうなどのトラブル事例が起きます。
サブリース会社の倒産トラブル事例
- 倒産を知らない入居者が引き続き家賃をサブリース会社に振り込み続けてしまい、オーナーがその分を回収できなくなった。
- オーナーが入居者の氏名や連絡先を把握していなかったため、倒産後に「誰に家賃を振り込んでもらうべきか」を伝えることすら困難になった
- サブリース会社に預けていた敷金が倒産で消滅し、入居者の退去時にはオーナーが自腹で敷金を返還しなければならないリスクを負った
サブリース会社が倒産してしまうと、未払い賃料や敷金などの回収が難しくなるだけでなく、入居者ともども大きな混乱が生じます。
入居者の連絡先を突き止めるためにポストを確認したり、不信感を抱く入居者に対して一軒ずつ対面で事情を説明して振込先を変更してもらったりと、精神的にも負担の大きい残務処理を強いられることになります。
サブリース会社の倒産リスクを回避するには、健全な財務体質を持つ会社をしっかり見極めることが重要です。
トラブルを回避!サブリース会社を選ぶ3つのポイント
前章で解説した通り、悪質な会社や業績が良くない会社、あるいは説明不足な会社を選んでしまうと、契約後にさまざまなトラブルに見舞われる羽目になります。
こうした事態を未然に防ぐには、契約前にしっかりと「良いサブリース会社」を見極めることが重要です。
本章では、数あるサブリース会社の中から、大切な不動産を安心して託せる一社を見極めるための具体的な方法を解説していきます。
サブリース会社を選ぶ3つのポイント
- ポイント1:会社の信頼性を見極める(実績・財務・対応)
- ポイント2:自分が納得できる契約条件を選び抜く
- ポイント3:コミュニケーションやサポート体制も確認する
なお、具体的におすすめなサブリース会社を知りたい方は、「【実力重視】サブリース会社7選!各社の強みから最適な会社を選択」の記事もぜひご覧ください。
ポイント1:会社の信頼性を見極める(実績・財務・対応)
サブリース会社とは長い付き合いになるため、パートナーとなる会社の信頼性は最も重要な判断基準です。
「会社が近くにあるから」「営業されたから」など安易な理由で選ぶのではなく、管理実績や財務の健全性、誠実な対応をしているかについても見極めましょう。
管理実績を見極めるチェックポイント
- できれば、200戸以上の管理実績がある国土交通大臣「賃貸住宅管理業」の登録業者を選ぶ
- 管理戸数はもちろん、入居率の高さ、サブリース自体の実績が豊富かどうかも確認する
- 強引な勧誘が行われているなどの行政指導や悪い口コミがないかを確認する
財務の健全性を見極めるチェックポイント
- 国土交通大臣「賃貸住宅管理業」の登録業者は分別管理が義務化されているため、できるだけ登録業者を選ぶ
- 登録業者ではない場合、分別管理や信託保全を導入しているかを確認する
- 上場企業であれば、公開されているIR資料で流動比率や自己資本比率を確認する
誠実な対応を見極めるチェックポイント
- 将来の賃料減額や解約の制限といったオーナーに不利なリスクを、契約前に丁寧に説明してくれるか
- 目先の契約だけでなくオーナーの将来のライフプランに寄り添う姿勢があるか(例:売却・自己居住の可能性を考慮した選択肢の提案など)
- 30年先まで賃料が変わらないような甘い計画ではなく、将来の空室リスクや家賃下落を織り込んだ現実的な収支予測を提示してくれるか
サブリースには良い面だけでなく悪い面も存在するため、そうしたリスクをあらかじめ丁寧に説明してくれる会社がおすすめです。
ポイント2:自分が納得できる契約条件を選び抜く
信頼できる会社をいくつかにまで絞り込んだら、次はサブリース会社に提示される契約条件を比較して、最も納得感のある会社を選ぶようにしましょう。
契約条件を選ぶときのチェックポイント
- 提示される家賃が適切かどうか:近隣の相場と比較して高すぎないか(将来の減額リスクがないか)、逆に安すぎないか/他のサブリース会社とも相見積もりと比較する
- 手数料の高さ:家賃から差し引かれる手数料(保証料)が他のサブリース会社と比較してどうか、サービス内容も含めて検討する
- 賃料改定の透明性:家賃見直しの特約が付くか、どのように賃料が決まるのかを確認しておく
- 解約時の違約金:オーナーから解約を申し出る場合の違約金が条項で定められているか、その他解約時の条件などが決まっているかを確認しておく
- 免責期間:「管理開始から〇カ月は賃料を支払わない」などの免責期間があるかどうか、あるなら何カ月かを確認しておく
- 解約条件:中途解約の手続きや通知期限が現実的に実行可能な内容になっているかを確認しておく
- 修繕費用など:一般的には原状回復費用や設備交換費用はオーナー負担であることが多いが念のため確認/修繕時に指定業者を使わなければならないなどの縛りが無いかを確認しておく
こうした契約条件は将来の収益や自由度に直結するため、曖昧な点はすべて解消して、納得した上でサブリース会社を決めることが大切です。また、口約束だけではなく書面として明確に反映されているかも確認しましょう。
ポイント3:コミュニケーションやサポート体制も確認する
サブリース会社は、契約を結んでからが本当の意味での長い付き合いの始まりです。物件の管理をサブリース会社に任せることになるからこそ、適切な情報共有と迅速なサポートが行われる体制かどうかを事前に確認しておきましょう。
コミュニケーションやサポートを確認するときのチェックポイント
- 定期的に物件の状況を報告してくれる仕組みがあるか
- 細かい疑問点についても、丁寧に回答してくれるか
- 専門業者による建物メンテナンスなどの仕組みがあるか
- 依頼後の相談窓口が明確に示されているか、24時間営業などのコールセンターがあるか
任せきりになってしまうと物件との距離ができてしまいがちです。手離れが良いだけでなく、定期的にサブリース会社から状況を伝えてくれるような会社が安心です。
かならず複数社のサブリース会社を比較しよう
ここまでお伝えしたように、サブリース契約といっても会社ごとに条件が大きく異なるため、かならず複数社の提案を比較することをおすすめします。
複数の会社から提示される「賃料保証額」や「免責期間」などの条件を横並びで比較して初めて、その提案が本当にあなたにとって最良のものかどうかが判断できます。
また比較検討の過程で、リスクや注意点についても正直に説明してくれるか、オーナーの希望や将来像に寄り添ってくれるかなど、会社の姿勢や担当者の質の違いが見えてくるはずです。長く付き合っていくパートナーとして信頼できるかどうかを、総合的に判断することが大切です。
一社の提案だけでなくかならず複数の管理会社に相談して比較・検討しましょう。もしも「複数社を比較するのは大変だな」と感じる方は、ぜひ一括で問い合わせできる「マンション貸す.com」をご活用ください。
「マンション貸す.com」は、10年以上の運営実績があり、累計11万人超が利用する賃貸査定サイトです。特定の管理会社を推薦するのではなく、中立的に不動産会社を比較できるサービスとなります。
提携している650社以上の不動産会社の中から、オーナー物件に応じて最大6社の厳選された会社から提案が届くのが特徴です。
「まだどの形式で貸し出すか決めていない」という段階でも全く問題ありません。オーナー様は完全無料で利用できますので、安心してお気軽にお問い合わせください。
まとめ
本記事では「サブリースとは何か」についての全体像や向き不向きについて解説してきました。最後に、要点を簡単にまとめておきます。
◆サブリースとは?
- サブリースの仕組み・流れ
- オーナーが選択できる2種類の契約方法
◆サブリースを活用する3つのメリット
- 毎月決まった家賃が保証される
- 丸投げできるため管理がほとんどかからない
- 確定申告の手間が大幅に削減される
◆サブリースの4つのデメリット・注意点
- サブリース会社への手数料(保証料)が高い
- 礼金・更新料がオーナーの手元に入らないことが多い
- 保証賃料が下がるリスクがある
- オーナーからの更新拒絶・中途解約が難しい
◆サブリースが向いている2つのケース
- 毎月の収支を安定させたい人
- 管理の手間・責任をできる限りなくしたい人
◆トラブルを回避!サブリース会社を選ぶ3つのポイント
- 会社の信頼性を見極める(実績・財務・対応)
- 自分が納得できる契約条件を選び抜く
- コミュニケーションやサポート体制も確認する
サブリースで後悔しないためには、大切な資産を安心して託すことができるパートナー選びが重要です。比較・検討の際にはぜひ「マンション貸す.com」をご活用ください。
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河上 隼人
1980年11月8日生まれ
広島県出身
株式会社エイムプレイス 代表取締役
インターネットメディア事業「マンション貸す.com」を運営し、不動産オーナーと不動産会社をつなぐ架け橋として活動。効率的で自由度の高い経営スタイルを追求しながら、自らも日々学び続けている。
趣味はトレーニングと健康的なライフスタイルづくり。毎日の冷水シャワーを日課とし、体幹トレーニングではアブローラーの“立ちコロ”を悠々こなす。数年前にお酒をやめてからは、心身ともにすっきりとした日々を楽しんでいる。
「挑戦と進化」をテーマに、自然体で自分らしい生き方を磨き続けている。


