「サブリースで安定収入を得られると思ったのに、実際の手取りは想定の7割しかない」
「契約後に知らされた費用負担が多すぎて、収支が赤字になってしまった」
サブリース契約は空室リスクを回避し管理負担を軽減できる魅力的な選択肢ですが、費用構造を正確に把握しないまま契約を結ぶと、予期せぬ出費で収益計画が大きく狂う危険性があります。
実際、賃料改定による収入減少や、想定外の修繕費請求といったトラブルが後を絶ちません。こうしたリスクを回避するには、契約前に費用の全体像を理解することが不可欠です。
本記事では、サブリース契約で発生する費用項目が明確にわかるように解説します。
【この記事を読むと得られるメリット】
- サブリース契約で実際に発生する費用の全体像が明確になる
- 費用の妥当性を判断し、不利な契約条件を見極められる
- 費用トラブルを未然に防ぐチェックポイントがわかる
賃貸経営の成功に向けて、納得できる契約を実現するためにお役立てください。
サブリース契約で発生する費用の全体像
まずはサブリース契約でどのような費用が生じるのか、全体像を整理しましょう。
- 保証賃料は市場家賃の80〜90%(差額がサブリース会社の収益)
- 入居者退去後の室内修繕費用は通常オーナー負担
- 大規模修繕・設備交換費用もオーナー負担
- 免責期間中は収入ゼロとなる
- 賃料改定による収入減少リスクあり
保証賃料は市場家賃の80〜90%(差額がサブリース会社の収益)
サブリース契約では、オーナーはサブリース会社に物件を貸し出し、固定の保証賃料を受け取ります。
保証賃料は市場家賃の80〜90%程度に設定され、残りの10〜20%がサブリース会社の収益です。
仕組みとしては、サブリース会社は入居者に転貸して市場家賃を受け取り、オーナーには固定の保証賃料を支払います。この差額でサブリース会社は空室リスクを引き受け、管理業務を担います。
オーナーが直接入居者に貸し出した場合と比較すると、差額の10〜20%分は、サブリースで生じる費用と考えることができます。
入居者退去後の室内修繕費用は通常オーナー負担
サブリース契約では、入居者が退去した後の室内修繕費用はオーナー負担となるのが一般的です。通常の賃貸契約と異なり、サブリースでは二重の契約構造によって費用負担の流れが少し複雑になります。
入居者が退去する際、入居者はサブリース会社に対して原状回復義務を負います。一方、次の入居者を迎えるための室内修繕費用は、多くの契約でオーナー負担となっています。
具体例を挙げると、入居者の故意・過失による損傷分は、サブリース会社が入居者の敷金から充当します。しかし、壁紙の日焼けや床の小傷といった通常使用による劣化部分の補修費用は、サブリース会社からオーナーに請求される仕組みです。
クロスの張替え、フローリングの補修、水回りのパッキン交換、エアコンクリーニングなどが含まれます。ほとんど費用がかからないこともあれば、1回の退去につき数十万円の費用が発生する場合もあります。
大規模修繕・設備交換費用もオーナー負担
建物の経年劣化に伴う大規模修繕や、給湯器・エアコンといった設備機器の交換費用も、原則としてオーナーが負担します。サブリース契約中であっても、建物維持に必要な工事の費用責任はオーナー側にあるためです。
サブリース会社は、建物そのものの維持には関与しないのが基本です。構造部分や共用設備の維持管理費用は、オーナーが負わなければなりません。
たとえば、給湯器やエアコンの標準使用期間は約10年程度です。設備1台あたり10万円〜30万円程度の交換費用を見込む必要があります。
仮に外壁塗装や屋上防水工事を行うとすれば、マンション・アパートの規模にもよりますが数百万円規模の出費となります。
免責期間中は収入ゼロとなる
注意したいのが、サブリース契約には「免責期間」と呼ばれる賃料支払いが免除される期間が設定されるケースが多いことです。
これは、契約開始直後や入居者退去後の一定期間は、サブリース会社からオーナーへの家賃支払いが停止される仕組みです。
免責期間は、サブリース会社が次の入居者を探す期間に充てられ、通常1〜3カ月です。この期間中は家賃収入がゼロになり、オーナーにとって大きな収入減となります。
新築物件や契約初期には2〜3カ月の免責期間が設定されるケースが多く見られます。さらに、入居者入れ替え時に再度、免責期間が適用される契約もあります。
賃料改定による収入減少リスクあり
先ほど「保証賃料は市場家賃の80〜90%程度」とお伝えしましたが、サブリース契約の保証賃料は契約期間中ずっと固定されるわけではありません。
多くの契約では2年程度の周期で賃料見直しが行われ、更新時にサブリース会社から減額提案を受ける可能性があります。
この理由は、借地借家法により、経済事情の変動などを理由とした賃料改定が認められているからです。
具体的な金額はケースバイケースですが、目安として、2年ごとの更新時に5〜10%程度の減額交渉が持ちかけられることを想定しておきましょう。
当初の保証賃料が月額25万円なら、2年後には22万円〜23万円程度に下がる可能性があります。「30年家賃保証」と宣伝されていても、実際には2年ごとに保証額が見直される契約がほとんどです。
以上、5つの費用について解説しました。ここまでの話をまとめると、サブリース契約でかかる費用の全体像は以下のとおりです。
サブリース保証賃料の相場と妥当性の考え方
「サブリースの費用が高いのか安いのか、妥当性が判断しづらい」という方も多いでしょう。以下では保証賃料の差や通常の管理委託との違いを確認しましょう。
- 保証賃料の差は空室リスクで決まる
- 通常の管理委託よりもサブリースは割高になる
保証賃料の差は空室リスクで決まる
サブリース保証賃料の割合は一律ではなく、物件の収益性やリスク評価によって大きく変動します。
基本的には、「保証賃料が高い物件と低い物件では、空室リスクが異なる」と考えてください。
サブリース会社が引き受けるリスクが高い物件ほど、保証賃料は低く設定されます。
たとえば、都心の主要駅から徒歩5分以内の物件なら、空室リスクが低いため保証賃料は市場家賃の90%前後に設定されることが多いでしょう。一方、駅から徒歩20分を超える郊外物件では、入居付けに時間がかかるため、保証賃料が75〜80%に設定される傾向があります。
提示された保証賃料が周辺相場と比べて妥当かどうか判断するには、同じエリア・同規模の物件条件を複数社から取り寄せて比較する方法が有効です。
通常の管理委託よりもサブリースは割高になる
「通常の管理委託と比較して、サブリースってどうなの?」という点についても、整理しておきましょう。
サブリース契約では、オーナーと入居者の間に直接の契約関係はなく、サブリース会社が保証賃料と市場家賃の差額を収益として、入居者対応を含む管理業務を担います。
入居者からの家賃回収もサブリース会社が行い、滞納が発生してもオーナーへの保証賃料は変わりません。設備の不具合や騒音トラブルといった入居者からのクレームも、サブリース会社が対応します。
一方、通常の管理委託では、オーナーと入居者が直接契約し、管理業務の部分を管理会社に委託します(委託範囲は契約により異なります)。この管理手数料の相場は家賃の3〜8%程度です。
サブリース契約では、オーナーが空室リスクを負わないで済む代わりに、通常の管理委託よりも高いコストを支払うことになります。
参考:消費者庁「賃貸住宅経営(サブリース方式)の契約を検討する方へ」
サブリース契約前に確認しておくべき費用のポイント
サブリース契約は一度締結すると変更や解約が困難なため、契約前の確認作業が重要です。ここでは、とくに注意すべき費用関連の確認ポイントを解説します。契約前のチェックリストとして活用してください。
- 賃料改定について具体的な条件を取り決める
- 免責期間の交渉をする
- 中途解約が極端に不利な条件になっていないか確認する
- 修繕費用の上限額と事前承認ルールを明確にしておく
- 大規模修繕は長期的な視点で計画を共有しておく
賃料改定について具体的な条件を取り決める
サブリース契約におけるトラブルで相談件数が多いのが、賃料減額に関する問題です。契約更新時に保証賃料の引き下げを提案され、収支計画が大きく狂ってしまうケースが見受けられます。
前述のとおり、多くの契約では2年に一度の周期で保証賃料の見直し条項が設けられており、更新のたびに減額交渉が持ち込まれる可能性があります。
対策として、契約前に「最初の7年間は賃料を据え置きにする」「改定時の減額上限は5%まで」といった具体的な条件を書面で取り決めておきましょう。一方的な大幅減額をけん制しておくことが大切です。これは口頭での約束ではなく、契約書に明記してもらいましょう。
免責期間の交渉をする
免責期間の有無や長さは、サブリース契約の収益性を大きく左右する要素です。にもかかわらず、営業トークでは、「空室でも家賃保証」という魅力だけが強調される場合があるため、注意しましょう。
たとえば、入居者の入れ替わりごとに免責期間が適用される契約の場合、退去が多い物件では、収入ゼロの期間が半年近くに及ぶこともあります。その間もローン返済や固定費の支払いは続くため、収支計画に大きな影響を与えます。
契約前には、免責期間の有無と長さをしっかり確認してください。可能であれば免責期間なし、または短縮できないか交渉を試みましょう。1カ月でも短縮できれば、それだけ収入が途絶えるリスクを軽減できます。
中途解約が極端に不利な条件になっていないか確認する
サブリース契約をオーナー側から途中解約しようとすると、高額な違約金や厳しい条件が課される場合がほとんどです。
借地借家法では借主(サブリース会社)の権利が強く保護されているため、オーナー側から一方的に解約することは難しいという前提を理解しておきましょう。
中途解約時の違約金は、保証賃料の6カ月分が相場ですが、3カ月〜12カ月と幅があります。契約によっては残存期間分全額といった重い設定もあります。また、多くの場合「解約の6カ月前までに書面通知」といった予告期間が定められています。
契約前には解約条件を入念に確認し、「解約不可」「違約金が賃料1年分以上」といった過度に不利な条項でないかチェックしましょう。標準的な範囲(通知期間6カ月、違約金6カ月分程度)を大きく超える厳しい条件なら、契約自体を見直すことも検討してください。
修繕費用の上限額と事前承認ルールを明確にしておく
修繕費用の負担範囲と手続きに関する取り決めは、契約書で見落としやすく、かつトラブルになりやすい部分です。範囲や金額の上限が曖昧だと、後から高額請求を受けるリスクがあります。
建物や設備の修繕費は、所有者であるオーナーが負担するのが原則です。よって、オーナーの知らないところで、サブリース会社が勝手に工事を進めてしまう事態は、避けなければなりません。
対策として、まず「どこまでが日常的な修繕か」を、金額で明確に線引きしましょう。たとえば、「1件10万円未満の修繕は事後報告でよい」といった基準を設けます。
契約書の条項に不安がある場合は、不動産取引に詳しい弁護士や専門家に目を通してもらうとよいでしょう。専門家の視点で契約書をチェックすれば、潜在的なリスクを事前に発見できます。
大規模修繕は長期的な視点で計画を共有しておく
日常的な修繕とは別に、外壁塗装や屋上防水といった大規模修繕についても、事前に話し合っておくことが重要です。
大規模修繕費用も基本的に全額オーナー負担となりますが、実施判断や業者選定をサブリース会社に一任すると、過剰な工事を推奨される恐れがあります。
築何年目にどんな工事を行うかという「長期修繕計画」を、あらかじめサブリース会社と共有しておきましょう。
契約書または覚書に「築15年時点で双方協議の上で外壁塗装を実施」「工事費用が200万円を超える場合は、オーナー指定業者の見積もりも取得する」など、具体的な手続きを定めておけば、いざというときのトラブル予防になります。
参考:金融庁・消費者庁・国土交通省「アパート等のサブリース契約を検討されている方は契約後のトラブルにご注意ください!」
費用面で損しないサブリース会社の選び方
費用トラブルを避けるには、契約内容の精査だけでなく、契約相手となるサブリース会社の選定が非常に重要です。信頼性の低い会社と契約すれば、どれだけ契約書を整えても後からトラブルに巻き込まれるリスクがあります。以下のポイントを押さえましょう。
- 3社以上の見積もり比較で保証賃料相場を把握する
- 修繕費用の負担範囲が明確な契約書の会社を選ぶ
- 賃料改定条件と解約条件が公正な会社を見極める
3社以上の見積もり比較で保証賃料相場を把握する
サブリース会社を選定する際は、一社の提案だけで判断せず、かならず複数社から条件提示を受けて比較検討することが鉄則です。各社で保証内容や賃料設定が異なるため、横並びで比較しなければ相場観がつかめないからです。
同じ物件でも各社で保証賃料の評価が異なり、契約条件の組み合わせも変わります。複数社の提案を並べれば、自物件の市場価値が客観的に把握できます。
また、複数社とやりとりする過程で、「この会社はデメリットも正直に説明してくれる」「この会社は契約を急がせる圧力が強い」といった違いが見えてきます。最終的には条件だけでなく、担当者の対応や会社の姿勢も含めて総合判断しましょう。
まずは、複数の管理会社に相談して比較検討することをおすすめします。そのためにご活用いただきたいのが、「マンション貸す.com」です。
最短60秒の簡単入力で厳選された最大6社から査定が届きますので、本当に信頼できる会社と出会うためにご利用ください。
修繕費用の負担範囲が明確な契約書の会社を選ぶ
修繕費用の負担区分は、サブリース会社によって契約書の記載内容に差があります。
曖昧な表現で済ませる会社よりも、具体的な基準を明示する会社のほうが信頼性が高いでしょう。
というのは、修繕費用の負担範囲を明確にしている会社は、トラブル防止に真剣に取り組んでいる証拠だからです。契約書の記載が具体的であるほど、後から「言った言わない」のトラブルを避けられます。
契約前に、各社のひな型の契約書を開示してもらい、熟読しましょう。わからない用語や不明確な表現があれば、質問して解消しておくことが重要です。
賃料改定条件と解約条件が公正な会社を見極める
契約条件がオーナー・サブリース会社間で公正なバランスになっているかどうかは、会社の信頼性を測るうえでも重要です。一方的にオーナーに不利な条項を押し付ける会社は避けてください。
たとえば、賃貸住宅管理業法により、サブリース業者は契約前に将来の賃料変動条件を書面で説明する義務があります。こういった法規制に真摯に対応する会社ほど、信頼度が高いといえます。
逆に、メリットばかり強調しリスクに触れない営業は危険信号です。優良な会社ほど、国のガイドラインに沿って、条件の透明性と公正さを重視しています。
最終的には「この会社と長期的なパートナー関係を築けるか」という視点で判断すれば、費用面でも納得できる契約が実現するはずです。
まとめ
本記事では「サブリースの費用」をテーマに解説しました。要点をまとめておきましょう。
サブリース契約で発生する費用の全体像として、以下を解説しました。
- 保証賃料は市場家賃の80〜90%(差額がサブリース会社の収益)
- 入居者退去後の室内修繕費用は通常オーナー負担
- 大規模修繕・設備交換費用もオーナー負担
- 免責期間中は収入ゼロとなる
- 賃料改定による収入減少リスクあり
サブリース契約前に確認しておくべき費用のポイントは以下のとおりです。
- 賃料改定について具体的な条件を取り決める
- 免責期間の交渉をする
- 中途解約が極端に不利な条件になっていないか確認する
- 修繕費用の上限額と事前承認ルールを明確にしておく
- 大規模修繕は長期的な視点で計画を共有しておく
費用面で損しないサブリース会社の選び方は、以下のとおりです。
- 3社以上の見積もり比較で保証賃料相場を把握する
- 修繕費用の負担範囲が明確な契約書の会社を選ぶ
- 賃料改定条件と解約条件が公正な会社を見極める
本記事で紹介した情報を活用して、費用面で失敗しない安定した賃貸経営への第一歩を踏み出していただければ幸いです。
Author information
ビーワン先生
税理士/株式会社エイムプレイス 顧問税理士。
医療系の税務会計を主領域に、税務アドバイザーとして社内の数字基盤を整備。レントハックでは不動産の基礎税務(青色申告・減価償却・修繕/資本的支出・消費税の基本)をチェックリストで見える化。
趣味はアフタヌーンティー。 丁寧に淹れた一杯で、複雑な税務もすっきり整理。


