「マンションを貸すならサブリースが安心って言われたけど、本当に大丈夫なの?」「空室リスクも家賃保証もある仕組みって、何か裏があるんじゃないか」
サブリースに対して、期待もあれば不安もあり、判断に迷っている方も多いのではないでしょうか。
結論からいえば、サブリースの仕組みをしっかり理解して、それでもメリットがあると思えるならば、「サブリースの選択肢もあり」です。
逆にいえば、安易に契約すれば、想定外の収益減や解約できないといった落とし穴に直面しかねないため、知識がない方のサブリース契約はおすすめできません。
本記事では、サブリースの仕組みから通常の賃貸管理との違い、向き不向きの判断基準や注意点まで、しっかり解説します。
【この記事を読むと得られるメリット】
- サブリースの仕組みと通常の賃貸管理との違いが明確に理解できる
- 空室保証や管理丸投げのメリットと、収益性低下や契約制約のデメリットがわかる
- 自分の状況でサブリースを選ぶべきか、通常管理にすべきか判断基準が身につく
賃貸経営の選択肢としてサブリースが本当に適しているのか、後悔しない判断をするためにお役立てください。
サブリースとは?マンションを貸すときの管理委託との違い
まずは、サブリースについて基本的な事項と、一般的な賃貸管理委託との違いから確認していきましょう。
- サブリースは不動産会社が一括借上げして転貸する仕組み
- 一棟マンションや複数物件で採用されやすい形態
- 通常の賃貸管理委託との違いは契約相手・収入保証・得られる賃料
- 家賃保証率の相場は市場家賃の80〜90%が相場
サブリースは不動産会社が一括借上げして転貸する仕組み
サブリースは、不動産会社がオーナーから物件を一括で借り上げ(マスターリース)、入居者に転貸(サブリース)する仕組みです。
オーナーは、サブリース会社と賃貸借契約(マスターリース契約)を結び、毎月一定額の家賃を受け取ります。
この契約では、オーナーと入居者の間には、直接の賃貸借関係は存在しません。入居者は、サブリース会社の転借人という位置付けです。
たとえば、A社とオーナーがマスターリース契約を結ぶと、A社はオーナーに賃料を支払う一方で、物件を入居者に又貸しします。
サブリースは、入居者との賃貸借契約と管理を丸ごと業者が行う形態であり、賃貸経営の手間を省きたいオーナーにとって魅力的な選択肢となります。
一棟マンションや複数物件で採用されやすい形態
「マスターリース(一括借り上げ)」という言葉が出てきました。そもそもの前提として、サブリースは一棟マンション・アパートや、複数の物件を一括して借り上げるケースが想定されています。
サブリース会社は、一棟まるごとの物件や複数の物件を一括で借り上げ、それらを総合した賃料を支払います。
ワンルーム投資や、転勤中のマイホームの賃貸といった「一室のみ」の状況でも、サブリース契約が可能な不動産会社はありますが、「一括借り上げ」だからこその利点が得られない点に注意が必要です(メリット・デメリットは、後ほど詳しく解説します)。
通常の賃貸管理委託との違いは契約相手・収入保証・得られる賃料
サブリースとよく比較されるのが、賃貸管理業務を管理会社に委託する「管理委託」の形態です。
管理委託とサブリースでは、大きく分けて、以下3つの違いがあります。
- 誰と賃貸借契約を結ぶか
- 誰が空室リスクを負うか
- 毎月の家賃をいくら得られるか
「管理委託」では、オーナーは管理業務を管理会社に委託しますが、賃貸借契約はオーナーと入居者が直接締結します。空室が出れば、そのリスクを負うのはオーナーです。空室期間中の家賃収入は途絶えます。
「サブリース」では、オーナーはサブリース会社と契約します。空室が出ても、サブリース会社から家賃が支払われます。ただし、毎月の家賃は、市場家賃より少ない金額(80〜90%程度)となるのが一般的です。
サブリースの家賃については、以下に続きます。
家賃保証率の相場は市場家賃の80〜90%が相場
サブリースの保証家賃は、満室想定賃料の80〜90%が相場です。入居者に10万円で貸せる部屋が10室(合計100万円)ならば、毎月サブリース会社から、80〜90万円が支払われる計算です。
サブリース会社は空室リスクや管理コストを負担する代わりに、差額10〜20%を自社の利益として差し引くビジネスモデルになっています。
なお、管理委託の手数料は家賃の3〜8%程度(相場は5%前後)なので、サブリースの手数料は数倍高い水準です。
さらに、サブリース契約では、定期的に保証賃料の見直しが行われ、減額されるケースも多く見られます。たとえば、「30年一括借上げ」とうたっていても、当初の保証賃料が長期間固定されるわけではない点には、注意が必要です。
契約開始から数年で保証賃料の減額を求められる事例も少なくないため、契約前に保証賃料率や見直し条件を十分確認する必要があります。
補足:サブリースには「パススルー型」という形態もある
なお、ここまで一般的な従来型サブリースの形態について解説してきましたが、ほかに「パススルー型」と呼ばれる形態も存在します。
パススルー型は「実績賃料連動型」とも呼ばれます。サブリース会社が一括借り上げするところまでは従来型と同じですが、実際にオーナーに支払われる賃料は、入居者の支払い賃料や空室状況によって、毎月変動する点が異なります。
パススルー型では、サブリース会社が差し引く手数料の相場は3〜5%程度です。「所有しているアパートやマンションをすべて借り上げしてほしいが、コストは抑えたい」というオーナーにとって、メリットのある方式となります。
なお、本記事ではパススルー型ではなく従来型の形態を前提として、サブリースの解説を進めていきます。
マンションをサブリースで貸す5つのメリット
さて、ここからはマンションをサブリースで貸す場合のメリット・デメリットを見ていきましょう。まずはメリットから解説します。
1. 空室時も家賃収入が保証される
2. 賃貸経営を基本的に任せられる
3. 確定申告が簡単になる
4. 入居者トラブルに巻き込まれない
5. 海外赴任や遠方でも安心できる
空室時も家賃収入が保証される
サブリース最大のメリットは、空室リスクから解放される点です。通常の賃貸経営では空室が発生すると収入が途絶えますが、サブリースでは、空室でもサブリース会社が一定の賃料を支払います。
入居者の家賃滞納があった場合も、オーナーには滞りなく家賃が支払われるため、滞納リスクにも悩まされません。
毎月一定額の収入が見込めるため、ローン返済や長期的な資金計画も確実に組み立てられます。
保証賃料は相場より低くはなりますが、空室ゼロ運営と同等の安定収入が得られるメリットは、大きいといえるでしょう。
賃貸経営を基本的に任せられる
サブリースでは、入居者募集から退去立会い・原状回復の手配まで、賃貸経営に伴う管理業務をサブリース会社に丸ごと委ねられます。
オーナーはサブリース会社と契約を交わすだけで、あとは一切関与しない形です。
管理委託でもないため、日常業務では意思決定を求められることもなく、サブリース会社側の判断で賃貸経営が進められていきます(設備更新や大規模修繕などではオーナーの承認が必要となります)。
本業が忙しい会社員オーナーや、高齢で管理が難しいオーナーにとって、賃貸経営を丸投げできる安心感は大きなメリットです。
くわえて、物件の所有者が複数人いて、賃貸借契約や意思決定の手間が大きい場合にも、管理委託よりも任せられる範囲が大きいサブリースは、有望な選択肢といえます。
確定申告が簡単になる
サブリースでは、不動産所得に関する会計処理・確定申告の手続きがシンプルになります。
通常の賃貸管理では物件ごと・入居者ごとの家賃収入や経費を詳細に集計する必要がありますが、サブリースなら、オーナーが受け取る収入はサブリース会社からの一定額のリース料のみです。
複数の物件、および入居者からバラバラに家賃が振り込まれる代わりに、サブリース会社から毎月一定額が振り込まれるだけなので、入金管理が簡略化されます。
経費の整理も比較的容易です。日常の管理費用は、サブリース会社の手数料に含まれるためです。とくに本業を持つ副業大家さんにとっては、確定申告業務がシンプルになることは大きな助けとなります。
入居者トラブルに巻き込まれない
サブリースでは、入居者対応の前面に立つのはサブリース会社です。
家賃滞納の督促、騒音・ゴミ出しなどのクレーム処理、夜間の水漏れ事故対応など、ストレスフルな対応を行う必要はありません。
入居者からの連絡先はサブリース会社になっているため、クレームや緊急トラブルの電話がオーナーに直接かかってくることはありません。深夜の緊急トラブルや家賃滞納の督促、近隣トラブルの調整もすべてサブリース会社が担当します。
精神的ストレスの軽減という観点で、賃貸管理の経験がない初心者オーナーや、トラブル対応に不安を感じるオーナーに向いています。
海外赴任や遠方でも安心できる
サブリースは、オーナーの居住地が物件から遠い場合にも適した選択です。
転勤や海外赴任などでオーナーが遠方に住んでいるケースでは、自主管理はもちろん、通常の管理委託でも、細かな指示出しや現地対応が難しくなります。
サブリースならば、オーナーが物件所在地にいなくても賃貸運営が完結するため、留守宅を預ける感覚で安心して任せられます。
たとえば、地方にある実家マンションを相続したが遠方住まいという場合でも、サブリースで貸し出せば、距離のハンデを気にせず賃貸経営が可能です。長期間自宅を空ける転勤族の方にとっても、空室リスクや管理不在の不安を抱えずに、資産を活用できます。
居住地と賃貸物件が離れている人に向いている契約方式としておすすめで、遠隔地オーナーが物件管理の心配なく安定収入を得る手段として適しています。
マンションをサブリースで貸す6つのデメリット
一方、メリットだけを見て契約すると、「こんなはずではなかった」と後悔する可能性があります。6つのデメリットを具体的に見ていきましょう。
1. 手数料が高く収益性が低下する
2. 家賃が定期的に減額されやすい
3. 免責期間で収入がゼロになる
4. 修繕費用やリフォーム代は自己負担となる
5. 入居者を選べず誰が住んでいるか把握できない
6. 途中解約が困難で違約金は高額となる
手数料が高く収益性が低下する
サブリースでは、オーナーの収益率は自主管理や通常管理に比べて低下します。
先にも触れたとおり、サブリースで得られる家賃は市場家賃の80〜90%程度が一般的です。市場家賃の10〜20%を、サブリース会社が自社の利益として受け取る構造です。
管理手数料が生じない自主管理との比較はもちろん、管理委託(手数料5%前後)と比較しても、収益性は大幅に低下します。
収益性を最優先する投資志向のオーナーには、不向きな側面があります。
家賃が定期的に減額されやすい
サブリースでは、契約当初に決めた保証家賃が将来にわたり、ずっと据え置かれるとは限りません。
多くの契約で、契約更新時などにサブリース会社から保証賃料の見直し(減額)が求められることは先に述べたとおりですが、これを完全に拒否し続けることは、難しいといえます。
なぜなら、借地借家法32条に基づき、サブリース会社との賃貸借契約において、借主(サブリース会社)には経済事情の変化などを理由に賃料減額請求権が認められているためです。
こうした将来的な家賃減額リスクは、サブリースの大きなデメリットです。「家賃保証」という言葉のイメージほど、契約当初の家賃が保証され続けるわけではありません。
出典:国土交通省「賃貸住宅経営において特に注意したいポイント」
免責期間で収入がゼロになる
サブリースには、多くの場合「免責期間」と呼ばれる家賃保証の適用除外期間が設定されています。
免責期間とは、契約開始時や契約更新時から一定期間(一般的に1〜3カ月)について、サブリース会社はオーナーに家賃を支払わなくてよいとする期間です。
これは、サブリース会社側が初回の入居者募集に充てる猶予期間という位置付けです。「契約開始日から起算して○日間は免責期間とし、この間オーナーへの賃料支払いは発生しない」などと契約書に明記されます。
たとえば免責期間2カ月と設定された場合、契約開始から2カ月間は、サブリース会社からオーナーへの賃料支払いはありません。
免責期間中は空室でも家賃保証がないことを理解し、資金計画上も余裕を持っておく必要があります。
修繕費用やリフォーム代は自己負担となる
サブリースでは日常の管理業務は任せられるものの、建物自体の維持管理に要するコスト(修繕費など)は原則オーナー負担となる点に注意が必要です。
サブリース会社はあくまで物件を借りて転貸している立場であり、基本的にオーナーがオーナーとしての責任で修繕義務を負うという考え方です。
たとえばエアコンが故障して交換する場合、その購入・設置費用はオーナー負担です。築年数が経てば大規模な修繕も発生しますが、これもオーナー負担が原則です。
契約時にはどこまでがオーナー負担か、修繕の範囲と費用分担をきちんと確認しておく必要があります。
入居者を選べず誰が住んでいるか把握できない
サブリースでは入居者審査から契約手続きまでサブリース会社が行うため、オーナーは実際に物件に入居する人物を自分で選べません。
多くのサブリース契約では、オーナーはサブリース会社に対して「入居者の選定を一任し、特段の理由なく入居者を拒まない」旨の条項が入っています。
サブリース会社としては空室を埋めるのが最優先ですから、審査基準を満たした申込者であれば入居させます。
たとえば愛着のあるマンションを貸す場合、「できればきれいに使ってくれる人に住んでほしい」などの希望があっても、サブリースでは、オーナーは入居者の契約上の貸主ではないため、入居者選定や契約条件に口出しできないのです。
入居者に関するコントロール権を手放すのは、サブリース利用の代償のひとつです。
途中解約が困難で違約金は高額となる
サブリースの契約をいったん結ぶと、オーナー側から途中で契約を解約するのが難しい点にも注意が必要です。
借地借家法上、借主側(サブリース会社)の権利が強く守られており、貸主(オーナー)から普通借家契約を終了させるには正当事由が必要です。サブリース会社が合意しない限り、契約途中で打ち切るのは難しいと考えましょう。
どうしても解約したい場合、オーナーが違約金(解約金)を支払って契約を終了させる選択肢もあります。しかし、契約によっては「残存期間の家賃相当額」「○カ月分の家賃」を違約金として定めており、数百万円もの違約金を請求される事態もあり得ます。
サブリースは一度始めると簡単にはやめにくいという、契約上の縛りがある点を認識しておく必要があります。
サブリースが向いている人・向いていない人
これまでのメリット・デメリットを踏まえると、サブリースはオーナーの状況によって向き不向きがはっきりと分かれます。あなたがどちらのタイプに当てはまるのか、具体的なケースを見ながら最適な管理方法を判断していきましょう。
- △サブリースが向いていない人
- ◎サブリースが向いている人
△サブリースが向いていない人
まず、サブリースが向いていない人(自主管理や管理委託を選ぶべき人)について確認しましょう。
4-1-1.入居者を自分で選びたいオーナー
物件の入居者属性や賃貸条件に自分のポリシーがあるオーナーには、サブリースはミスマッチです。
サブリースでは入居者選定をサブリース会社に委ねるため、オーナー自身が入居者を選べません。
オーナーの細かな意向(たとえば「独身者のみ」「女性限定にしたい」など)は、反映しづらいでしょう。自主管理や管理委託であれば、オーナーが最終的な入居審査や契約条件の決定権を持てますが、サブリースではそれがありません。
自分の物件には自分の納得する人に住んでほしいという管理意識の強いオーナーには、サブリースはストレスになる可能性があります。入居者管理に口を出せないことを割り切れない場合、サブリースを避けるほうが無難です。
4-1-2.コストを抑えて収益を最大化したい投資志向のオーナー
賃貸経営において利益最優先のオーナーにとって、サブリースは避けるべき選択肢です。
ここまで見てきたように、サブリースでは市場家賃よりも10〜20%低い金額での貸し出しとなるため、投資志向のオーナーには不満が残るでしょう。
自己資金を極力増やしたい・高利回りを追求したいという方は、多少空室リスクや手間を負ってでも、自主管理や管理委託で運用したほうが、収益は上がります。
サブリースでは収入が頭打ちになるので、大きく儲けたい人には不向きです。
4-1-3.空室リスクより収益性を優先できる資金的余裕のあるオーナー
多少空室が出ても支障がない、資金的余裕のあるオーナーは、サブリースを選ぶ必要はありません。
収入の一部を差し出すサブリースよりも、通常管理で満額家賃を目指すほうが合理的です。十分な自己資金やほかの収入源があって、空室が続いても耐えられるオーナーなら、無理にサブリースで安定を買う必要はないでしょう。
◎サブリースが向いている人
サブリースが向いているかどうかは、まずは上記の「向いていない人」に当てはまらないことを確認してください。そのうえで、以下に当てはまる方は、適性が高いといえます。
4-2-1.複数人で物件を所有しているオーナー
サブリースのメリットとしては、賃貸借契約をはじめとする入居者とのやりとりが、一切不要になることが挙げられます。
複数人で物件を所有している場合、入居者との契約で各人が署名・捺印するのは、大きな手間となります。また、物件を共有している人々同士の関係性がこじれていて、頻繁に連絡を取るのがはばかられる場合もあるでしょう。
このようなケースでは、サブリース会社に一括借り上げしてもらい、その後はほぼノータッチで賃貸経営できるサブリースが向いています。
4-2-2.放置している物件があり収益源に変えたい初心者オーナー
たとえば、「相続で、遠方にあるマンションの所有者となったが、賃貸経営をしたことがなく、そのまま放置している」といったケースでは、サブリースは強い味方となります。
入居者募集から契約手続き、管理運営まで丸投げできるため、不慣れな業務によるミスやトラブルを避けられるからです。
自主管理や委託管理に比較すると、サブリースでは収益性は落ちますが、「このまま放っておくよりは、収益性が落ちても、収入が得られたほうがいい」と考えられるのなら、合理的です。
管理丸投げと家賃保証のサブリースは、適した選択肢といえます。
4-2-3.海外赴任や遠方居住で物理的な管理が困難なオーナー
オーナーの居住地と物件が離れている場合、サブリースは有力な選択肢となります。
たとえば海外赴任で国内物件を管理できない場合でも、サブリースなら現地の管理はすべて業者に任せられるからです。
遠隔地から自主管理するのは非現実的ですが、サブリースなら入居者対応も清掃もサブリース会社が請け負うため、オーナーは距離を感じずに運用できます。
また、管理委託と比較しても、意思決定を求められる機会がサブリースではほとんどないため、完全にサブリース会社にお任せで賃貸経営ができます。
「多少収益性が落ちても、自分の手間や労力がまったくかからない選択肢がいい」という方には、サブリースは好相性となります。
マンションをサブリースで貸すときに注意すべきポイント
サブリースが自分に合っていると判断したら、契約で失敗しないための重要なポイントを押さえましょう。信頼できるパートナーを見極め、契約書にサインする前にかならず確認すべき項目を、具体的に解説していきます。
- 信頼できるサブリース会社を見極める
- 契約時に7つの重要ポイントを確認する
信頼できるサブリース会社を見極める
契約する相手のサブリース会社が信頼に足る企業かどうかを見極めることが重要です。サブリースではオーナーの賃貸経営を丸ごと任せるわけですから、相手選び次第でその後の安心度が大きく変わります。
【信頼できるサブリース会社を見極めるポイント】
- 実績や規模の確認:サブリース運営の実績が豊富で経営基盤がしっかりした会社を選ぶと安心です。大手不動産会社や上場企業グループの会社は、財務状況も比較的健全で倒産リスクが低いと考えられます。
- 評判と口コミの調査:実際にその会社と契約しているオーナーの評判や口コミを参考にします。転職者向けの口コミサイトや不動産系の掲示板で、悪徳業者との噂がないか下調べすることも大切です。
- 契約内容の透明性:保証賃料の設定根拠や見直し条件、免責期間、解約条項などについて丁寧に説明してくれる会社は信頼できます。「○年家賃保証」を強調するばかりで、減額リスクに触れない会社は注意が必要です。
- 複数社比較:かならず複数のサブリース会社から提案を取り寄せて、比較検討します。3社以上の見積もりを比較すれば、怪しい契約を避ける助けになります。
契約前に少しでも不安があれば、契約を急がず、ほかの会社も検討する慎重さが大切です。
まずは、サブリースや管理委託も含めて、一括査定で不動産会社とコンタクトを取ることをおすすめします。そのためにおすすめしたいのが、「マンション貸す.com」です。
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契約時に7つの重要ポイントを確認する
信頼できそうなサブリース会社が見つかったら、具体的な契約条件を詰めていきます。以下の7つのポイントは後々のトラブルを防ぐためのチェックリストです。
【契約時に確認すべき7つの重要ポイント】
(1)保証賃料の額と保証率:サブリース会社がオーナーに支払う保証家賃の金額(満室を想定した家賃に対する割合)を確認します。一般的には満室賃料の80〜90%程度ですが、その金額が市場相場や物件力に照らして妥当か、検討しましょう。
(2)家賃見直し(減額)条件:将来的に保証家賃が見直されるタイミングとルールを確認します。多くは2年ごとの更新時に賃料改定がありますが、どのような条件でどの程度見直される可能性があるか、説明を受けましょう。
(3)契約期間と更新条件:サブリース自体の期間(たとえば2年、自動更新ありなど)を確認します。更新料の有無などもチェックします。
(4)中途解約の条件(オーナー側・サブリース会社側):オーナーから契約を途中解約できるか、その条件と違約金について確認します。またサブリース会社側から契約解除される場合の条件も重要です。
(5)免責期間の有無と長さ:契約開始から家賃保証が始まるまでの免責期間について確認します。これがあると最初の何カ月かオーナー収入がゼロになります。入居者入れ替え時にも免責が適用されるケースもあるため、十分に確認しましょう。
(6)修繕・原状回復費用の負担範囲:建物や設備の維持に関する管理費用を誰が負担するかを明確にします。原状回復費用、設備故障の修理交換費、大規模な修繕費など個別項目について、契約書の該当箇所を読み、疑問点を質問してください。
(7)契約書類と重要事項説明書の受領:かならず契約締結前に重要事項説明を受け、書面を交付してもらうことを確認します。2020年の法制定で、サブリース契約前には重要事項説明が義務化されています。
サブリースの契約は、適切な相手と適切な条件で結べば、空室リスクを減らし手間なく賃貸経営を成功させる有用な仕組みです。契約の際にはしっかりチェックして、抜かりなく進めていきましょう。
参考:国土交通省「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(令和2年法律第60号)」
まとめ
本記事では「マンションをサブリースで貸す」をテーマに解説しました。要点をまとめておきましょう。
最初にサブリースの基礎知識として、以下を解説しました。
- サブリースは不動産会社が一括借上げして転貸する仕組み
- 一棟マンションや複数物件で採用されやすい形態
- 通常の賃貸管理委託との違いは契約相手・収入保証・得られる賃料
- 家賃保証率の相場は市場家賃の80〜90
- サブリースには「パススルー型」という形態もある
マンションをサブリースで貸す5つのメリットは、以下のとおりです。
- 空室時も家賃収入が保証される
- 賃貸経営を完全に任せられる
- 確定申告が簡単になる
- 入居者トラブルに巻き込まれない
- 海外赴任や遠方でも安心できる
マンションをサブリースで貸す6つのデメリットは、以下のとおりです。
- 手数料が高く収益性が低下する
- 家賃が定期的に減額される
- 免責期間で収入がゼロになる
- 修繕費用やリフォーム代は自己負担となる
- 入居者を選べず誰が住んでいるか把握できない
- 途中解約が困難で違約金は高額となる
サブリースが向いている人・向いていない人として、以下を解説しました。
△サブリースが向いていない人:
- 入居者を自分で選びたいオーナー
- コストを抑えて収益を最大化したい投資志向のオーナー
- 空室リスクより収益性を優先できる資金的余裕のあるオーナー
◎ サブリースが向いている人:
- 複数人で物件を所有しているオーナー
- 放置している物件があり収益源に変えたい初心者オーナー
- 海外赴任や遠方居住で物理的な管理が困難なオーナー
マンションをサブリースで貸すときに注意すべきポイントは以下のとおりです。
- 信頼できるサブリース会社を見極める
- 契約時に7つの重要ポイントを確認する
サブリースはリスクヘッジと負担軽減の手段として有効ですが、すべての人に最適といえる契約ではありません。本記事で述べた実態を踏まえ、メリットとデメリットを正しく理解したうえで判断していただければ幸いです。
Author information
河上 隼人
1980年11月8日生まれ
広島県出身
株式会社エイムプレイス 代表取締役
インターネットメディア事業「マンション貸す.com」を運営し、不動産オーナーと不動産会社をつなぐ架け橋として活動。効率的で自由度の高い経営スタイルを追求しながら、自らも日々学び続けている。
趣味はトレーニングと健康的なライフスタイルづくり。毎日の冷水シャワーを日課とし、体幹トレーニングではアブローラーの“立ちコロ”を悠々こなす。数年前にお酒をやめてからは、心身ともにすっきりとした日々を楽しんでいる。
「挑戦と進化」をテーマに、自然体で自分らしい生き方を磨き続けている。


