「アパート経営に興味はあるが、儲からないというネガティブなニュースをよく聞く」
「大きな金額が動くアパート経営なので、慎重にリスクを含めて検討をしたい……。」
アパート経営は、多くの方にとっては未経験の領域でしょう。
そのため、世の中の不穏なニュースなどを見聞きして「儲からないものなのかな」「自分には安定的に儲けを出すことができるのだろうか」とモヤモヤと悩んでいるケースが多いようです。
結論としては、アパート経営はオーナーの戦略次第では、きちんと儲け(黒字)を出すことは可能です。
戦略の考え方としては、アパート「経営」の言葉通り、通常の会社経営と同じ意識で儲けの構造を理解することにあります。
アパート経営で儲けを出すための基本構造
アパート経営の収入(賃料など)ーアパート経営の支出(ローン返済など)=儲け(黒字)上記構造のアパート経営の収入や支出につながる賃料アップや融資プランニングは、オーナーがコントロールできる範囲のため「戦略次第」で儲けることができるのです。
ただし、オーナーが何もしない、または誤ったコントロールをしてしまうと、この構造が逆転してしまい「儲からない(赤字)」に転じることもあり得ます。
そのため、失敗を回避し、着実に利益を出すためには、まず「儲からない原因」とその対策をセットで理解しておく必要があります。その上で、自分自身が成功するオーナーの特性を備えているかを見極めることが、検討を進める上での重要なステップです。
とはいえ、適性の有無だけで判断するのは不安ですよね。
実は、安定した収益を出し続けられるかは、オーナー自身の資質だけでなく「信頼できるパートナー(管理会社)を選び抜けるか」という戦略的な視点も大きく関わってくるのです。
そこで本記事では、アパート経営が「戦略次第」で儲かることへの詳しい説明に加え、以下について詳しく解説します。
- 「儲からない」状態になる原因や回避策
- 成功するオーナーの共通点
- 収益の鍵を握る管理会社選びのポイント
最後までお読みいただければ、リスクと成功の条件を多角的に把握した上で、「自分がアパート経営をスタートできるか」を判断できるようになるはずです。さらには、安定的に利益を生み出すアパート経営に向けて何をすれば良いかイメージがつくでしょう。
不動産は専門的な知識も多いため、右往左往することも多いかもしれません。
ですが、本記事でお伝えする「基本的な儲かる(儲からない)構造」を理解することが出発地点です。
ぜひ当記事をお読みいただき、ご自身の今後のアパート経営に活かしていってください。
アパート経営は儲からないのか|答えは「戦略次第」で儲かる!
アパート経営について調べ始めた方が最初に抱く疑問は「アパート経営は本当に儲かるのか?」という点でしょう 。
ネット検索などでネガティブ情報を見る中で、「儲からない可能性のが高いのでは?」と漠然と不安を感じている方もいるかもしれません 。
結論からお伝えすると、アパート経営は「戦略次第ではきちんと儲かる」が答えです。
ただし「戦略次第」ではあるため、「自動的に儲かる仕組み」ではありません。
世の中でいわれる「ほったらかし投資」の言葉を真に受けて放置したままでは、黒字・赤字は偶然性に左右されてしまいます。
具体的には、アパート経営という文字通り「経営」に置き換えて、儲け方を考えることが重要になります。
つまり普通の会社の儲けの構造に照らして、アパート経営の仕組みを考えるのです。
例えば会社であれば、商品やサービスを販売して売上をつくり、そこから人件費や家賃、仕入れ、広告費などのコストを差し引きます。
その結果、残ったお金が利益になります。
アパート経営も同じ構造です。
家賃収入や共益費などが「売上」に該当し、管理費や修繕費、ローン返済、税金などが「経費」になります。
具体的に、レンタル業を営むA社とアパート経営をするAさんの月の「儲け」の構造を見てみましょう。
年間で考えると、多少計算式は変わりますが、入ってくる総額より、出ていく総額が少なければ、その年のアパート経営は黒字ということになります。
その年間黒字が、アパートを所持している期間、累積黒字として積み上がっていくイメージです。
株式投資など他投資手法との最大の違いは、収入も支出もアパート経営では「オーナーの工夫でコントロールできる」という点です。
例えば株式投資では、株を買った会社の業績はオーナー(株主)ではなかなかコントロールできないでしょう。
もちろん、アパート経営においても現実には空室が出たり、突発的な修繕が発生したり、税金がかかったりします。
そのような事態を予測せずに枯渇気味の資金で運用を続けると「儲からない(赤字)」となります。
一方、事前にそのような自体を見込んで資金繰りをしておいたり、空室が早く埋まるような工夫をしたりすれば、「儲かる(黒字)」経営が実現します。
このようにアパート経営は「戦略・工夫次第で儲かる」といえるでしょう。
次章では、一般的に「儲からない」といわれる具体的な原因を、構造的に分解していきます。
アパート経営で儲からなくなる主な理由3つ
アパート経営が「戦略次第で儲かる」とお伝えしましたが、実際に失敗し、収益が出ない状況に陥るオーナーが存在するのも事実です。
失敗の多くは、一部の「詐欺に遭う」といった特殊なケースではなく、知識不足や運用ミスといった対策可能な要因に集約されます 。
本章では「儲からない」状態に陥りがちな、代表的な3つの要因をお伝えします。
- 【知識面】アパート経営の収益構造を理解していない
- 【運用面】アパート経営の運用をないがしろにしている
- 【外部環境面】外部パートナーとの付き合い方が間違っている
早速一つひとつ解説していきます。
【知識面】アパート経営の収益構造を理解していない
アパート経営で儲けが出ない原因の一つは、数値理解をはじめとしたアパート経営の収益構造を理解していない点にあります。
前述したように、アパート経営の「収入」や「収支」は可視化でき、なおかつオーナーのコントロールが可能な領域です。
従って、収益構造を理解していないと間違った判断やコントロールをしてしまい、「儲からない」状態に陥ってしまいます。
具体的に、この理由に該当するオーナーが陥りやすい代表例を解説していきます。
2-1-1.表面利回りしか見ていない
初心者が陥りやすい物件選びのミスが「表面利回り」に騙される現象です。
物件広告で見かける利回りは、多くの場合「表面利回り」であり、これは年間の家賃収入を物件価格で割っただけの数字です。
表面利回りには、毎月固定資産税や手数料、毎月発生する管理費や修繕積立金といった運営コストが一切含まれていません 。
しかし本来であれば、このような運営コストを見込んで算出する「実質利回り」を確認する必要があります。
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物件価格:5,000万円&年間家賃収入:400万円の場合
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|---|---|
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表面利回り |
実質利回り |
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例えば築古の物件は得てして高利回りなので、初心者は注目しがちです。
ただし古い物件は修繕費や管理費が高額になる傾向が多いため、表面利回りと実質利回りに大きな差が生じるケースがあります。
表面的な数字だけで判断してしまうと、運営開始後に「思ったより手残りが少ない」という事態に陥ってしまうのです。
必ず必要な費用を全て見越したうえで、「儲かる」状態が実現できるかを事前確認する必要があるでしょう。
2-1-2.アパート経営に伴う修繕費の見積もりが甘い
次に初心者が「儲からない」状態に陥りやすい点としては、物件運営に伴う修繕費の見積もりの甘さです。
アパート経営は、建物の経年劣化によって必ず修繕費用が発生します。
特に、給湯器やエアコンといった日常生活でよく使用する付帯設備の交換は避けられません 。
儲からないオーナーは、これらの修繕費や突発的な出費を見込んでおらず、資金計画に含めていないケースが多くあります。
具体的には、修繕をまったく組み込まないギリギリの融資計画を組んでしまい、急な出費が発生した途端に赤字に陥るようなケースです。
アパート経営は中長期に渡るため、建物や設備の劣化を見込んで収益シミュレーションを行い、その上で「儲かる」という算段を立てるようにしましょう。
2-1-3.ローン(融資)の構造を理解していない
「融資の借入れを想定していない」あるいは「融資条件や返済比率などのお金の構造を見ない」まま、仲介会社の言葉を鵜呑みにしてしまうことも挙げられます 。
不動産経営は、ローン(金融機関からの融資)を組むことで大きな収益を狙える仕組みです。
オーナーのキャッシュ投入を最小限に留めて、数千万円~数億円のアパートを手にできるため、不動産投資を行う方の強い味方といえます。
ただし、同時に数千万円~数億円の借金(負債)を抱えることになるため、ローンの組み方一つで経営の安定性が大きく変わります。
例えば高い金利や短い返済期間で無理なローンを組んでしまうと、毎月の返済額が家賃収入を大きく上回り、常に資金が枯渇した状態になります。
この状態では経営は自由度を失い、儲けを出すための工夫が打てない原因となります 。
このように、ローンはオーナーの資金投入を最小限に留めて高額物件が買える「レバレッジ(てこの原理)」が魅力ですが、同時に経営を圧迫する最大の要因にもなり得るのです。
つまりオーナーとして儲けを出すためには、購入前に複数の金融機関の条件を比較し、無理のない範囲で長期的な資金計画を組む必要があるでしょう。
【運用面】アパート経営の運用をないがしろにしている
アパート経営で儲けが出ない原因の二つ目は、アパートの運営面の甘さが挙げられます。
アパートは購入して終わりではありません。
むしろ購入後の運用が、アパート「経営」で儲けを生み出す重要なプロセスとなります。
具体的に、この理由に該当するオーナーが陥りやすい代表例を解説していきます。
2-2-1.空室を放置してしまう
空室が発生したときに「運が悪い」「どうしようもない」と思うことは、儲からないオーナーに共通する特徴の一つでしょう。
空室は、オーナーにとって最も分かりやすい損失です。
家賃収入がゼロになる一方で、維持費やローン返済はかかり続けるからです。
例えば以下のような状況を想定してみて下さい。
- 満室であれば100万円の家賃収入だが、空室により70万円の収入しかない
- アパート運営費(管理費や返済費用)は80万円発生する
このような状況のアパートであれば、毎月10万円の赤字になってしまいます。
放置していると、年間で120万円の損失になってしまいます。
空室を「運」として放置せず、「経営課題」として対策できる領域だと捉えることで、安定的に儲かるオーナーに近づくでしょう。
2-2-2.市場(相場・競合)を見る習慣がない
アパート経営において、マーケット(相場・競合)を見る習慣がないことは、儲からないことにつながりやすい点です。
不動産には固定的な価格はないため、常に市場を意識しながら「あえてこの価格にする」を、オーナーが設定する必要があります。
入居率を維持するためには、周辺エリアの相場や競合物件の情報を常に把握し、適切な家賃設定や募集条件を見直す必要があります 。
例えば、周辺でタワマンが乱立しているような環境で、築10年以上の物件を同相場で賃貸募集していたら、空室期間は長引くだけです。
市場を見る習慣がないオーナーは、情報が古いままで「空室が長引く」か「安易に家賃を下げる」という二択に追い込まれがちです。
家賃が一度下がると、長期的な収益に大きな差を生んでしまいます。
常にマーケットを注視し、その中での自分のアパートの立ち位置を点検することが、儲かるオーナーの秘訣といえるでしょう。
2-2-3.入居者トラブルを放置する
運用面において、入居者トラブルの放置もまた「儲からない」構造を生みがちです。
初心者のオーナーほど、トラブルの火種は「直接的な金銭的損失には見えない」と捉え、放置しがちです。
しかし、生活マナーによる一つのトラブルが、別の優良な入居者の早期退去につながり、結果的に空室発生や評判低下を招きます。
例えば、騒音やゴミ出しといった小さな入居者間トラブルを放置することです。
トラブルの初動対応の遅れは、オーナーに大きな入れ替えコスト(原状回復費、再募集費用など)を負わせる運用ロスとなります。
従って、出来るだけトラブルは「火種」レベルのうちに見つけ、他入居者の退去につながらないように、火消しすることが重要でしょう。
【外部環境面】外部パートナーとの付き合い方が間違っている
アパート経営で儲けが出ない最後のポイントは、外部パートナーとの間違った付き合い方です。
オーナーはあくまで「物件所有者」というだけです。
実際にはアパート経営には様々なステークホルダーが存在し、オーナーは「儲かる」状態に向けて関係者とリレーションシップを築く必要があります。
具体的に、この理由に該当するオーナーが陥りやすい代表例を解説していきます。
2-3-1.仲介業者の言いなりになってしまう
初心者のオーナーが陥りやすいのは、物件選びの際に仲介業者の言っていることを鵜呑みにしてしまうことです。
具体的には「こんな好条件な物件は滅多にでない」「他の人からすぐ買付け(申込み)が入るので急いだ方が良い」というような、仲介業者からのセールストークでしょう。
少しシビアな見方かもしれませんが、仲介業者の役割は「物件の売買を成立させること」にあります。
例えば売りにくい物件は、売りやすい不動産ビギナーに紹介するかもしれません。
融資条件や物件価格について、オーナーにとって不利な情報を隠したまま、契約を急がせるケースもあります。
仲介業者は必ずしも「オーナーが長期的に儲かること」を最大の目的としているわけではありません。
そのことを念頭において、常に仲介業者のセールストークを自分で裏付け確認する必要があるのです。
2-3-2.ステークホルダーの目線を知らない
アパート経営を「儲かる」状態にするためには、経営にかかわるステークホルダーの目線の違いを知ることも重要です。
具体的には、アパート経営には「オーナー」「管理会社」「入居者」という三者が関わっており、それぞれ目指すゴールが微妙に異なります 。
たとえば、管理会社は効率や稼働率を優先し、「短期であってもとりあえず入居させたい」と考えることがあります。その結果、質の低い入居付けとなり、すぐに退去が発生してオーナーが二重のコスト(原状回復費、再募集費)を負うことになります 。
誰かが悪いのではなく、役割と立場によって優先順位が異なるという構造を理解していないと、外部パートナーに振り回されやすくなります 。
このようなステークホルダーごとのメリットを理解した上で、ご自身の意向をうまく取り入れてもらうことが、中長期のアパート運営では重要でしょう。
2-3-3.「良い管理会社」を選ぶ重要性を知らない
実はアパート経営の「儲かる・儲からない」を左右するうえで重要なのが、管理会社の存在です。
なぜならアパート経営は「購入後」の運用が長くなるため、中長期的なパートナーとなるのは管理会社だからです。
しかし、初心者の多くは物件購入時の仲介業者選びに注力し、管理会社選びの重要性を軽視しがちです。
管理会社の動きが悪い(対応が遅い、提案がない、担当者が頻繁に変わる)と、空室、修繕、トラブルの全ての悩みが長引き、中長期に渡る悩みの種になります 。
この外部パートナー選びが、最終的に「儲かる経営」を実現するための最重要ポイントとなることを覚えておいてください。
失敗組と成功組を分ける「儲かるための3つの対策」
この章では、前章で解説した「儲からない原因」を克服するだけでなく、不動産経営ならではの収益向上策を3つご紹介します。
この3つの知識は、他の一般的な投資にはないアパート経営ならではのメリットなので、利益創出の戦略的な土台です。
- 「減価償却」を活用してキャッシュを増やす
- 出口戦略(売却)を含めたトータル収支で考える
- 管理コストを「投資」と捉える
多少テクニカルな情報もありますが、ぜひ知識として覚えておいて下さい。
「減価償却」を活用してキャッシュを増やす
これまでで「黒字」や「赤字」について触れましたが、アパート経営で成功している方々は「良い赤字(減価償却)」を活用しているのが特徴です。
減価償却はアパート経営特有のポイントです。
具体的には減価償却は、経営において「使っている=税金の免除対象となる」にもかかわらず、実際には手元のキャッシュは減っていない科目です。
会社で例えると、システムや設備の減価償却費に該当します。
実際には現金の支出がないにもかかわらず、帳簿上では経費として計上できます。
建物も同様で、年々古くなった「資産価値の減少分」を経費として計上するルールだからです。
例えば、家賃収入が年間1,000万円あり、管理費や金利などの現金支出が600万円だったとします。
この場合、手元の現金は「1,000万円 - 600万円 = 400万円」のプラスです。
ここに「減価償却費:500万円」を経費計上すると、以下のような現象が起こることになります。
あるアパート経営者のケース
・年間家賃収入から支出を引いた手残り=400万円↓
・減価償却費=500万円
↓
・帳簿上の計算=400万円(手残り)- 500万円(減価償却)= ▲100万円
(会計上は「赤字」になる)
↓
・結果=税金はかからない(赤字のため)
※さらに給与所得との損益通算で節税も可能
→税金を抑えつつ、手元の400万円はそのまま残る。
帳簿上の計算は「利益400万円 - 減価償却費500万円 = ▲100万円」となり、会計上は赤字になります。
このケースの場合は会計上が赤字なので、この不動産所得に対する税金はかかりません。(赤字でない場合でも、他の給与所得と相殺して節税も可能です)
結果として、税金を抑えながら手元の400万円のキャッシュはそのまま残ることになります。
このように「帳簿は赤字だが、現金は増えている」という状態を作り出せるのが、不動産経営における最大のメリットの一つといえるでしょう。
この仕組みを理解し活用できるかどうかが、手残りキャッシュの量に大きな差を生みます。
出口戦略(売却)を含めたトータル収支で考える
アパート経営の儲けは、毎月のキャッシュフローだけでなく「累積」で考えることが重要です。
そのため、購入時の価格や毎月の収支だけでなく、出口戦略(売却)を含めたトータルで収支を考える必要があります。
不動産ならではの収益構造のメリットは、純資産の増加にあります。
毎月ローンを返済するたびに、借入金という負債が減り、物件の価値という純資産が増加していくからです。
例えば、5,000万円のアパートをフルローンで購入し、家賃収入と返済額がほぼ同額で、毎月の手残りがゼロだったとします。
毎月の目線だけであれば、一見すると儲かっていないように見えます。
しかし10年後、ローン返済が進み、借入残高が4,000万円まで減っていたとしましょう。
この時点で物件を4,800万円(購入時より少し値下がりした価格)で売却できたとします。
売却代金4,800万円で残債4,000万円を完済すれば、手元には800万円の現金が残ります。
毎月の収支はゼロでも、10年間で800万円の資産が積み上がっていたことになるのです。
このように、アパート経営は目先の数字だけでは「儲かる」かどうかは判断できません。
つまり「最終的に資産がいくら残るか」というトータル収支で判断できるかが、成功組と失敗組を分けるポイントでしょう。
ちょっとした豆知識
個人事業主の場合は物件取得から5年以内に売却すると「短期譲渡」というものに該当し、発生する税金が5年以上の「長期譲渡」と比べると高額になります。→そのため、「5年以上は所持する」前提で中長期の資産形成の目線を持つことがおすすめです。
管理コストを「投資」と捉える
前述したように、空室の長期化や家賃の下落は運用ロスであり、収益を大きく蝕む原因です。
「支出」観点だけで考えると、管理会社に支払う委託費用は、単なる経費として見てしまうと削減したくなるでしょう。
しかし、管理会社は空室対策やトラブル対応など、アパート経営の根幹を担うパートナーとなるため、きちんと「投資」として費用を捉えるべきなのです。
例えば、家賃10万円の部屋に対して、月額5,000円(5%)の管理費を惜しんで、オーナーが自主管理をしたとします。
管理会社に依頼した場合は、年間で6万円のコスト削減になります。
しかし、募集ノウハウが乏しいオーナーでは空室が埋まらなかった場合、毎月10万円の損失が発生します。仮に1ヶ月の空室ロスだけだとしても、せっかく削った年間の管理費以上の損失が出てしまうのです。
逆に言えば、年間6万円の管理費を払うことで、空室期間を短縮できたり、家賃下落を防げたりするのであれば、それは非常に費用対効果の高い投資になります。
委託コストよりも、委託しないことで発生するロスコスト(空室・トラブル・家賃下落)の方が大きくなることを意識してください。
優秀な管理会社への委託費用は、未来の利益への投資であると捉えるべきでしょう。
アパート経営で成功するかどうかのチェックポイント
アパート経営で「儲かる人」と「儲からない人」の違いは、特別な才能や運ではありません。
これまで解説した構造やリスクに対して、適切な行動が取れるかどうかの違いです。
本章では、アパート経営に向いている人の傾向を
- 「自身の行動面」
- 「外部環境・運用面」
の2つに分けて解説します。
ご自身にオーナーとしての適性があるか、具体的な場面を想定したチェックリストで確認してみてください。
自身の行動面でチェックすべきこと
まずは経営者自身である、自分自身の行動をチェックするのがスタートです。
具体的に、アパート経営に向いている人は、物件の良し悪しを「見た目」や「雰囲気」といった感情ではなく、ドライに「数字」で判断することが理想でしょう。
自分の好みや直感は、しばしば経営判断を曇らせます。
例えば「自分が住みたいくらい内装が素敵だ」という理由だけで物件を選んでしまうのは危険です。
アパート経営において重要なのは「その内装費が家賃に反映でき、回収できるのか」という投資対効果だからです。
また、短期的なトラブルに一喜一憂せず、長期視点でどっしりと構えられるかも重要な資質でしょう。
以下のチェックリストで、ご自身の判断のクセを確認してみてください。
| 行動面チェックリスト | NG例 | OK例 |
|---|---|---|
|
物件の良し悪しを「数値」「客観指標」で判断できる |
「内装がオシャレで気に入った!これなら入居者も喜ぶはずだ」と即決する |
「内装は良いが、この価格だと利回りが合わない。家賃を1万円上げられる根拠はあるか?」と数値で判断計算する |
|
満室のときでも「市場」を見る習慣がある |
「今は満室だから安心だ」と、何もしないまま放置している |
「近隣に新築アパートが建ったらしい。競合になる可能性があるから家賃や設備をポータルサイトで調べておこう」と確認する |
|
トラブルが起きても「10年単位」で捉えられる |
「給湯器が壊れて10万円も飛んだ!もう今月は赤字だ、どうしよう」と慌てふためく |
「10万円の出費は痛いが、10年間の収支計画の中では想定内の誤差だ」と冷静に対処する |
このように、感情よりも「数字」と「論理」を優先できる人が、最終的に資産を残せるオーナーです。
経営においては、常に投資対効果(ROI)を優先する姿勢が不可欠でしょう 。
外部環境・運用面でチェックすべきこと
外部パートナーとの付き合い方において、最も重要なのが「相手の言葉を鵜呑みにしない」という姿勢です。
仲介業者や管理会社にはそれぞれの事情やゴールがあります。
具体例としては、仲介業者の「人気物件ですよ」という言葉や、表面利回りだけを信じて購入を進めるのは、危険な行為です。
また、リスクを「想定外の不運」として片付けるのではなく、「いつか起きるコスト」として計画に組み込めるかも、経営の安定性を左右します 。
以下のチェックリストで、対外的な折衝やリスク管理のスタンスを確認してみてください。
| 行動面チェックリスト | NG例 | OK例 |
|---|---|---|
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営業トークの「裏付け」を自分で確認できる |
「この物件は人気ですぐ売れてしまいますよ!」と言われ、焦って買い付けを入れる |
「なぜ人気なのか?周辺の空室率は本当に低いのか?」と、客観的なデータを見せてもらう |
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融資条件や返済比率など「お金の構造」を見ている |
「銀行が貸してくれるなら大丈夫だろう」と、月々の返済額や収支を確認せずにローンを組む |
「金利が上昇しても返済できる余裕はあるか?キャッシュフローが回る返済比率か?」を確認する |
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空室や修繕を「予想外の事件」として見込んでいる |
「新築だし、しばらく修繕なんて起きないだろう」と、手元の資金を使い切ってしまう |
「いつか設備は壊れるものだ。その時のために家賃の3%は修繕積立として別口座に残そう」と準備する |
アパート経営は、オーナー一人の力だけで成功させることはできません。
しかし、最終的な責任を負うのはオーナー自身です。
だからこそ、パートナーを信頼しつつも依存せず、自分の目でお金と人の動きを管理できる人が、成功するオーナーといえるでしょう。
オーナーは管理会社選びで「儲け」はコントロールできる
ここまで、アパート経営の仕組みや、オーナー自身に求められる行動について解説してきました。
前向きにアパート経営に踏み出そうと思ったという方に、最後に「管理会社を選ぶ」ことが、アパート経営の儲けに重要な点ということをお伝えします。
なぜならオーナーがどれだけ勉強し、正しいマインドを持っていたとしても、実際の現場で入居者を集め、建物を維持するのは「管理会社」だからです。
つまり、パートナーとなる管理会社の質が、最終的な「儲け」をコントロールするといっても過言ではありません。
最後に本章では、失敗しない管理会社選びの3つの視点をお伝えします。
- アパート経営目線で管理会社の違いを数値化する
- 優秀な管理会社の「儲けるための工夫」を知る
- 複数の管理会社を比較する
詳細な不動産の知識がなかったとしても、頼れる管理会社が見つかれば、ある程度安定的にアパート経営は回していけるでしょう。
アパート経営目線で管理会社の違いを数値化する
管理会社選びは、収益上に良いインパクトを与えるかどうかで選ぶようにしましょう。
儲かるオーナーになるためには、管理会社に支払う委託費を単なる外部コストではなく、「利益を生むための投資」と捉える必要があります。
管理委託費の数千円を節約して管理会社を選定してしまった結果、結果的にその何十倍もの損失を出すケースが後を絶たないからです。
例えば、家賃8万円の部屋で、以下の2社を比較検討したとします。
- A社(優秀な会社):管理費 4,000円(5%)/ 募集力が強く「1ヶ月」で成約
- B社(格安な会社):管理費 2,000円(2.5%)/ 募集力が弱く「3ヶ月」で成約
コスト削減の観点だけで見れば、毎月2,000円安いB社を選びたくなるでしょう。
しかし、実際に手元に残るお金を計算すると、結果は逆転します。
| 家賃8万円の物件のケース | A社(優秀)手数料:5% | B社(格安)手数料:2.5% |
|---|---|---|
|
毎月の委託費 |
4,000円 |
2,000円 |
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年間の委託費差額 |
― |
+2.4万円 |
|
空室期間の損失 |
▲8万円 |
▲24万円 |
|
最終的な損失差 |
― |
▲16万円の損失(A社より期間が2ヶ月長いため) |
このように、B社を選んで「年間2.4万円」を節約したつもりでも、空室が埋まらないことで「16万円」の家賃収入を失っていることになります。
「委託コスト」よりも「委託しないことで発生するロスコスト(空室・家賃下落)」の方が圧倒的に大きくなる意識が重要なのです。
優秀な管理会社への委託費用は、未来の利益を守るための投資として、数値換算するようにしましょう。
優秀な管理会社の「儲けるための工夫」を知る
管理会社を選ぶ際に押さえておきたい2つ目の視点は、自主管理では無理な工夫をしてくれるかどうかという点です。
具体的には「家賃を下げずに収益を最大化する工夫」を持っているかどうかです。
儲からない管理会社や、ノウハウのない自主管理では、空室が埋まらないとすぐに「家賃を下げましょう」という判断になりがちです。
このような誰でも思いつく安易な解決策では、オーナーの長期的な収益は確実に減ります。
一方で優秀な管理会社は、以下のような専門的な施策を行い、家賃(資産価値)の維持に努めます。
【優秀な管理会社が行うプロの施策例】
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データに基づく適正査定
|
勘に頼らず、周辺の競合物件の稼働率や成約事例データをもとに、勝てるギリギリの高値ラインを見極める |
|---|---|
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「見せ方」の演出
(ホームステージング) |
広角レンズによる撮影や、モデルルームのような家具配置(ステージング)を行い、ポータルサイトでの閲覧数を最大化する |
|
仲介業者への営業活動
(リーシング) |
WEB掲載だけでなく、地域の仲介店舗を足で回り、担当者に自社物件を優先して紹介してもらうよう交渉する |
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設備投資によるバリューアップ提案
|
家賃を3,000円下げる(年間3.6万円の損失)代わりに、5万円の無料Wi-Fi導入やセキュリティ強化を提案し、物件力を上げる |
プロのノウハウなしに、サラリーマン大家や、遠隔地に住むオーナーが自主管理でアパート経営の儲けを最大化するのは至難の業といえます。
その中で、上記のような一人でこなすのが困難とされる工夫を提案してくれるか否かが、重要な要素となるでしょう。
複数の管理会社を比較する
最後の視点として、中長期のアパート経営のパートナーとなる管理会社は、必ず複数の管理会社で比較をする必要があるということです。
世の中の管理会社には「地場に強い」や「賃貸付けに強い」や「リフォームが強い」など、各社得意分野が異なります。
アパート経営でオーナーが重視するポイントとは違う強みを持つ管理会社を選んでしまうと、短期間で管理会社を変更することになってしまいます。
その都度「探す」「選ぶ」「契約する」などのプロセスが発生するため、本業のアパート経営に集中しにくい状況に陥ってしまいます。
具体的に、管理会社の代表的なチェックポイントをご紹介します。
【チェックポイント】
- 管理費用はどれくらい開きがあるか・標準管理に含まれるメニュー内容に違いがあるか
- オプションメニューのバリエーションに違いがあるか
- 該当エリアの管理実績数に違いはあるか
ただし世の中に数多く存在する管理会社のWEBサイトをいちいち確認するだけでも、かなりの労力が必要でしょう。
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今回は、アパート経営の「儲かる」「儲からない」を分かつ収益構造と、儲かる不動産オーナーになるためのポイントを解説しました。
あらためて当記事のポイントをまとめます。
◎アパート経営は儲からないのか|答えは「戦略次第」で儲かる!
◎アパート経営で儲からなくなる主な理由3つ
・【知識面】アパート経営の収益構造を理解していない
・【運用面】アパート経営の運用をないがしろにしている
・【外部環境面】外部パートナーとの付き合い方が間違っている
◎失敗組と成功組を分ける「儲かるための3つの対策」
・「減価償却」を活用してキャッシュを増やす
・出口戦略(売却)を含めたトータル収支で考える
・管理コストを「投資」と捉える
◎アパート経営で成功するかどうかのチェックポイントは大きく以下の2つ
・「自身の行動面」
・「外部環境・運用面」
◎オーナーは管理会社選びで「儲け」はコントロールできる
・アパート経営目線で管理会社の違いを数値化する
・優秀な管理会社の「儲けるための工夫」を知る
・複数の管理会社を比較する
本文でもたびたび触れましたが、数年に及ぶオーナー生活では、一緒にタッグを組む「管理会社」の存在が非常に大事になります。
良い管理会社が見つかれば、現在の物件管理だけではなく、今後の不動産売買や賃貸経営の心強いパートナーになってくれるはずです。
ぜひ短期的な視点だけではなく、中長期的な視点で管理会社とのお付き合いを考慮し、オーナー成果を最大化していただければ幸いです。
Author information
河上 隼人
1980年11月8日生まれ
広島県出身
株式会社エイムプレイス 代表取締役
インターネットメディア事業「マンション貸す.com」を運営し、不動産オーナーと不動産会社をつなぐ架け橋として活動。効率的で自由度の高い経営スタイルを追求しながら、自らも日々学び続けている。
趣味はトレーニングと健康的なライフスタイルづくり。毎日の冷水シャワーを日課とし、体幹トレーニングではアブローラーの“立ちコロ”を悠々こなす。数年前にお酒をやめてからは、心身ともにすっきりとした日々を楽しんでいる。
「挑戦と進化」をテーマに、自然体で自分らしい生き方を磨き続けている。


