「アパート経営に興味あるけどどうなんだろう?儲かるんだろうか?」
「土地活用でアパート経営を検討しているけど、まず何から始めればいいんだろう?」
「アパート経営の良い面だけでなく、失敗しないための具体的な注意点も知っておきたい」
アパート経営にチャレンジしてみたくても、さまざまな疑問や不安を抱く方がほとんどではないでしょうか。検討を始めるにあたって、メリット・デメリットを比較したうえで「自分にもできそうかどうか」の判断をしたいと思う方も多いはずです。
この記事では、初心者がまず知るべき基礎知識やメリット・デメリットをまず解説します。
そのうえで「向いているケース」「向いているケース」を見ながら、自分はどうするかを判断できるような情報をお届けします。
アパート経営を成功させるには、楽観的な利回りに惑わされずに現実的な計画を立てて、信頼できるパートナーと並走しながら、自分でも情報収集を怠らない姿勢が重要です。
最後まで読み進めることで、あなたがオーナーとしてアパート経営を成功させ、安定した将来を築く具体的なポイントまでを理解できるはずです。ぜひ最後までお読みください。
アパート経営とは?初心者が知っておくべき基本知識
まずは「アパート経営について基本から理解したい」という方に向けて、初心者が知っておくべき内容をわかりやすく解説していきます。
自分がオーナーになったと仮定して、毎月の家賃を受け取りながら着実に資産を形成していく姿をイメージしながら読み進めてみてください。
アパート経営とは:主に家賃収入を得ることを目的とするビジネスモデル
アパート経営とは、所有しているアパートの各部屋を貸して、入居者からの家賃収入を毎月継続して得るビジネスモデルをいいます。
既に稼働している「中古アパート」を購入して始めるケースもあれば、あらたに「新築アパート」を建てるケースもあります。
たとえば、6部屋のアパートで家賃が7万円ならば、満室経営の場合、毎月42万円の家賃収入を得ることができます。この家賃収入の中から、ローン返済や管理会社への支払い、修繕費などの経費を差し引いた利益を受け取ります。
ローンを活用して中古一棟アパートを購入した場合
物件情報:地方都市・築5年・6戸アパート物件価格:6,000万円(
借入金額:4,500万円、自己資金:1,500万円)
借入条件:金利:2%、借入期間:20年
満室時の家賃収入:毎月42万円(家賃7万円×6戸)
毎月のローン返済額:約23万円
毎月の経費:6万円(修繕などの予備費を含む)
満室で運用できた場合、毎月の収支は、42万円-23万円-6万円=13万円の黒字となります。
入居率90%なら家賃収入=42万円×0.9=37.8万円となり、毎月8.8万円の黒字
入居率80%なら家賃収入=42万円×0.8=33.6万円となり、毎月4.6万円の黒字です。
キャピタルゲイン(物件の売却益)は狙いにくいですが、建物を取り壊した後も土地の価値は残るため、インフレに強い資産を保有できます。
アパート経営は、他の資産運用方法(株式投資や投資信託など)と異なり、金融機関から融資を受けやすく、初期投資を抑えながら大きな資産を運用できる点が最大のメリットです。
さらに詳しく儲けの構造を知りたい方は、「アパート経営の利回り入門!相場・理想値・計算方法を初心者に解説」の記事もぜひ参考になさってください。
アパート経営を始める場合の主な流れ
アパート経営を始める方法は、大きく分けて「中古アパートを購入する方法」と「アパートを新しく建てる方法」の2パターンがあります。
【パターン1】中古アパートを購入する場合
- 物件を検索する:
収益物件サイトなどで、稼働中の中古アパートを探します。 - 物件選定・買い付け:
収益性などを確認して、不動産会社へ「この価格で買いたい」という意思表示(買付)をします。 - ローン特約付き売買契約:
「融資が通らなかったら白紙に戻す」というローン特約を付けて売買契約をします。 - ローンを結ぶ:
売買契約書を金融機関に提出して、本審査を経てローン契約を結びます。 - 管理会社の選定・契約:
スムーズに運営できるよう事前に管理会社を選定しておき、委託管理契約を済ませます。 - 決済・引き渡し:
残代金を支払い、元のオーナーから所有権を引き継ぎます。 - 経営スタート:
既存の入居者からの家賃収入を得ます。
【パターン2】新築アパートを建設する場合(土地がある場合)
- 市場調査・コンセプト決定:
「単身者向け」と「ファミリー向け」どちらの需要があるかなど、管理会社や建築会社と相談して方向性を決めます。 - 建築プランの作成・比較:
複数のハウスメーカーや工務店から、間取り(プラン)と建築費の見積もりを取り寄せます。 - 収支シミュレーションの確認:
建築費に対して、将来の家賃収入や固定資産税などの税金、ローン返済が回るか精査します。 - 建築請負契約とローン契約:
建築会社を決定して契約を結びます。同時に、建物代金を支払うためのアパートローンを申し込みます。 - 着工・管理会社の選定:
工事が始まる時期に賃貸管理会社も決め、完成後の入居者募集に向けた準備や家賃設定の最終確認を行います。 - 竣工・引き渡し・募集開始:
建物が完成し、引き渡しを受けます。新築物件として大々的に入居者募集をかけます。 - 経営スタート:
最初の入居者が決まり次第、家賃収入が発生します。
中古アパートを取得する場合は、すでにアパートに入居者がいる状態(オーナーチェンジ)なので、物件を決めさえすればあとはローン内容を調整して管理会社を決めるだけです。
一方で、新築アパートを建設する場合には、賃貸ニーズに合わせたプラン作成などが必要となります。
中古・新築のどちらを選ぶ場合も、アパート経営にはノウハウや経験が重要なので、自己判断せずにアパート経営に詳しい不動産会社や建築会社に相談しながら進めるのがおすすめです。
アパート経営を始める5つのメリット
前章では、アパート経営が「家賃収入」を主軸としたビジネスであるという基本的な仕組みを解説しました。
仕組みを理解したところで、次に知っておくべきなのは「なぜ多くの人が他の投資ではなくアパート経営を選ぶのか」「アパート経営は実際のところ何がメリットなのか」という側面です。
本章では、アパート経営を始めることで得られる5つの大きなメリットを詳しく解説します。
アパート経営を始める5つのメリット
- 手間なく安定した収入を継続的に得ることができる
- 融資を受けやすくレバレッジを利かせることができる
- さまざまな節税効果を期待できる
- 生命保険代わりにすることもできる
- 自分で工夫して収益を改善できる
アパート経営は安定収入を得られるだけでなく、融資や節税での優遇も期待できますし、自分で工夫した結果が利益につながる面白さもあります。アパート経営の可能性をイメージしながら読み進めてみてください。
手間なく安定した収入を継続的に得ることができる
アパート経営は、オーナーの手間を最小限に抑えつつ、高い安定性をもって収入を継続的に得ることができるという大きなメリットがあります。
アパート経営をスタートさせてしまえば、決まった家賃×戸数分の金額が継続的に入り続けるため、安定したキャッシュフローを確立できます。さらに管理会社に委託すれば、入居者対応や家賃集金、設備の故障対応、退去時の手続き、入居者募集など煩雑な管理業務のほぼすべてを代行してもらえます。
これによりオーナーは、毎月決まった日に銀行口座に家賃収入が振り込まれるという「不労所得」に近い状態を実現できます。
木造中古アパート経営の家賃収入イメージ
木造2階建てアパート築年数:築25年
間取り:1K×6戸
家賃:月5万円(満室時月収30万円)
購入価格5,000万円(自己資金2,000万円)
ローン返済:毎月約16万円(金利2.5%・20年)
毎月の経費:6万円(満室想定年収の20%)
満室の場合、毎月30万円の家賃収入を得ることができる
(ローン返済+経費を差し引くと、毎月8万円の黒字)
新築アパート経営(土地あり)の家賃収入イメージ
築年数:新築間取り:1DK×6戸
家賃:月8万円(満室時月収48万円)
建築価格1億円(自己資金5,000万円)
ローン返済:15.3万円(金利1.5%・35年で計算)
毎月の経費:9.6万円(満室想定年収の20%)
満室の場合、毎月48万円の家賃収入を得ることができる
(ローン返済+経費を差し引くと、毎月23.1万円の黒字)
手間のかからない仕組みと安定した収益性は、将来の生活設計や老後の資産形成を支える、強固で信頼できる基盤となります。
融資を受けやすくレバレッジを利かせることができる
アパート経営の大きなメリットとして、金融機関からの融資(アパートローン)を利用しやすい点も挙げられます。これにより少ない自己資金で大きな資産を運用できるレバレッジ効果を得られます。
アパート経営では、アパートそのものをローンの担保として提供できるため融資が下りやすく、自己資金以上の規模で物件を取得したり建築したりすることが可能になります。
「自己資金が1,000万円でも融資を受けて5,000万円のアパートを取得する」ということが可能であるため、より多くの家賃収入を得ることができるのです。
たとえば1,000万円の自己資金だけで1,000万円のアパートを運用して家賃収入が年間100万円しか得られない場合も、融資を受けて5,000万円のアパートを運用することで家賃収入を3倍にするようなことが可能です。
上手くローンを活用して資金効率を最大化できれば、短期間でより効率的に資産を築くことができます。
さまざまな節税効果を期待できる
アパート経営は税金対策として活用できるというメリットもあります。以下のような複数の税制上のメリットを得られるためです。
アパート経営で得られる節税効果の例
- 減価償却費を計上できる:実際には現金が支出されないにもかかわらず、建物の経年劣化分を費用として計上できる「減価償却費」が大きな経費となるため、帳簿上の利益を抑えることが可能です。
- 他の所得と損益通算できる:アパート経営で赤字が発生した場合、給与所得など他の黒字所得と合算して相殺(損益通算)できるため、結果として課税対象の所得全体を減らすことができ、所得税や住民税を軽減できます。
- 相続税評価額を圧縮できる:土地や建物といった不動産は、現金などの金融資産と比べて、相続税を計算するときの評価額が低く算定されるため、相続税や贈与税の金額を圧縮できます。
現在の税金を減らせるほか、相続や事業継承時などの相手の負担も減らすことができます。
生命保険代わりにすることもできる
アパートローンを組むときに「団体信用生命保険(団信)」に加入することで、生命保険のような保障機能を持たせることが可能です。
「団体信用生命保険(団信)」とは、ローンを組んだオーナーが死亡した場合(または高度障害に陥った場合)に、ローン残債が完済した状態になる仕組みです。
つまり、もしオーナーに万が一のことがあった場合に、遺族に無借金状態のアパートのみを残すことができます。アパートから得られる家賃収入が、遺族の生活資金を支えてくれるというわけです。
自分で工夫して収益を改善できる
アパート経営は、株式や債券といった金融商品への投資とは異なり、自身が主体的に経営者として関与して収益を能動的に改善できるという大きなメリットがあります。
なぜならば、アパートの経営状況は、単なる市場の動きだけでなく、家賃設定やリフォーム計画、入居者募集の戦略、管理会社の選定など、オーナー自身の判断と行動に影響される要素が非常に多い「事業」だからです。
たとえば、ターゲット層に合わせた魅力的な最新設備(インターネット無料化など)の導入を決定して入居率を上げたり、複数の管理会社を比較・交渉して管理手数料を削減したりするなど、自身の創意工夫や努力がダイレクトに収益の向上に繋がります。
市場にただ委ねるのではなく、自分の手で事業をコントロールし、利益を伸ばしていくことが可能である点が、アパート経営の大きなメリットといえます。
アパート経営の4つのデメリット・注意点
前章ではアパート経営のメリット(良い面)をまとめましたが、ここからは反対に、アパート経営が持つリスクや注意点など悪い面についても解説していきます。
アパート経営の4つのデメリット・注意点
- かならず儲けが出るとは限らない
- 物件価格・建築費用が高額になる
- 空室リスク・老朽化リスクなどさまざまなリスクがある
- 成功するためにはノウハウ・知識が不可欠
どんな事柄にも良い面と悪い面はあります。大切なのは、都合の良い面だけを見るのではなく悪い面も理解したうえで、「失敗を避けるにはどうしたら良いか」を考えてリスクヘッジをしておくことです。
楽観的なシミュレーションだけでなく、何に注意すべきかを想像しながら読み進めてみてください。
かならず儲けが出るとは限らない
アパート経営は、かならずしも儲かるとは限りません。それほど儲からないこともありますし、赤字になるリスクもあることをしっかり理解しておく必要があります。
【失敗例】入居率100%の予定が70%になってしまった
満室経営の家賃7万円×6部屋の中古アパートを購入して、毎月42万円の家賃収入を見込んでいたが、退去が相次いで空室になってしまい、想定した家賃を得られなかった。具体例:ローンを活用して中古一棟アパートを購入した場合
物件情報:地方都市・築5年・6戸アパート
物件価格:6,000万円(借入金額:4,500万円、自己資金:1,500万円)
借入条件:金利:2%、借入期間:20年
満室時の家賃収入:毎月42万円(家賃7万円×6戸)【年間504万円】
毎月のローン返済額:約23万円【年間約273万円】
毎月の経費:6万円(修繕などの予備費を含む)【年間72万円】
満室で運用できた場合、年間利益は、504万円-273万円-72万円=159万円となります。
ところが入居率が70%に下がると、家賃収入=504万円×0.7=352.8万円となり、年間利益はわずか7.8万円となります。
※もっとも、年間利益がたとえマイナスになったとしても、ただちに投資が失敗というわけではありません。とくに、所得税圧縮や相続税対策として活用している場合や売却益を狙っている場合など、戦略的なケースもあります。
そもそもアパート経営は、株式投資のような短期間での高リターンを目指す投資ではなく、実質利回りは3%〜6%程度など特別高くはないといえます。
アパート経営のメリットはそこではなく、利回りは特別高くなくても、融資を活用して少ない自己資金で大きな資産を運用できる「レバレッジ効果」や、減価償却費による「節税効果」、そしてインフレ下で実物資産として価値を保全できるメリットを得られるのが旨味ともいえます。
「アパート経営をすれば簡単に儲かる」と考えるのではなく、「どこにデメリットや注意点があるのか」「どうすれば収益が悪化してしまうのか」をしっかり理解したうえで、総合的に判断することが大切です。
物件価格・建築費用が高額になる
アパート経営を始める場合の土地・アパートの取得費用は、一般的に数千万円から数億円など極めて高額になります。
たとえ銀行からローンを組んで自己資金(頭金)を抑えたとしても、借り入れた金額が高額であるため、一度経営に失敗し収入を得られない状態になると、その分多くの負債を抱えてしまうことになってしまいます。
失敗を避けるには、無理なローンを組むことは避けて、資金に余裕をもった状態で始めるのがおすすめです。また、できるだけ初期費用を抑える工夫もすることが重要です。
空室リスク・老朽化リスクなどさまざまなリスクがある
アパート経営には、空室リスクや家賃下落リスク、供給過剰リスク、建物老朽化リスク、家賃滞納リスク、不動産価格下落リスク、自然災害リスクなどさまざまなリスクも伴います。
アパート経営のさまざまなリスク(例)
- 空室リスク:空室が発生すると、収入が途絶えるだけでなく、原状回復費や入居者募集のための支出が増加して経営を悪化させます。
- 家賃下落リスク:空室を埋めるために賃料を下げると、入居中の賃料も下げる必要が生じ、一度下がった賃料は基本的に回復しないため収益が減少します。
- 供給過剰リスク:周辺地域に新しいアパートが次々と建つと、入居者獲得競争が激化し、空室の増加や賃料の下落を招きます。
- 建物老朽化リスク:築年数が経過すると、定期的なメンテナンスや大規模修繕が必要になり、修繕費が増加して収益が圧迫されます。
- 不動産価格下落リスク:景気変動などによりアパートの資産価値が下落すると、売却時にローン残債が売却価格を上回るオーバーローンとなる可能性があります。
- 自然災害リスク:地震・台風・火災などの自然災害により建物が損壊すると、修繕コストが発生したり入居継続が困難になったりします。
これらの多岐にわたるリスクを理解したうえで、それぞれに事前の備えをしておくことが重要です。
成功するためにはノウハウ・知識が不可欠
ここまで述べたようにアパート経営にはデメリットや注意点もあるため、経営を安定的に成功させるためには、ノウハウと知識が不可欠です。
知識が不足していると、中古物件を高値で掴んでしまったり、不利な融資条件でローンを組んでしまったり、事前準備不足でリスクが増大してしまったりしかねません。結果として利益が残らず、失敗してしまう可能性があります。
アパート経営を始める前に積極的に勉強してノウハウ・知識を習得しておき、アパート経営を始めた後にも学び続ける姿勢が必要です。
成功するために不可欠なノウハウ・知識の例
- 物件選定の知識:エリアごとの賃貸需要(空室率や家賃相場)を正確に把握し、長期的に資産価値が落ちにくい物件を見極める力
- 収支シミュレーションの知識:表面利回りだけでなく、税金や修繕費、空室リスクを加味した「実質的な手残り(キャッシュフロー)」を正確に計算する力
- 融資・金融の知識:自身の属性を活かして、より低金利で長期の融資を引き出すための金融機関との交渉力や、将来の金利上昇リスクへの対策
- 賃貸管理・運営の知識:入居率を維持するための客付けノウハウや、入居者トラブル、建物の老朽化を防ぐための適切なメンテナンス計画を立てる知識
- 税務・法律の知識:減価償却を活用した節税対策や確定申告のやり方、および借地借家法など、賃貸トラブルを未然に防ぐための法律の基礎知識
これらの失敗を避けるためには、アパート経営の書籍やセミナーで学習するだけでなく、信頼できるパートナーの知恵を借りて、継続的に正しい知識を吸収しながら実践に活かすことが重要です。
不動産投資会社に「丸投げ」ではなく、自分でもしっかり勉強して知識武装することが、安定した収益を確保するために欠かせません。
アパート経営が向いている4つのケース
アパート経営にはメリットもデメリットもあるため、両者を天秤にかけた上で、自分が「アパート経営に向いている属性や状況にあるか」を客観的に見極める必要があります。
本章では、どのような状況ならアパート経営で成功しやすいのか、4つの具体的なケースを挙げて解説します。
アパート経営が向いている4つのケース
- 年収700万円以上など高収入/相続税を減らしたい場合
- 大企業の社員・資産が多いなど融資の個人属性が高い場合
- すでに土地を持っている場合
- 自分でも勉強して長期的・現実的な計画を立てられる場合
自分の資産状況や環境、将来のビジョンと照らし合わせながら、最適なスタートラインをイメージして読み進めてみてください。
年収700万円以上など高収入/相続税を減らしたい場合
相続税対策はもちろん、年収が高くて税金の高さに悩んでいる人など、節税対策になる資産運用方法を検討している人は、アパート経営に向いています。
なぜならば、前述したように、アパート経営は所得税や住民税、相続税・贈与税などを合法的に圧縮でき、節税メリットが大きいためです。
とくに、所得税が高い高収入の会社員や経営者は、実際にお金が出ていない「減価償却費」を経費として計上し、給与所得と相殺(損益通算)することで、税金の還付を受けられる可能性があります。
一般的には、アパート経営で節税効果を享受できるのは年収700万円を超えるあたりからで、とくに課税所得が900万円(年収目安1,200万円)を超える人は節税メリットが大きくなるといわれています。
さらに、現金を不動産に変えることで相続税評価額も大幅に圧縮できるため、税金というコストを削減したいすべての人にとって、アパート経営は有効な手段となります。
大企業の社員・資産が多いなど融資の個人属性が高い場合
「大企業に務めている」「年収1,000万円以上」「資産を多く保有している」など、金融機関が融資を決めるための属性が高い人は、アパート経営に向いています。
なぜならば、アパート経営を成功させるような優良な物件を取得するには、良い条件で融資を得られるかどうかが重要だからです。
アパートローンの審査では個人の属性によって、金利の高さや限度額などが変動します。属性が高ければ、「より低い金利」で「より大きな金額」のアパートローンを引き出しやすくなるのです。
低金利の方がアパート経営での利益は残りやすくなりますし、融資額が大きい方が効率的にレバレッジを掛けて収益を上げることができます。
個人属性の高い人ほど、アパート経営の優位性を享受しやすいといえます。
すでに土地を持っている場合
アパート経営を始めるには「土地+アパートの建物」が必要ですが、土地が無い人よりも、すでに土地がある人のほうが圧倒的に有利です。
土地があるほうが有利な理由は、当たり前の理由ですが、土地の購入費用が必要ないからです。
新たに土地もアパートも購入しようとすると、億単位の資金が必要になるケースも多いでしょう。一方で「すでに土地がある」という場合には、建築費用だけで済みます。
自分の所有している土地であれば、焦らずじっくり土地活用方法を検討できるというメリットもあります。また、アパート用地を購入して始める人と比べて、精神的にもラクにアパート経営を始めることができるでしょう。
自分でも勉強して長期的・現実的な計画を立てられる場合
短期的な利益に固執せず、業者のセールストークに惑わされずに、自分でも情報を集めて長期的かつ現実的に計画を立てられる人は、アパート経営に向いています。
前述したようにアパート経営にはさまざまなリスクも存在しており、成功のためには「楽観的な計画」ではなく、リスクに備えるような計画を立てる必要があるためです。
アパート経営を成功させるためのオーナーの具体的な行動・姿勢
- 賃料シミュレーションでは、新築時の満室想定ではなく、空室率の悪化や家賃の下落を織り込んだ悲観的な収支シミュレーションも作成しておく
- 金利が上昇しても返済が破綻しないよう、頭金を増やして自己資金比率を高めたり、金利交渉をしたりと、自分でも行動する
- 突発的な修繕や大規模修繕に備えて、毎月の家賃収入から必ず修繕積立金を確保しておく
- 周辺の競合物件の供給状況(供給過剰リスク)を調査して、エリアの将来性について自分なりに判断できる知識を持つ
- 賃貸管理や入居者募集を管理会社に丸投げするのではなく、自分でもアイデアを出して入居率を上げる工夫をする
不動産会社から受ける提案は、楽観的なシミュレーションが掲載されている場合があります。非現実的な見通しにだまされず、自分でしっかり現実的な計画内容に修正して能動的に行動できる人が、アパート経営に向いています。
アパート経営が向いていない3つのケース
前章とは反対に、残念ながらアパート経営が向いていないケース(他の投資方法・運用方法がおすすめなケース)というのも存在します。
アパート経営を選択すべきではない、あるいは慎重になるべき3つのケースについて詳しく解説します。
アパート経営が向いていない3つのケース
- 短期間で大きなリターンを期待する場合
- 良い条件での融資を引き出せない場合
- 賃貸に向いていない立地の場合(すでに土地がある場合)
読みながら「アパート投資は自分に合わない」と感じるのであれば、辞めておくというのも重要な判断となります。
短期間で大きなリターンを期待する場合
数年以内などの短期間で投資額に対する大きなリターンを期待する人は、アパート経営には向いていません。
アパート経営は、株式投資やFX(外国為替証拠金取引)のように短期間で大きな価格変動による利益(キャピタルゲイン)を狙うものではなく、長期にわたって安定した家賃収入(インカムゲイン)を得ることを目的とした「ミドルリスク・ミドルリターン」の投資であるためです。
始めるときにはまとまったお金が必要になりますが、不動産を所有しながら、その不動産が安定したインカムゲインを生み出すというスタイルです。さらに節税効果やインフレリスクの低減などの副次的なメリットもあります。
数年で10%を超えるような高いリターンを期待する場合は、アパート経営ではなく、株式投資やFXなど、よりハイリスク・ハイリターンの性質を持つ投資方法を検討するのが適切です
良い条件での融資を引き出せない場合
個人属性が低い場合や、自己資金が少ない人、借金に強い抵抗があって少額しか借金できない人など、良い条件での融資を引き出せないケースでは、アパート経営に向いていません。
アパート経営では、空室リスクや家賃下落リスクを最小限に抑えられる「良い物件(優良な立地を含む)」を選べるかどうかが成功の鍵であり、良い物件は良い融資条件があって初めて購入できるからです
良い条件での融資を引き出せない例
- 融資判断のもととなる「個人属性」が低い場合、高い金利でしか貸してもらえず、毎月の返済額が増加して収益が大きく圧迫されてしまう
- 収益性が高い優良物件が高額の場合、資金不足により購入の機会を逃してしまう
- 自己資金(頭金)があまりに少ない場合、必要な融資金額を引き出すことができない
- 融資期間が短く設定されてしまうと、毎月の返済額が大きくなりキャッシュフローが悪化してしまう
- 借金への強い心理的抵抗から融資を避けて自己資金を過度に投じてしまうと、突発的な修繕などに耐えられずに手元資金が尽きてしまう
良い融資条件を引き出せなければ、収益性の低い物件に妥協せざるを得ず、結果的にキャッシュフローの悪化や空室リスクの増加を招いてしまいます。立地も含めて「良い物件を選ぶこと」は重要であり、それを実現できない状況で始めるのはおすすめしません。
賃貸に向いていない立地の場合(すでに土地がある場合)
相続や贈与などで土地をすでに所有している場合であっても、立地が賃貸需要に向いていない場合は、アパート経営は向いていないといえます。
「使わない土地をどう活用するか」という場合にアパート経営を検討する方は多いはずですが、アパート経営の成否を決めるうえで「どういう立地か」「賃貸ニーズがあるか」を見極めることが非常に重要となります。
賃貸に向いていない立地の例
- 最寄り駅から遠く、バスの交通手段も少ないなど、通勤・通学に不便な場所
- 周辺にスーパーや病院などの生活施設が極端に少なく、入居者が定着しにくい場所
- 地域の人口が減少し続けている過疎地
- 競合物件の供給が過剰であり、賃貸ニーズがすでに充足されている場所など
賃貸需要を見込めない土地で無理にアパートを建てても、高い空室率と家賃下落に苦しむことになる可能性が高いでしょう。
売却や駐車場経営、土地を貸し出すなど、アパート経営以外の活用方法も検討することが賢明です。
アパート経営を成功させるために重要な4つのポイント
前章までで、アパート経営に向いているケース・向いていないケースをそれぞれ整理してお伝えしてきました。自分自身との適性と比べて「自分にはアパート経営が合っていそうか」判断できた方も多いのではないでしょうか。
ここからは、「アパート経営を始める方向に進みたい」という方に向けて、成功に必要な実践的なポイントを4つお伝えしていきます。
アパート経営を成功させるために重要な4つのポイント
- 表面利回りではなく現実的な利益をシミュレーションする
- 出口戦略(最終的に売却するかどうか)まで考えておく
- アパート物件に合わせて戦略を変える
- 伴走してくれる最適なパートナーを見つける
実際にアパート経営を始めてから必要となる知識ですが、「どのような点に注意すべきか」という視点を育てるために読んでみてください。
表面利回りではなく現実的な利益をシミュレーションする
アパート経営を成功させるには、満室想定の楽観的な「表面利回り」だけで判断せず、現実的な数字に基づいたシミュレーションを徹底する必要があります。
物件広告や建築プランで業者が提示する「利回り」は、アパートが満室で運営された場合の理想的な「表面利回り」が表示されていることがほとんどです。「表面利回り」では取得コストやランニングコストも考慮されていませんので、実際にはそこまでの利回りは得られません。
業者の提案を鵜呑みにすると、実際の収支との間に大きなギャップが生まれてしまうので注意が必要です。
現実的な利益をシミュレーションする方法
- 満室時の表面利回りではなく、管理委託費や固定資産税、火災保険料など全てのランニングコストおよび取得時の費用を差し引いた「実質利回り」で収益性を判断する
- 空室率の悪化や家賃下落、金利の上昇、修繕など、将来起こり得るリスク要因を織り込んだ複数のシナリオを作成して、リスク耐性を確認する
- 建築費や修繕費は概算で計算するのではなく、見積書を取得するなど可能な限り現実的な数字で計画を立てる
楽観的なシナリオを描くのではなく、経営が立ち行かなくなるリスクを事前に把握することで、事業の成功確率を飛躍的に高めることができます。
出口戦略(最終的に売却するかどうか)まで考えておく
アパート経営を成功させるためには、長期的なシミュレーションを行ったうえで、最終的な出口戦略まで考えておくことをおすすめします。
新築アパートを建てたとしても、30年後には築30年の古いアパートとなり、修繕費用がかさんだり家賃を値下げしたりする必要性が生まれるかもしれません。周辺の賃貸ニーズや土地価格の推移などを加味したうえで、「何年後にどうするのか」をあらかじめ考えておく必要があるのです。
アパート経営の出口戦略の選択肢(一例)
- 資産価値が下がらないうちにアパートを売却:立地が良い都市部の場合は、うまくすれば売却益を手にすることもできるかもしれません。
- アパートの建て替え:アパートが古くなった場合には、立て替えることで収益アップを見込める場合があります。
- アパート解体後に土地を売却:賃貸需要が見込めない場合には、建物を解体して更地にして土地を売却する方法もあります。
出口戦略を明確にしておくことで、事業のゴールがブレず、最適なタイミングで次のアクションを起こすことができます。長期的な視点を持つことで、適切な修繕計画や資金準備が可能となり、事業の成功確率を高めることにつながります
アパート物件に合わせて戦略を変える
アパートの物件そのものが持つ特性(築年数、立地、ターゲット層)に合わせて最適な戦略を取ることも、アパート経営の成否を分けるポイントです。
たとえば「都市部なのか郊外なのか」「すでにある土地でアパート経営を始めるのか、これから取得するのか」「築古物件なのか新築なのか」などの要素によって、取るべき戦略は全く異なります。
アパート物件や立地に応じた戦略のパターン例
- 都市部の新築物件:需要があり資産価値も高いため、節税効果や長期的な資産保全を主目的とする場合におすすめ。賃料は相場よりやや高めに設定して、高品質な管理で競争力を維持する戦略が良い。
- 地方・郊外の中古物件:物件価格が安いため、高い利回りを期待できる。セルフリフォームや地域に根差した管理会社を活用して経費を抑えるのがおすすめ。
- 大学・専門学校周辺の物件(単身向け):入居者の回転率が高いことを前提に、敷金・礼金を柔軟に調整したり家具・家電付きで付加価値を高めたりして、短いサイクルでの空室対策を重視する
- 郊外のファミリー層向け物件:一度入居すると長期定着する傾向があるため、共用部や外観の美化に投資して、子育て世代に特化した工夫で競争力を高める戦略が良い。
物件やエリアごとの特徴によって、入居者がアパートに求めるものも違ってきます。そうしたニーズを深く理解して、自分の目的とエリアの賃貸ニーズに合致した戦略を選ぶことで、失敗する可能性を大幅に減らすことができます。
伴走してくれる最適なパートナーを見つける
アパート経営を成功させる最後のポイントは、信頼できる賃貸管理会社をパートナーに選ぶことです。
アパート経営の実務(入居者募集、トラブル対応、清掃など)のほとんどは管理会社に委託することになるため、管理会社の能力が空室率改善や入居者の満足度に直結し、結果として収益を大きく左右します。
すべてを管理会社に「丸投げ」するのではなく、経営者として密に連携して自らでも必要な判断をすることで、安定した長期経営が可能となります。
最適なパートナーを見つけるには、同じ条件で複数社からの提案を集めたうえで、自分にとって一番良い会社を見つける必要があります。比較・検討を経て、入居率の維持と物件価値の維持に真剣に取り組む会社を選びましょう。
もしも「複数社を比較するのは大変だな」と感じる場合には、ぜひ一括で問い合わせできる「マンション貸す.com」をご活用ください。
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まとめ
本記事では「アパート経営」について解説してきました。最後に、要点を簡単にまとめておきます。
◆アパート経営を始める5つのメリット
・手間なく安定した収入を継続的に得ることができる
・融資を受けやすくレバレッジを利かせることができる
・さまざまな節税効果を期待できる
・生命保険代わりにすることもできる
・自分で工夫して収益を改善できる
◆アパート経営を始めるときの4つのデメリット・注意点
・かならず儲けが出るとは限らない
・物件価格・建築費用が高額になる
・空室リスク・老朽化リスクなどさまざまなリスクがある
・成功のためにはノウハウ・知識が不可欠
◆アパート経営が向いている4つのケース
・年収700万円以上など高収入/相続税を減らしたい場合
・大企業の社員・資産が多いなど融資の個人属性が高い場合
・すでに土地を持っている場合
・自分でも勉強して長期的・現実的な計画を立てられる場合
◆アパート経営が向いていない3つのケース
・短期間で大きなリターンを期待する場合
・良い条件での融資を引き出せない場合
・賃貸に向いていない立地の場合(すでに土地がある場合)
◆アパート経営を成功させるために重要な4つのポイント
・表面利回りではなく現実的な利益をシミュレーションする
・出口戦略(最終的に売却するかどうか)まで考えておく
・アパート物件に合わせて戦略を変える
・伴走してくれる最適なパートナーを見つける
アパート経営を成功させるためにはパートナー選びも重要です。「まずは複数社からの提案を受けたい」という方は、ぜひ「マンション貸す.com」をご活用ください。
Author information
河上 隼人
1980年11月8日生まれ
広島県出身
株式会社エイムプレイス 代表取締役
インターネットメディア事業「マンション貸す.com」を運営し、不動産オーナーと不動産会社をつなぐ架け橋として活動。効率的で自由度の高い経営スタイルを追求しながら、自らも日々学び続けている。
趣味はトレーニングと健康的なライフスタイルづくり。毎日の冷水シャワーを日課とし、体幹トレーニングではアブローラーの“立ちコロ”を悠々こなす。数年前にお酒をやめてからは、心身ともにすっきりとした日々を楽しんでいる。
「挑戦と進化」をテーマに、自然体で自分らしい生き方を磨き続けている。


