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家を貸すときにかかる税金を把握して見通しを立てる!計算方法を解説

最終更新日

持ち家を貸す方法

「家を貸すときの税金について知りたい!どんな税金が、いくらかかるのかあらかじめ把握しておきたいな」

「家を貸すときにあたって税金がどうなるのか知りたい。生活に支障が出ても困るから、シミュレーションできないんだろうか」

このように家を貸すにあたって、あらかじめかかりうる税金を把握しておきリスクヘッジにつなげたいとお考えの方は多いでしょう。

家を貸すときに発生する税金は、以下3つです。

・所得税
・復興特別所得税
・住民税

これらの税金は賃貸経営をすることで発生する不動産所得に対して税金がかかり、収入が増えるほど高くなります。

そのため、あらかじめ計算してかかりうる税額をイメージできると、いざ家を貸したときに戸惑わずに対応できるでしょう。

ここで正しく税金を支払うために重要なのが、確定申告です。

給与所得以外に不動産所得として年間20万円を超える収入を得る場合は、確定申告によって所得税や住民税といった税金が確定させる作業が必要になります。

しかし、実際は不動産所得が20万円以下の人でも、税金の払い漏れを防ぎ、節税につなげるために確定申告をしておいたほうがいいのです。

そこで本記事では家を貸すときの税金とともに、不動産所得が20万円以下の人における確定申告の必要性もお伝えします。

本記事を読んでわかること
・家を貸すときの税金がわかる
・家を貸すときの税金の計算方法がわかる
・家を貸すときの節税対策を知れる
・不動産所得が20万円以下の人でも確定申告が必要な理由がわかる

本記事を読めば家を貸すときの税金だけでなく、節税対策や不動産所得20万円以下の人の確定申告の必要性まで理解できますので、ぜひご覧ください。

家を貸すときにかかる税金は3種類

家を貸すときにかかる税金は3種類です。

・所得税
・復興特別所得税
・住民税

順番に見ていきましょう。

所得税

所得税は家を貸すことで得た収入である「不動産所得」と、会社員のような給与所得も合算した総所得に課されます。

ただし不動産所得は単純に家賃収入を表すのではなく、以下のように賃貸経営をするなかでかかった経費を差し引いて算出します。

不動産所得 = 収入金額 – 必要経費

※不動産所得の具体的な計算方法は「2-2. ステップ2:必要経費を差し引いて不動産所得を出す」でお伝えするのでご参照ください。

不動産所得に応じて以下の所得税率をかけ、控除額を差し引くと所得税が算出されます。

課税される所得金額(千円未満切捨て)
税率
控除額
1,000円 から 195万円未満
5%
0円
195万円~330万円未満
10%
97,500円
330万円~695万円未満
20%
427,500円
695万円~900万円未満
23%
636,000円
900万円~1,800万円未満
33%
1,536,000円
1,800万円~4,000万円未満
40%
2,796,000円
4,000万円以上
45%
4,796,000円

参考:国税庁「No.2260 所得税の税率」

仮に年間150万円の不動産所得と700万円の給与所得を得る場合、課税所得が合計で850万円になります。
上記の表に照らし合わせると、税率は23%、控除額は636,000円となるので、所得税は131万9,000円となります。

850万円×23%ー636,000円=131万9,000円

復興特別所得税

不動産所得と給与所得の総額には、復興特別所得税も課されます。

復興特別所得税は東日本大震災からの復興財源に充てるために、東日本大震災復興基本法にもとづいて2037年まで課される税金です。

所得税に2.1%上乗せして課されることから実質的にまとめて扱われることが多く、e-Taxや会計ソフトなどでも自動計算されます。

住民税

住民税は住んでいる都道府県や市区町村に支払う税金で、所得割と均等割の2種類で構成されています。

住民税の構成
所得割
前年の所得金額に対し、都道府県民税と市町村税が合計10%課税される。
・都道府県民税:4%
・市町村税:6%
均等割
所得金額にかかわらず一定額が課税される。
自治体によって金額は異なるが、一般的には5,000円。
内訳一例
・市区町村民税(特別区民税):3,000円
・道府県民税(都民税):1,000円
・森林環境税:1,000円

出典:総務省「個人住民税」
出典:総務省「森林環境税及び森林環境譲与税」

たとえば年間150万円の不動産所得と700万円の給与所得、均等割5,000円の場合、住民税は85万5,000円となります。

所得割 = 課税所得 × 10%
=(150万円+700万円)× 10%
=85万円
均等割=5,000円

住民税=85万円+5,000円
=85万5,000円
固定資産税と都市計画税は賃貸に出すと経費計上できる!
家をそのまま保有していても、賃貸に出しても固定資産税と都市計画税の支払いは変わりませんが、経費計上できるようになります。
※固定資産税:土地や家屋の所有者に対して課される税金
都市計画税:道路の建設や下水道の整備などの費用に充てられ、対象区域の人だけ支払う
経費計上できることで収入を低く見せられることから、節税につながります。

家を貸すときにかかる税金の計算6つのステップ

ここからは実際に、家を貸すときにかかる税金の計算を6つのステップで解説します。

ステップ1:年間の家賃収入を集計する
ステップ2:必要経費を差し引いて不動産所得を出す
ステップ3:本業の収入と合算して「総所得」を求める
ステップ4:所得税・復興特別所得税を計算する
ステップ5:住民税を計算する
ステップ6:すべての税金を合計する

順番に見ていきましょう。

ステップ1:年間の家賃収入を集計する

まずは年間の家賃収入を集計していきましょう。

単純に家賃だけでなく、以下の費用もすべて収入として計算してください。

家賃収入に含まれる費用
・家賃収入
・駐車場代
・礼金(敷金は含まれない)
・更新手数料
・管理費
・共益費

エレベーターや通路の照明など、共用部の維持を目的とした共益費や部屋を借りるお礼として支払われる礼金などは収入に該当します。

ただし敷金や保証金といった、入居者が退去するときに返還すべき費用については収入に含めることはできないので注意しましょう。

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ステップ2:必要経費を差し引いて不動産所得を出す

賃料収入を算出できたら、必要経費を差し引いて不動産所得を出していきます。

必要経費については、以下が該当しますのですべて洗い出しましょう。

必要経費に含まれる費用
・管理組合への管理費
・賃貸管理会社への管理手数料
・修繕修理費
・リフォーム費用
・入居者募集の広告宣伝費
・賃貸経営上使用した交通費
・水道光熱費
・通信費
・町内会費
・固定資産税
・都市計画税
・火災保険や地震保険料などの保険料
・借入金の利息
・減価償却費
・司法書士や税理士へ委託したときの専門家報酬

私生活に関する交通費や通信費、自宅の修繕費などは対象外となり、あくまでも賃貸経営をするうえで支払った費用が対象です。

ローン返済における金利は経費とできますが、元本については対象外です。

また賃貸経営に関係なく発生する税金である所得税と住民税も経費になりませんので、把握しておきましょう。

そして、必要経費のなかでも減価償却費の計算が少し複雑になります。

減価償却費:固定資産の価値が時間とともに減少する分を、法定の耐用年数にもとづいて毎年経費として計上する勘定科目

賃貸経営をするにあたって物件の費用を初年度に一度に計上してしまうのではなく、次年度から少しずつ費用計上していくのが減価償却です。

ここからは減価償却費の計算方法を解説していきます。

・現時点での建物の価値を計算する
・償却率を確認する
・減価償却費を計算する

順番に見ていきましょう。

2-2-1. 現時点での建物の価値を計算する

はじめに現時点での物件の価値を計算します。

賃貸に出す家について、以下の計算式のどちらに該当するか確認しましょう。

・2007年3月31日以前に取得
現時点での物件の価値=当初の取得価額-(当初の取得価額×0.9×旧定額法の償却率×経過年数)

・2007年4月1日以降に取得
現時点での物件の価値=当初の取得価額-(当初の取得価額×定額法の償却率×経過年数)

償却率は耐用年数に応じて決められており、事業として使用していなかった期間の耐用年数は1.5倍にするという決まりがあります。

そのため、建物の構造によって以下のようになります。

【旧定額法】

構造
非事業用の耐用年数
(事業用の法定耐用年数)
非事業用の償却率
(事業用の償却率)
木造
33年
(22年)
0.031
(0.046)
鉄骨造
(鉄骨厚3mm超4mm以下)
40年
(27年)
0.025
(0.037)
鉄骨造
(鉄骨厚4mm超)
51年
(34年)
0.020
(0.030)
RC造
(鉄筋コンクリート造)
70年
(47年)
0.015
(0.022)

参考:国税庁「減価償却資産の償却率表」
参考:国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」
参考:公益社団法人「四日市法人会」

【定額法】

構造
非事業用の耐用年数
(事業用の法定耐用年数)
非事業用の償却率
(事業用の償却率)
木造
33年
(22年)
0.031
(0.046)
鉄骨造
(鉄骨厚3mm超4mm以下)
40年
(27年)
0.025
(0.038)
鉄骨造
(鉄骨厚4mm超)
51年
(34年)
0.020
(0.030)
RC造
(鉄筋コンクリート造)
70年
(47年)
0.015
(0.022)

参考:国税庁「減価償却資産の償却率表」
参考:国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」
参考:国税庁「主な非業務用資産の償却率」

たとえば2020年に購入した3,800万円の木造住宅で築5年たっている場合、現時点での建物の価値は以下のように計算できます。

現時点での物件の価値=当初の取得価額-(当初の取得価額×定額法の償却率×経過年数)
=3,800万円ー(3,800万円×0.031×5)
=3,800万円ー589万円
3,211万円

2-2-2. 償却率を確認する

現時点での建物の価値がわかったら、再度物件を減価償却するときの償却率を確認していきます。

償却率は耐用年数に応じて決められているので、以下を参考にしてください。

【旧定額法】

構造
法定耐用年数
償却率
木造
22年
0.046
鉄骨造
(鉄骨厚3mm超4mm以下)
27年
0.037
鉄骨造
(鉄骨厚4mm超)
34年
0.030
RC造
(鉄筋コンクリート造)
47年
0.022

参考:国税庁「減価償却資産の償却率表」
参考:国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」

【定額法】

構造
法定耐用年数
償却率
木造
22年
0.046
鉄骨造
(鉄骨厚3mm超4mm以下)
27年
0.038
鉄骨造
(鉄骨厚4mm超)
34年
0.030
RC造
(鉄筋コンクリート造)
47年
0.022

参考:国税庁「減価償却資産の償却率表」
参考:国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」

また中古物件の場合は法定耐用年数を使用せず、計算して耐用年数を算出します。

中古建物の耐用年数=(法定耐用年数-経過年数)+経過年数×0.2

たとえば2020年に築5年の木造住宅を購入した場合は、次の計算式より耐用年数が17年です。

中古建物の耐用年数=(22年-5年)+5年×0.2=17年

17年という数字から、国税庁の「減価償却資産の償却率表」をもとに償却率を割り出すと、0.059となります。

2-2-3. 減価償却費を計算する

現在の建物の価格がわかり、償却率も把握できたら減価償却費を計算しましょう。

先ほどの例でおさらいしながらシミュレーションしていきます。

要件
対象物件
種類
中古物件
取得年
2020年
築年数
5年
区分
木造
取得価格
3,800万円

【建物の現在の価格】

現時点での物件の価値=当初の取得価額-(当初の取得価額×定額法の償却率×経過年数)
=3,800万円ー(3,800万円×0.031×5)
=3,800万円ー589万円
=3,211万円

【中古建物の耐用年数】

中古建物の耐用年数=(法定耐用年数-経過年数)+経過年数×0.2
=(22年-5年)+5年×0.2=17年
減価償却資産の償却率表」をもとに償却率を割り出し、0.059

【減価償却費】

減価償却費=物件の価値×償却率
=3,211万円×0.059 = 189万4490円

よって、この物件の減価償却費は189万4490円となり、ほかの経費と合わせて計上します。

ステップ3:本業の収入と合算して「総所得」を求める

不動産所得が計算できる状態になったら、本業の収入と合算して「総所得」を求めます。

給与収入の方の場合は、以下の計算式から給与所得控除を差し引いて給与所得を算出しなければなりません。

給与所得の源泉徴収票の支払い金額
給与所得控除額
162万5,000円まで
55万円
162万5,000円~180万円まで
収入金額×40%-10万円
180万円~360万円まで
収入金額×30%+8万円
360万円~660万円まで
収入金額×20%+44万円
660万円~850万円まで
収入金額×10%+110万円
850万円を超える額
195万円

参考:国税庁「給与所得控除」

たとえば800万円の年収の方なら、以下のように計算します。

給与所得控除額=収入金額×10%+110万円
=800万円×10%+110万円
=190万円
給与所得=800万円ー190万円
610万円

給与所得を計算できたら、不動産所得と合計しましょう。

ステップ4:所得税・復興特別所得税を計算する

総所得を算出できたら、所得税・復興特別所得税を計算していきます。

所得税については累進課税制度が用いられており、以下のように収入が増えるほど税率が上がる仕組みです。

課税される所得金額(千円未満切捨て)
税率
控除額
1,000円 から 195万円未満
5%
0円
195万円~330万円未満
10%
97,500円
330万円~695万円未満
20%
427,500円
695万円~900万円未満
23%
636,000円
900万円~1,800万円未満
33%
1,536,000円
1,800万円~4,000万円未満
40%
2,796,000円
4,000万円以上
45%
4,796,000円

参考:国税庁「No.2260 所得税の税率」

また復興特別所得税は一律2.1%となっており、所得税額に対してかかります。

2-3. ステップ3:本業の収入と合算して「総所得」を求める」で計算した総所得が850万円だった場合は、以下のように計算できます。

【所得税】
850万円×23%ー636,000円=131万9,000円
【復興特別所得税】
131万9,000円×2.1%=27,699円
【所得税・復興特別所得税の合計】
131万9,000円+27,699円=134万6,699円

ステップ5:住民税を計算する

次に住民税も算出してみましょう。

1-3. 住民税」でも説明したととおり住民税は所得割と均等割があり、内訳は以下のとおりです。

住民税の構成
所得割
前年の所得金額に対し、都道府県民税と市町村税が合計10%課税される。
・都道府県民税:4%
・市町村税:6%
均等割
所得金額にかかわらず一定額が課税される。
自治体によって金額は異なるが、一般的には5,000円。
内訳一例
・市区町村民税(特別区民税):3,000円
・道府県民税(都民税):1,000円
・森林環境税:1,000円

出典:総務省「個人住民税」
出典:総務省「森林環境税及び森林環境譲与税」

所得割は所得に対して一律10%かかりますが、均等割については自治体によって異なるケースもあり、一般的には5,000円です。

正確な均等割の金額を調べるには、「お住まいの自治体+均等割」で調べると検索できるので、参考にしてください。

たとえば、「1-3. 住民税」で算出した総所得が850万円、均等割が5,000円の場合の住民税は以下のとおりです。

住民税=所得割+均等割
所得割 = 課税所得 × 10%
=850万円× 10%
=85万円
住民税=85万円+5,000円
85万5,000円

ステップ6:すべての税金を合計する

最後に、ここまで算出したすべての税金を合計して、いくら支払わなければならないのか計算しましょう。

総所得850万円の方を例にすると、所得税・復興特別所得税の合計と住民税は以下のとおりでした。

【所得税・復興特別所得税の合計】
134万6,699円
【住民税】
85万5,000円

それゆえ、家を貸すときに支払う税金は220万1,699円になります。

【家を貸すときに支払う税金】
134万6,699円+85万5,000円=220万1,699円

家を貸すときの節税対策

ここまでで家を貸すときにどのような税金がかかるのか、おわかりいただけたかと思います。思っている以上に、税金の割合が大きいと感じた方もおられるでしょう。

そこで、次にお伝えするのが、その税金をいかに減らせるかという節税についてです。

・必要経費をきちんと計上する
・赤字でも申告して「損益通算」する

順番に見ていきましょう。

必要経費をきちんと計上する

家を貸すときは必要経費をきちんと計上することで節税対策になります。

必要経費に含まれる費用
・管理組合への管理費
・賃貸管理会社への管理手数料
・修繕修理費
・リフォーム費用
・入居者募集の広告宣伝費
・賃貸経営上使用した交通費
・水道光熱費
・通信費
・町内会費
・固定資産税
・都市計画税
・火災保険や地震保険料などの保険料
・借入金の利息
・減価償却費
・司法書士や税理士へ委託したときの専門家報酬

経費を計上するとそのぶん利益を圧迫できるので、かかる税金が少なくなります。

たとえば本来であれば総所得840万円だったところ、経費計上額に10万円見落としがあり、総所得が850万円としてしまった場合を比較してみましょう。

総所得850万円のときの税金
【1:所得税】
850万円×23%ー636,000円=
131万9,000円

【2:復興特別所得税】
131万9,000円×2.1%=27,699円
【1・2の合計】
131万9,000円+27,699円=134万6,699円

【3:住民税】
住民税=所得割+均等割
所得割 = 課税所得 × 10% =850万円× 10% =85万円

住民税=85万0,000円+5,000円 = 85万5,000円

【1・2・3の合計】
134万6,699円 + 85万5,000円 = 220万1,699円
総所得840万円のときの税金
【1:所得税】
840万円×23%ー636,000円=129万6,000円

【2:復興特別所得税】
129万6,000円×2.1%=27,126円

【1・2の合計】
129万6,000円+27,126円=132万3,216円

【3:住民税】
住民税=所得割+均等割
所得割 = 課税所得 × 10%
=840万円× 10%
=84万円

住民税=84万円+5,000円
=84万5,000円

【1・2・3の合計】
132万3,216円+84万5,000円=216万8,216円
総所得850万円のときと840万円のときの差
【所得税・復興特別所得税の差】
134万6,699円ー132万3,216円=23,483円

【住民税の差】
85万5,000円ー84万5,000円=10,000円

【差の合計】
23,483円+10,000円=33,483円

上記のように10万円経費計上を間違えるだけで、節税額に33,483円の差が生じてしまうのです。

経費計上は漏れなくすることが重要であり、見落としがないようにしましょう。

赤字でも申告して「損益通算」する

賃貸経営をしていて赤字になった場合、確定申告で損益通算をすることで節税になるので知っておきましょう。

たとえば不動産所得で空室が続いてしまい200万円の赤字になったとき、本業で850万円の給与所得があると仮定すると、以下のように所得を650万円に抑えられます。

そのため所得を600万円に抑えられると850万円だったときと比較して、以下の計算から65万5,877円の節税になります。

総所得850万円のときの税金
【1:所得税】
850万円×23%ー636,000円=
131万9,000円
【2:復興特別所得税】
131万9,000円×2.1%=
27,699円
【1・2の合計】
131万9,000円+27,699円=
134万6,699円
【3:住民税】
住民税=所得割+均等割
所得割 = 課税所得 × 10%
=850万円× 10%
=85万円
住民税=85万0,000円+5,000円

85万5,000円
【1・2・3の合計】
134万6,699円+85万5,000円=220万1,699円
総所得650万円のときの税金
【1:所得税】
65
0万円×20%ー427,500円=87万2,500円
【2:復興特別所得税】
87万2,500×2.1%=18,322円
【1・2の合計】
87万2,500円+18,322円=
89万822円
【3:住民税】
住民税=所得割+均等割
所得割 = 課税所得 × 10%
=650万円× 10%
=65万円
住民税=65万円+5,000円

65万5,000円
【1・2・3の合計】
89万822円+65万5,000円=154万5,822円
総所得850万円のときと650万円のときの差
【所得税・復興特別所得税の差】
134万6,699円
ー89万822円=45万5,877円
【住民税の差】
85万5,000円
ー65万5,000円=20万円
【合計】
45万5,877円+20万円=65万5,877円

またこの方法は必ずしも空室のような実際にお金が手元からなくなる赤字の場合だけでなく、減価償却によって会計上の赤字の場合にとくに有効です。

減価償却は毎年経費として、固定資産である物件の取得費用を計上していきます。

しかし手元からお金がなくなっているのではなく、あくまでも帳簿上でのことあり、会計上の赤字です。

そのため実際の賃貸経営では黒字となっていても、会計上で赤字をつくり出して損益通算させて利益を圧迫して節税につなげられるのです。

このようにたとえ赤字になったとしても、確定申告をおこない損益通算をすることで節税につなげられます。

不動産所得が20万円を超えなくても確定申告はしておこう

家を貸すときにできる節税対策についておわかりいただけたかと思います。

節税対策をするときに必要な確定申告は、不動産所得が20万円を超えるときに必ずしなければなりません。

しかし実際のところ、不動産所得が20万円を超えない場合であっても、確定申告はしておいたほうがいいでしょう。

理由としては所得税に限り確定申告が不要なだけであって、住民税は別に各市区町村の役所で申告しなければならないからです。

確定申告をすることで所得情報が市町村に送られることから住民税が決定しますが、申告しなかった場合は自治体に情報が届きません。

そのため納めなければならない住民税を納め忘れてしまい、発覚にともなってペナルティが課せられる可能性があります。

住民税の申告をしなかった場合のペナルティ
詳細
無申告加算税
所得があったにもかかわらず申告しなかった場合、納付税額50万円以下で15%加算。
重加算税
偽装や隠ぺいがあった場合に課されるペナルティ。
過少申告:35%
無申告:40%

そして「3-2. 赤字でも申告して「損益通算」する」でお伝えしたように、不動産所得がマイナスであれば損益通算によって払いすぎた税金が戻ってくる可能性もあるので、確定申告はやっていて損はないのです。

不動産所得が20万円以下であったとしても、賃貸経営をするのであれば確定申告をしておきましょう。

まとめ

家を貸すときにかかる税金についてご理解いただけましたでしょうか。

最後に本記事の要点をまとめていきます。

◎家を貸すときにかかる税金は3種類です。

・所得税
・復興特別所得税
・住民税

◎家を貸すときにかかる税金の計算は、以下6つのステップでおこなってください。

ステップ1:年間の家賃収入を集計する
ステップ2:必要経費を差し引いて不動産所得を出す
ステップ3:本業の収入と合算して「総所得」を求める
ステップ4:所得税・復興特別所得税を計算する
ステップ5:住民税を計算する
ステップ6:すべての税金を合計する

◎家を貸すときの節税対策は、以下2つです。

・必要経費をきちんと計上する
・赤字でも申告して「損益通算」する

◎不動産所得が20万円を超えなくても確定申告はしておきましょう

本記事を読むことで、あなたが家を貸すときにかかる税金への理解を高められると幸いです。

戸谷 太祐

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戸谷 太祐

株式会社エイムプレイス 社外取締役

賃貸経営は思い通りにいかず、不安や迷いが生まれがちです。私はオーナー様が納得して判断できる環境を整えることを使命としています。専門用語を減らし、判断に必要な情報や手順を整理し、入居者募集・原状回復・更新といった運用サイクルを仕組み化。記事発信やマッチングを通じて、初めての方でも安心して比較・検討できる環境を「レントハック」で提供しています。

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