「マンションを貸すときの注意点って何があるかな?」
「マンションを貸したいと思っているけど、やっぱり注意点が多くて大変だろうか」
「マンションを貸す注意点と対策を両方知って、貸していいかを判断したい」
マンションを貸そうかなと思っていても、「どこに落とし穴があってどう回避すればいいのか」が見えなくて不安、という方は多いのではないでしょうか。
結論からいうと、マンションを貸すときの注意点は確かに存在しますが、「事前の設計(契約・収支計画など)」と「集客や管理を任せる会社選び」を押さえることで、リスクや負担を大きく減らすことが可能です。
この記事は、マンションを貸すときに気になる注意点とそれぞれの対策について、6つの項目に分けて詳しく解説していきます。
 
マンションを貸すのは難しく見えますが、事前の備えとパートナー選びを怠らなければ、失敗リスクはある程度コントロール可能です。
読み終えるころには、あなたのマンションを貸すうえで事前に何を準備すればいいか、どのポイントに注意すべきか、どのようなパートナーを選べばいいのかまで具体的に描けるはずです。
ぜひ最後までお読みください。
注意点1:オーナー都合で契約解除できない【定期借家などで対策可能】
 
マンションを貸す際に最も大きな注意点は、貸主都合で契約を解除できないことです。
日本の賃貸契約は借主保護の考え方が強いため、オーナー側が「やっぱり自分で住みたいから退去してほしい」と思っても、オーナー側から一方的な契約解除をするのは難しい仕組みになっています。
入居者が「住み続けたい」という限りは退去させるのが難しく、退去してもらうためには、高額な立ち退き料を支払う必要があるケースがほとんどです。
そのため、転勤や親の介護で一時的に家を空けるケースでは「戻ってきたときに自宅が使えない」という状況になりかねません。
オーナー都合で契約解除ができない具体例
Aさんは、「自分で住みたくなったら住めばいいや」と軽い気持ちで、親から相続したマンションを賃貸に出すことを決めて、普通借家契約を結びました。
5年後、結婚したAさんは、貸しているマンションを取り戻そうと不動産会社に相談しましたが、入居者は住んでいるマンションを気に入っており、退去の意向はないとのことでした。
入居者に落ち度がないため、退去させるためには「立ち退き料」が必要となり、Aさんは高額な立ち退き料を支払う羽目になりました。
Aさんは、「ちゃんと途中解除できるような契約形態を選ぶべきだったな」と反省しました。
ポイント
立ち退き料の金額はケースバイケースですが、家賃の6カ月分〜12カ月分程度が相場です。長期間の家賃滞納など入居者に契約違反がある場合には、立ち退き料不要で契約解除できます。
【対策】定期借家または一時使用賃貸借契約を結ぶ
このリスクを回避するには、あらかじめ契約時に、「定期借家契約」または「一時使用賃貸借契約」を選ぶことがポイントです。
オーナー都合で契約解除できないを回避する方法
(1)普通借家契約ではなく、定期借家契約を結ぶ(2)普通借家契約ではなく、一時使用賃貸借契約を結ぶ
「定期借家契約」は、1年・3年・5年など契約期間を自由に決められる借家契約です。契約期間が満了したら更新は無く、契約が満了したら退去してもらうことができる契約です(合意すれば更新も可能)。
「一時使用賃貸借契約」は、転勤中だけなど、オーナーが戻ることを前提にした契約で、契約期間終了後は正当事由がなくても退去を求められる契約です。
どちらも入居者からすると「決まった期間しか住めない」というデメリットがあるため普通借家契約よりは家賃が低くなる可能性があります。
それでも、「オーナー都合で契約解除できない」という注意点を回避するために、戻る予定があるオーナーは必ず契約時に選んでおくべき選択肢となります。
注意点2:想定外の修繕費がかかる【収支計画の工夫で対策可能】
 
マンションを貸すときに見落としがちな注意点として、「想定外の修繕費が発生する可能性があること」もあります。
設備が突然故障したり、退去時にリフォームしなければ入居者が決まらなかったりと、想定外の費用が発生する可能性を考慮しておかないと「家賃収入が入ったのに赤字だった」という事態になりかねません。
忘れてはいけないのが、貸主には修繕義務があるというルールです。
借主が通常の生活で発生させる汚れや劣化(通常損耗)や、時間の経過による自然な劣化(経年劣化)はオーナーが負担するのが原則です。そのため「修繕費をまったく払わなくて済む」ということはなく、一定の出費は必ず発生すると考えておく必要があります。
マンションを貸すなら、想定外の修繕費ではなく、あらかじめかかりそうな修繕費を見積もって準備をしておくことが大切です。
想定外の費用がかかる具体例
築20年の分譲マンションを親から相続したBさんは、自分では使わないが立地が良いマンションなので賃貸に出しました。
最初の入居者が決まって安心していたところ、入居から1年以内にエアコンと給湯器が立て続けに故障。交換費用は合計で25万円を超えました。さらに、築年数が古いため水回りの劣化も目立ち、退去時にはクロス張替えや浴室リフォームで追加の出費が発生しました。
「毎月家賃が入っているから大丈夫」と思っていたBさんでしたが、こうした想定外の出費が重なったことで、結果的に手元に残る利益はわずかになってしまいました。
ポイント
築15年や築20年を超えてくると、給湯器・エアコン・水回りなどの設備交換が増える時期です。さらに築30年以上では、外壁や配管などの大規模修繕が必要になるケースも多く、オーナー負担が一気に増える傾向にあります。築年数が古いマンションの場合には、修繕費やリフォーム費用の負担が重くなってくるため、売却の可能性も検討することをおすすめします。
【対策】修繕費をあらかじめ収支計画に織り込んでおく
想定外の修繕費で赤字にならないためには、最初から修繕費やリフォーム費用を収支計画に織り込んでおくことが大切です。
区分マンションの場合、共用部の修繕は管理組合の修繕積立金でまかなわれるため、オーナーが負担するのは専有部だけです。給湯器やエアコンといった設備の交換や、退去時のクロス張り替え・床補修などが対象となります。
収支計画に織り込んでおく具体的な方法としては、修繕費を積立金のようなイメージで毎年何パーセントか想定しておく方法がおすすめです。これにより、給湯器やエアコンなど高額な交換が必要になった場合でも、突然の赤字に陥らず安定した賃貸経営が可能になります。
ポイント
通常、修繕費は家賃収入の10%〜20%を見込んでおくと良いといわれますが、これは屋根や外壁なども含めた一棟物件前提の目安です。マンションの場合は専有部分(部屋の中)のみの修繕なので、そこまではかからないイメージでいて問題ないでしょう。
あらためて収支計画に織り込んでおくべき主な費用をまとめると以下のようになります。
マンションを貸すときにかかる費用
・仲介会社に支払う費用(仲介手数料・広告料)・賃貸管理会社への管理手数料(家賃の約5%が月額目安)
・退去時の原状回復費用(クリーニング・クロス張り替えなど)
・保険料(火災保険・地震保険など)
・税金(固定資産税・都市計画税・所得税)
・マンションの管理組合に支払う管理費・修繕積立金
・突発的な修繕費(給湯器・エアコン・水回りの交換など)
修繕費は毎年発生する費用ではないものの「いつか発生する可能性が高い」費用なので、想定外の費用とせずに、収支計画に織り込んでおくことが大切です。
注意点3:住宅ローン返済中は貸せない【金融機関に相談で対策可能】
 
マンションを貸すときの大きな注意点のひとつが、住宅ローンを返済中の物件は原則として貸せないという点です。
住宅ローンは「本人や家族が居住すること」を前提とした融資なので、第三者に貸すと契約違反になってしまいます。無断で貸すと金融機関から一括返済を求められるリスクがあり、最悪の場合は差し押さえに至るケースもあるため注意が必要です。
「転勤だから数年だけ貸したい」といった事情があっても、金融機関の承諾を得なければ勝手に賃貸に出すことはできません。住宅ローンが残っている状態で貸す場合は、必ず金融機関に相談することが欠かせないステップになります。
住宅ローン中に無断で貸してしまった具体例
Cさんは住宅ローン残高が2,000万円ある状態で、ライフスタイルの変化により自宅マンションを使わなくなりました。
「住宅ローン控除も続いているし、空き家にしておくのはもったいない」と考え、特に金融機関に相談することなく、不動産会社を通じてそのまま貸し出してしまいました。
最初の数カ月は入居者も決まり、家賃収入でローン返済がまかなえると安心していました。ところが半年後、金融機関から「賃貸に出していないか」という確認が入り、契約違反にあたると判断されてしまいました。
結果として、Cさんはローン残債の一括返済を求められましたが、資金の手当てができずに慌てて売却することに。急ぎの売却で価格は相場より下がり、数百万円の損失を出してしまいました。
ポイント
上記の具体例はあくまで一例であり、実際に金融機関から一括返済を求められるか、厳重注意などで済むかはケースバイケースです。ただし、住宅ローンを最初から賃貸目的で利用するなど悪意ある不正が発覚した場合、契約違反にとどまらず刑事告訴の可能性すらあります。
いずれの場合も、住宅ローンは「自分や家族が居住すること」を前提とした融資です。事情があって賃貸を検討するなら、必ず事前に金融機関へ相談し、承諾を得てから対応しなければなりません。
【対策】金融機関に必ず相談して必要なら借り換えも
住宅ローン返済中のマンションを貸す場合は、原則として貸すことができないため、必ず事前に金融機関に相談しましょう。
転勤や海外赴任といった「やむを得ない事情」がある場合には、銀行が特例的に賃貸を認めてくれるケースもあります。その際は、契約書に「転勤期間中のみ貸出可能」などの条件が付くことが一般的です。
また、「住宅ローン控除は転貸中は適用停止になる」という点には注意が必要です。
もし承諾が得られない場合は、住宅ローンから投資用ローン(アパートローンや不動産投資ローン)への借り換えを検討することになります。投資用ローンは金利が高くなりますが、正規の手続きとして賃貸経営が可能になります。
あらためて、住宅ローン返済中にマンションを貸す場合の注意点をまとめると以下です。
住宅ローン返済中にマンションを貸す場合の注意点
(1)住宅ローン返済中は、マンションを貸すことは契約違反なのでできない・ただし、金融機関に相談して承諾を得られれば、特例的に認めてくれるケースがある
・認められなくても、投資用ローンに借り換えて貸し出すことはできる(金利は高くなる)
・無断で貸すことは絶対NG!契約違反で一括返済を求められる可能性がある
(2)住宅ローン控除は、他人に貸している間は停止する
・再び住み始めたら控除が即再開されるわけではなく、翌年から再開されることが多い
・控除期間は最長10年(または最長13年)と限られており、停止しても延長されない
・停止している間の節税メリットが失われるので、同じ給料でも税金が高くなる可能性がある
・住宅ローン控除の恩恵を受け取ってから貸すなど、シミュレーションをして判断するのがおすすめ
住宅ローン返済中のマンションを貸す場合には、注意点を頭に入れたうえで、必ず金融機関に相談してください。無断で他人に貸し出すことは絶対にやめましょう。
注意点4:トラブル対応が大変【事前準備と運用で対策可能】
 
マンションを貸すときの注意点として、「入居者トラブルの対応が大変」というのもよくいわれるポイントです。
マンションは多くの住民が集まって住む集合住宅であるため、騒音やゴミ出しのルール違反、ペットの飼育など、日常的なトラブルが起きやすいものです。
なにか問題が発生すると、近隣住民からのクレームが直接オーナーに寄せられ、謝罪や調整に追われることになり、想像以上の労力とストレスを抱える可能性があります。
ただし、事前に契約書で禁止事項やルールを明記し、管理会社を通じて入居者に徹底して伝えることで、多くのトラブルは未然に防ぐことが可能です。
トラブル対応が大変なケースの具体例
Dさんは、自分の所有するマンションを自主管理で貸し出しました。
ところが入居者が夜遅くまで楽器を演奏したり、ゴミ出しルールを守らなかったりしたことで、近隣住民から苦情が相次ぎました。結果としてDさんのもとに頻繁に電話がかかり、仕事中にも呼び出されて謝罪に追われる日々になってしまいました。
精神的にも疲れ切ったDさんは、「こんなに大変なら自主管理ではなく管理会社に依頼していればよかった」と後悔しました。
ポイント
・入居者が起こしたトラブル(騒音・ゴミ出しルール違反など)は、最終的にはオーナーの責任と見なされるケースがあるので注意・繰り返し迷惑行為がある場合や契約違反が明らかな場合には、契約解除や強制退去を求めることもできる
・ただし入居者は借地借家法で守られているため、強制退去には管理会社や専門家のサポートが不可欠である点に注意
【対策】禁止事項の設定・管理委託でリスクや負担を軽減する
マンションを貸すときの注意点である「入居者トラブルの対応が大変」という問題は、
(1)入居前の契約準備でリスクを回避する
(2)募集・審査を重視してリスクを回避する
(3)入居後の運用
の3つを徹底することで大きく軽減できます。
3つそれぞれのなかでの重要ポイントを以下に整理しました。
(1)入居前の契約準備でリスクを回避する
- マンションの管理規約・使用細則を確認して、禁止事項などを賃貸借契約に反映する
- 禁止・制限事項を具体的に明記する(例:ペット不可・喫煙禁止・駐車場ルールなど)
- 契約書と一緒に「使用細則チェックリスト」を読み合わせ、署名をもらう
- ゴミ出し・共用部利用など、特にトラブルになりやすい点を重点的に説明する
- トラブル発生時の連絡先を管理会社に一本化しておく
- 解約条項を設け、繰り返し違反があった場合に契約を終了できる旨を明記する(※)
※ただし、自動的に即時退去させられるわけではなく、最終的には「信頼関係が破壊された」と裁判所に判断される必要があります。対応に迷う場合は、弁護士などの専門家に相談して進めるのが安心です。
(2)募集・審査を重視してリスクを回避する
- ターゲットを明確化してリスクを減らす(例:ファミリー向けにするなど)
- 申込書で勤務先・収入・緊急連絡先、できれば過去の賃貸履歴確認もしてもらう(※)
- 単独で判断せず、管理会社・保証会社と連携して最終審査を行う(※)
(3)入居後の運用に気を付けて、管理しやすくする
- 管理会社が一次対応を行い、オーナーが直接矢面に立たない仕組みをつくる
- 近隣住民からの苦情は管理会社経由で受け付け、オーナーへの直接連絡を防ぐ
- 管理会社との委託契約にSLA(初動時間や報告頻度)を明記しておく
- トラブルや苦情はすべて記録し、証拠(日時・写真・騒音を測定した値など)を残す
- トラブルの芽が出た時点でスピーディに対応し、再発防止につながるようにする
この3段階を徹底することで、負担の大きいトラブル対応を未然に減らすことができるはずです。
注意点5:家賃滞納リスク【滞納させない仕組みで対策可能】
 
マンションを貸すときの注意点の中でも、とくに深刻なのが「家賃滞納リスク」です。
家賃が入らない状態が続くとローン返済や管理費の支払いに直結し、長期化すれば法的手続きや強制退去に発展することもあります。
初めてマンションを貸すオーナーほど、「もし入居者に家賃を滞納されたらどうなるんだろう?」「自分で督促できるかな…できればしたくない」など不安に感じる方も多いのではないでしょうか。
しかし、契約時に保証会社の利用を必須条件にし、管理会社と連携して滞納時の対応フローを明確にしておけば、オーナー自身が直接リスクを背負わずに済み、損失も最小限に抑えることが可能です。
家賃滞納が発生したケースの具体例
Eさんは、転勤で空いた自宅マンションを、知り合いの紹介で「信頼できる人だから大丈夫」と直接貸し出しました。保証会社の利用や厳密な入居審査はしていませんでした。
最初の数カ月は滞りなく家賃が振り込まれていましたが、半年ほど経つと入金が遅れ始め、その後は2カ月連続で未払いに。Fさんは知人経由で督促しましたが、「今月は厳しい」「来月まとめて払う」と言われるばかりで、結局そのまま退去されてしまいました。
結果的に、数十万円の未回収と原状回復費用の負担が残り、「知り合いだから大丈夫」という思い込みで保証会社を利用しなかったことを後悔することになりました。
ポイント
- 家賃を回収するには、裁判や強制執行など時間も費用もかかる法的手続きが必要になることがある
- 保証会社を利用していれば、入居者が滞納した家賃を保証会社が立て替えてくれるため、オーナーの収入は守られる
- 保証会社は入居者の与信審査も行うため、そもそも滞納リスクが高い入居希望者を排除できる
- 管理会社に依頼していれば、入居者への督促や手続きも代行してくれるため、オーナーが直接対応する負担を回避できる
- 知人や親戚などに個人で貸し出すケースは、トラブルにつながる可能性があるためおすすめしない
【対策】家賃滞納を防ぐ仕組みを整えておく
家賃滞納は、発生してからでは回収に大きな労力と時間がかかります。そのため大切なのは「滞納させない仕組み」を契約前から整えておくことです。
(1)入居審査を徹底する
契約後にトラブルが発生してからでは、強制退去や法的手続きに進むしかなく、収益に直結する損失になります。そのため、入居者に問題が無いか、契約前に確かめておくことが重要です。
| 入居審査を徹底するときのポイント ・勤務先や年収を確認して、家賃の支払い余力を見極める ・緊急連絡先を確認しておき、万一のときに連絡できる体制をつくる ・管理会社や保証会社の審査を必ず通す | 
入居審査を妥協しないことは、トラブルを未然に防ぐ最も確実な方法です。
(2)保証会社を必須にする
保証人なしや、個人の連帯保証人では、結局支払いが滞って回収できないリスクが残ります。必ず保証会社を利用して、入居者が滞納しても家賃が保証されるようにしておきましょう。
| 保証会社を必須にするときのポイント ・契約時に保証会社への加入を条件とする ・保証料の負担は入居者にしてもらう ・万が一の滞納時には、保証会社が立替払いを行うため収入は安定する | 
入居者が家賃を滞納しても、保証会社が立替払いをしてくれる仕組みを作っておけば、オーナー自身が直接損失を抱えるリスクを防げます。
(3)支払い方法を工夫する
人為的な「払い忘れ」を防ぐには、家賃を自動的に徴収できる仕組みを導入するのが効果的です。
| 支払い方法を工夫するときのポイント ・口座振替に設定し、毎月決まった日に自動引落にする ・クレジットカード払いに対応し、カード会社経由で入金を保証してもらう | 
現金払いは原則禁止とし、支払い遅延のリスクを減らすのがポイントです。
(4)管理会社に委託する
家賃滞納が発生したとき、オーナー自身で督促や法的手続きを行うのは大きな負担です。管理会社に委託しておけば、専門知識をもつ担当者が代行してくれます。
| 管理会社に委託するときのポイント ・滞納発生時の督促(電話・書面送付)を管理会社に任せる ・督促や法的手続きには専門知識が必要なので、オーナーが行うのは大きな負担となる | 
家賃保証つきの管理プランを選び、万一のリスクに備えるという選択肢もあります。管理会社を通じて家賃回収のフローを整えておくことで、オーナーが督促の矢面に立たずに済みます。
家賃滞納はマンションを貸すうえで最も避けたいリスクですが、上記のように契約時に仕組みを整えておけば多くを未然に防げます。オーナー自身が背負い込まずに済む体制を作ることが、安定した賃貸経営の第一歩です。
注意点6:空室リスクがある【家賃設定・集客力で対策可能】
 
マンションを貸すときの注意点のひとつに、空室リスクがあります。入居者が決まらずに空室が続けば、収入が途絶えて出費だけがかさみ、オーナーの負担が一気に膨らみます。
「マンションを貸してみたいけど、空室リスクが怖い」と不安で踏み出せない方も多いのではないでしょうか。
しかし、この空室リスクも、近隣相場を踏まえた適正な家賃設定と、集客に強い管理会社を選んでおくことで、対策することが可能です。
空室が長引くケースの具体例
Fさんは、築20年のマンションを「立地も悪くないから大丈夫だろう」と考え、周辺相場を調べずに自分の感覚だけで家賃を設定しました。しかし半年たっても入居希望者は現れず、最終的に入居が決まったのは募集から9か月後。
その間、マンション管理組合に支払う管理費や修繕積立金、固定資産税などが重なり、手出しで数十万円の赤字を抱えることになりました。
後から周辺の類似物件を調べてみると、同じ築年数・間取り・駅距離の物件よりも明らかに高い家賃で募集していたことに気づきました。
Fさんは「最初から相場を確認して適正な家賃にしていれば、こんなに赤字になることはなかった」と強く後悔しました。
| ポイント ・相場より高めに設定してしまうと申込みが一気に減り、長期空室につながってしまうことがある ・家賃は相場をベースに、マンション固有の特徴も加味して適正に設定することが大切 ・空室期間が長引くと費用だけが出ていき、赤字が膨んでしまう | 
【対策】家賃設定の工夫・集客力で対策する
空室が長引くと、管理費や修繕積立金、住宅ローン返済といった固定費だけが出て赤字が拡大します。発生してから慌てるのではなく、事前に「空室を防ぐ仕組み」を整えておくことが重要です。
さらに、どうしても空室が続く場合には、空室を埋めるための対策も実施しましょう。
(1)適正な家賃設定を行う
空室対策の基本は、まず「適正な家賃設定」です。オーナーの希望額ではなく、相場を踏まえた金額にすることが不可欠です。
| 適正な家賃を設定するときのポイント ・複数の不動産会社に家賃査定を依頼して、適正な家賃がいくらかを把握する ・周辺の相場も参考にしつつ、築年数や設備差を考慮して現実的な金額に設定する | 
家賃が適正に設定されていないと内見へ結びつきにくいのが現状です。内見数を増やして、早期に入居者を確保しやすくなります。
(2)管理会社・仲介会社と連携して集客力を高める
空室を防ぐには「いかに入居者の目に触れ、選ばれるか」が勝負です。そのためには、仲介を依頼する会社選びだけでなく、募集活動全体を工夫する必要があります。
| 集客力をアップさせるのポイント ・広告の見せ方を工夫する(間取り図・キャッチコピー) ・室内写真を明るく広く、魅力的に見せる工夫をする ・入居率や平均空室期間の実績を公開しているなど、客付けに強い不動産会社を選ぶ ・募集開始から掲載までのスピードを確認して、不動産会社を選ぶ ・レスポンスが早く、内容に納得感があるなど、信頼できる不動産会社を選ぶ ・一般媒介より専任媒介の方が本気になってもらいやすいため、契約方法も意識する | 
広告の作り方や写真の撮り方の違いでも、集客力には違いが現れます。不動産会社を選ぶ際には、「入居者募集でどのような工夫をしているのか」も聞いておくのがおすすめです。
(3)どうしても空室が続く場合には追加で対策を行う
さらに、どうしても空室が続く場合には、空室を埋めるための追加対策を検討しましょう。
| 追加対策の例 ・見た目が変わるようなリフォームをして、第一印象を改善する ・高速インターネット回線付き物件など、付加価値を付ける ・スマートロックやIoT家電など、専有部分での利便性を高める ・それでもどうしても埋まらなければ、家賃の見直しも検討する | 
なお、空室対策の強い会社であれば、どうすれば魅力度がアップするのか、物件にあったアドバイスをしてくれるでしょう。
【結論】失敗せずマンションを貸すには事前の対策と管理会社選びが重要
 
ここまで、マンションを貸すときの6つの注意点とその対策について、詳しく解説してきました。
【マンションを貸すときの注意点と対策】
| マンションを貸すときの注意点 | 回避するための対策 | 
| オーナー都合で契約解除できない | 定期借家または一時使用賃貸借契約を結ぶ | 
| 想定外の修繕費がかかる | 修繕費をあらかじめ収支計画に織り込んでおく | 
| 住宅ローン返済中は貸せない | 金融機関に必ず相談して必要なら借り換えも | 
| トラブル対応が大変 | 禁止事項の設定・管理委託でリスクや負担を軽減する | 
| 家賃滞納リスクがある | 家賃滞納を防ぐ仕組みを整えておく (1)入居審査を徹底する (2)保証会社を必須にする (3)支払い方法を工夫する (4)管理会社に委託する | 
| 空室リスクがある | 家賃設定の工夫・集客力で対策する (1)適正な家賃設定を行う (2)管理会社・仲介会社と連携して集客力を高める (3)どうしても空室が続く場合には追加で対策を行う | 
お読みいただいた方ならわかると思いますが、こうした一つひとつの注意点は、事前にしっかり準備して、回避・軽減する仕組みを整えておくことで、リスクを抑えることが可能です。
あらためて重要なポイントを整理すると、以下の2点に集約されます。
| 事前に注意点を理解し、収支シミュレーションや契約内容で備えておくこと ・定期借家契約や一時使用賃貸借契約を活用し、貸主都合で解約できないリスクに備える ・想定外の修繕費や管理費・税金などをあらかじめ収支計画に織り込む ・住宅ローン返済中は無断で貸さず、金融機関に必ず相談する ・契約書に禁止事項や解約条項を明記し、トラブルが起きにくくする ・家賃滞納を防ぐために保証会社を必須にし、支払い方法も工夫しておく ・空室リスクを想定し、相場に合わせた適正な家賃設定を行う | 
| 信頼できる管理会社・仲介会社を選び、日々の運営をプロに任せること ・禁止事項を契約書に明記し、トラブル対応を管理会社に委託する ・入居審査を管理会社・保証会社と連携して徹底する ・滞納発生時の督促や回収は管理会社に任せ、オーナーが直接矢面に立たない仕組みを作る ・集客力の高い不動産会社と組み、広告・写真・募集スピードを強化する ・空室が長引く場合には、管理会社と相談し、必要に応じてリフォームや設備追加を検討する | 
マンションを貸すときのリスクは、事前の備えと信頼できるパートナー選びで大きく軽減できます。この2つをしっかり対策しておくことが、賃貸経営で成功するための重要ポイントとなります。
信頼できる不動産会社を選ぶなら一括比較できる「マンション貸す.com」
 
ここまで見てきたように、マンションを貸すときの注意点やリスクを回避するためには、信頼できる不動産会社を選ぶことが何よりも重要となります。
だからこそ、管理会社選びでは一社の提案だけで決めるのではなく、複数社を比較し、条件やサービスの違いを見極めて選ぶことが欠かせません。
とはいえ、オーナーが自力で管理会社を探し、見積もりを取り寄せて比べるのは大変な労力を要します。
そこで役立つのが、一括で複数の管理会社の提案を受けられるサービス「マンション貸す.com」です。
 
ここからは、「マンション貸す.com」の仕組みやメリットを解説していきます。
会社選びで家賃収入に大きな差が生まれるので注意
マンションを貸すときに「どの管理会社に任せるか」は、家賃収入を大きく左右する重要な要素です。管理の質や客付け力によっては、年間で数十万円など大きな家賃収入の差が出ることもあります。
たとえば、家賃相場6万円のエリアで6戸のアパートを想定した場合、管理会社による違いで以下のような収益差が出る可能性があります。
・A社(適正家賃で募集し、スピード感ある対応で満室維持)→ 家賃10万円 × 12カ月 = 年間120万円
・B社(集客力が弱く、家賃を9万円に下げざるを得ない)→ 家賃9万円 × 12カ月 = 年間108万円
・C社(募集対応が遅く、入居が決まるまで3カ月空室)→ 家賃10万円 × 9カ月 = 年間90万円
・D社(家賃を9.5万円に下げても半年空室)→ 家賃9.5万円 × 6カ月 = 年間57万円
➡A社とD社は、同じ1室でも年間63万円の家賃収入の差が発生
このような差は、適正な家賃設定ができるかだけではなく、空室をどれだけ早く埋められるかや、トラブルやクレームへの対応スピードが早いかなど、管理会社ごとの総合的な運用力の差によって生じます。
「どこに頼んでも同じだろう」と思わずに十分に比較・検討しないのは非常に危険です。
650社以上の管理会社から厳選された6社の提案を受け取れる
「マンション貸す.com」は、全国650社以上の管理会社と提携しています。その中から物件のエリアや条件に合った最大6社から、オーナーに提案が届く仕組みです。
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・希望条件に合った会社のみが抽出されるため効率的に比較可能
・チャット形式での問い合わせなので、初心者でも使いやすい
裏側では「この物件をぜひ任されたい」と考える管理会社同士が競い合う仕組みなので、やる気のない会社から提案が来ることはありません。届く提案はすべて本気度の高い会社からのみです。
自分で一社ずつ探す手間を省きながら、信頼できる会社を短時間で比較できるのは大きなメリットといえます。
不動産オーナーは完全無料で利用できる
「マンション貸す.com」は、物件オーナーであれば無料で利用可能です。費用が一切かからないのは、サービスが管理会社からの成果報酬(従量課金)で成り立っているからです。
・利用する際に、オーナー側の費用は一切かからない
・提案を受け取って比較するだけでもOK(契約に進まなくても問題なし)
・「このマンションを貸す選択肢はどうか?」を気軽にチェックできる
「無料で気軽に、信頼できる管理会社を探したい」というオーナーにとって、非常に使いやすいサービスです。
\ 最大6社を比較するから1番高い金額がわかる /
※査定はあくまで相場に基づく「目安」に過ぎず、実際の成約賃料は入居者募集時の交渉や市場の状況によっても変動します。確定した賃料ではないという点に注意してください。
まとめ
本記事では、マンションを貸すときの主な注意点とその対策について解説してきました。最後に、要点を簡単にまとめておきます。
◆注意点1:オーナー都合で契約解除できない
・【対策】定期借家または一時使用賃貸借契約を結ぶ
◆注意点2:想定外の修繕費がかかる
・【対策】修繕費をあらかじめ収支計画に織り込んでおく
◆注意点3:住宅ローン返済中は貸せない
・【対策】金融機関に必ず相談して必要なら借り換えも
◆注意点4:トラブル対応が大変
・【対策】禁止事項の設定・管理委託でリスクや負担を軽減する
◆注意点5:家賃滞納リスクがある
・【対策】家賃滞納を防ぐ仕組みを整えておく
◆注意点6:空室リスク
・【対策】家賃設定の工夫・集客力で対策する
失敗せずマンションを貸すには事前の対策と管理会社選びが重要です。会社選びに迷ったら、一括比較できる「マンション貸す.com」をぜひご活用ください。
 
				Author information
河上 隼人
						1980年11月8日生まれ
						広島県出身
						株式会社エイムプレイス 代表取締役
						
						インターネットメディア事業「マンション貸す.com」を運営し、不動産オーナーと不動産会社をつなぐ架け橋として活動。効率的で自由度の高い経営スタイルを追求しながら、自らも日々学び続けている。
						
						趣味はトレーニングと健康的なライフスタイルづくり。毎日の冷水シャワーを日課とし、体幹トレーニングではアブローラーの“立ちコロ”を悠々こなす。数年前にお酒をやめてからは、心身ともにすっきりとした日々を楽しんでいる。
						「挑戦と進化」をテーマに、自然体で自分らしい生き方を磨き続けている。
					
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