「マンションを貸すと、儲かるのかな?」
「自分がいま持て余しているマンションで儲けることはできる?」
マンションを貸そうかなと思ったときに一番気になるのは、利益が出るのかどうかではないでしょうか。
結論からいうと、儲かるケースもありますが必ず儲かるとは限らないというのが実際のところです。
マンションを貸すことで、毎月の家賃収入が入るのはたしかですが、一方で、空室や修繕費用、思わぬ出費など、想定外のマイナスが起こることもありえます。
とくに転勤などで一時的に貸す場合は、利益を出すというよりも「損を減らす」目的で貸し出すケースも多く、冷静な判断が求められます。
この記事では、
- 儲かる状態を目指せるマンションの4つの共通点
- マンションを貸して儲けを出したい方が知っておくべき注意点3つ
を中心に、損をしないために必ず知っておきたいポイントをわかりやすく丁寧に解説します。

「売るか貸すか迷っている」「貸したらどのくらい得なのか気になる」という方にとって、答えが見つかる内容になっています。ぜひ最後までご覧ください。
【結論】マンションを貸すと儲かるケースもあるが絶対儲かる訳ではない

「マンションを貸すと儲かるの?」という疑問をお持ちの方は多いのではないでしょうか。
結論からいうと、「マンションを貸して儲かるケースもあるけれど、必ずしも儲かるとは限らない」というのが回答となります。
マンションを貸すというのは、昔から代表的な資産運用として行われてきている「不動産投資」の分野に該当するものです。これは資産運用すべてに言えることですが、うまくいけば安定した収益を得ることができますが、かならずリスクも存在します。
マンションの賃貸経営がうまくいくのは、利回りの高い「物件選び」に力を入れて、事前シミュレーションもしっかり行い、出口戦略(最終的に売却するまでの戦略)まですべてがうまくいった場合です。プロの投資家であっても、安定して儲けを出すのは簡単ではありません。
まして、あなたが今「既に所有しているマンションを貸そうか」と考えている場合、そもそも「賃貸で儲けること」を目的としてその物件を選んだわけではないと考えられます。そのため、そもそも儲けを出しやすいマンションかどうかが分かれ目になることも多いでしょう。
「貸せば収入になるはず!」と安易に考えるのではなく、自分の物件が賃貸に向いているか、そしてリスクも含めて納得できるかを冷静に判断する必要があります。
この記事では、儲かる可能性がある物件の特徴や、実際どのくらい儲かるのかのシミュレーション、そして知っておきたい注意点までを丁寧に解説していきます。
読み終わる頃には、「自分のマンションを貸すべきかどうか」「貸すならどんな準備が必要か」がはっきりわかるはずです。ぜひ、最後までご覧ください。
※転勤などで短期間だけ貸すケースでは「儲け」よりも「損を抑える」視点が重要
転勤などで「マンションを一時的に貸したい」という場合、賃貸経営で儲けが出るほどの期間ではないため、儲けは出たとしてもそれほど多くは利益が残らないケースが多いでしょう。
しかしながら、儲けは出なくても貸すメリットが大きいという点についてお伝えしておきます。
なぜならば、空き家のまま数年間放置してしまうと、部屋は思った以上に劣化が進んでしまうからです。また、住宅ローンが残っている場合、住んでいないのに返済だけは続けなければならず、支出ばかりがかかる状態になってしまいます。
- 月10万円で貸せば、家賃収入でローン返済分をカバーできるため、実質的に持ち出しの金額を抑えられる
- 人に住んでもらって換気・通水することで劣化防止になり、空き巣などの防犯対策にもなる
- 短期間でも貸し出すことで、マンションが「人が住める状態」に保たれる
「儲かる」とまでは言えなくても損失を抑えられるという点で、賃貸に出すメリットはあります。
マンションを貸して「儲かった」と実感できる3つの条件

「マンションを貸して儲かるかどうか」を考える前に、「儲かる」の言葉の定義をしておきます。
なぜならば、人によって「儲かった」と実感するラインは異なり、「月に1万円でもプラスなら儲かった」と感じる方もいれば、「将来的に数百万円得しなければ儲かったとはいえない」と考える方もいるからです。
明確な定義は存在しませんが、この記事では、「儲かる」=「副業や資産運用として、人に貸す手間に見合うだけの収益が出ている状態」を基準にしたいと考えています。
マンションを貸して「儲かった」と実感できる3つの条件
- 毎月の収支が安定して黒字であること(最低条件)
- 突発的な費用を支払っても利益が出ること
- 売却を含めてトータルで得をしていること
なぜならば、「マンションは貸したら終わり」という簡単な話ではなく、賃貸に出しているあいだずっと、入居者や設備の不具合への対応が続き、さらに空室リスクやトラブルに対するリスクを抱え続けないとならないものだからです。
たとえ自宅であっても、「手間がかかること」や「最終的な売却まで時間がかかること」を考慮すると、月に1万円レベルのプラスでは割に合わないと考える方がほとんどだと考えられます。
「赤字にならなければOK」というよりは、「継続的な収益が見込める」「突発的な支出にも耐えられる」「将来的に売却してもプラスで終われる」など、総合的に利益が出る状態を「儲かる」と捉えるのが現実的です。
「副業や資産運用として、人に貸す手間に見合うだけの収益が出ている状態」の具体的なラインを3つに分けて見ていきましょう。
毎月の収支が安定して黒字であること(最低条件)
まず最低限、毎月の「家賃収入−支出」が安定して黒字になっていることが、所有マンションを貸して儲かっているといえる条件のひとつです。
たとえば、家賃収入が月10万円で、ローン返済額・賃貸管理手数料・マンションの管理費・修繕積立金・固定資産税などをすべて含めた支出が月8万円であれば、月2万円の黒字(手残り)となります。
このように、「毎月数万円の黒字が安定して続く状態」であれば、副業的な不動産運用として一定の成果が出ているといえるでしょう。
※なお、不動産投資のプロのなかには「当初は赤字でも、売却時に大きく儲かればOK」と考える人もいます。しかし、そうした運用には資金力・経験・分析力が必要です。
「マンションを貸すのが初めて」という方は、しっかりと毎月の黒字を目指しましょう。
突発的な費用を支払っても利益が出ること
「儲かっている」と実感できる2つ目の基準は、「年に1〜2回発生する可能性がある突発的な費用」を差し引いても、最終的に利益が残っていることも大切な条件です。賃貸経営では、以下のような想定外の支出が発生する可能性があるためです。
- 入居者が退去する際の原状回復費用(10万円〜30万円程度)
- 給湯器やエアコンなどの設備交換(20万円〜40万円程度)
- 管理組合からの臨時の修繕積立金(数万円〜数十万円)など
このような出費が重なる年もあるため、年間30万円ほどの黒字があると安心です。
たとえば、毎月3万円×12カ月=年間36万円の手残りがあった場合、突発的な支出33万円(給湯器交換25万円+原状回復費用8万円)があっても黒字が残ります。
このように、突発的な出費を引いても黒字が残っている状態であれば、十分に「儲かっている」といえるでしょう。理想的な年間手残りとしては、最低でも30万円程度を目安にするのが無難です。
売却を含めてトータルで得をしていること
出口戦略として「売却」も含めたときに、最終的にトータルの収益が数百万円程度プラスになっていれば、「儲かった」という実感を得られる方が多いでしょう。
「出口戦略」とは、将来の売却までを見据えて、「最終的にどうやって利益を確定させて終わるか」という考え方のことで、不動産では非常に重要な視点です。
たとえば、購入価格3,000万円のマンションを5年間貸し出して、5年後に3,100万円で売却した場合、
- 家賃収入総額:600万円 → 経費を差し引いて実質手取り300万円
- 売却益(諸経費差し引き後):+50万円
合計で、約350万円のプラスとなります。
このように、売却益+家賃収入の合計が数百万円単位でプラスになれば、「資産運用として成功した」「儲かった」と実感しやすくなります。
とくに住宅ローンの残債をすでに完済している物件であれば、売却益がそのまま手元に残るため、利益を実感しやすいケースが多いでしょう。
儲かる状態を目指せるマンションの4つの共通点

前章で解説したように、マンションを貸して「儲かった」と実感できるためには、
- 毎月の収支が安定して黒字であること(最低条件)
- 突発的な費用を支払っても利益が出ること
- 売却を含めてトータルで得をしていること
の3つを満たして、「副業や資産運用として、人に貸す手間に見合うだけの収益が出ている状態」を得る必要があります。
ここからは具体的に、そうした「儲かる状態」を目指せるマンションの共通点を4つ紹介していきます。
儲かる状態を目指せるマンションの4つの共通点
- 空室になりにくいマンションであること【とても重要】
- 毎月の支出(費用)が少ないこと【利益が残りやすい】
- 突発的な支出が発生しにくいこと【想定外のマイナスを防げる】
- 将来の売却益が見込めるマンションであること【トータルでプラスになる】
自分のマンションがこれらの4つに当てはまる物件や状態になっているか、ぜひチェックしてみてください。初心者の方でも、所有物件が収益を生む可能性を持っているかどうかを、しっかりと判断できるはずです。
空室になりにくいマンションであること【とても重要】
儲かるマンションかどうか判断するうえでの最重要ポイントが、「空室になりにくい物件かどうか」です。
なぜならば、空室だとその間の家賃収入がゼロになる一方で、マンションの管理費やローン返済などの費用はかかるため、大幅な赤字となってしまうからです。
「最初の入居者が早く決まること」はもちろん、「退去されずに長く住んでくれること」や「退去した後になるべく空室期間が短く済むこと」が重要です。
基本的には、賃貸ニーズが高いのはワンルームマンションです。投資物件の多くが単身者向けのワンルームであるように、ワンルームは立地が良ければ一定の需要が見込めるからです。
一方で、ファミリータイプは、家族構成・学区・保育園や学校に通うタイミングなどが条件に関わるため、入居者探しに時間がかかる傾向があります。そのためファミリータイプは投資対象とはなりにくいものの、人気の学区や大手ブランドマンションなど条件次第では空室になりにくい条件を満たせるケースがあります。
たとえば、以下のようなマンションは空室になりにくく、安定した家賃収入が期待できます。
空室リスクが低いマンションの例
- 駅から徒歩10分以内など、アクセスが良い立地にある
- 商業施設・学校・病院が近くにあるなど便利な立地にある
- 単身者向けのワンルームなど、賃貸市場でニーズの高い間取りのマンション
- ファミリータイプの場合は、人気の学区など需要が高いエリアに位置している
- 築年数が比較的新しい(目安として築15年以内)
- 近隣相場と比べて家賃設定が適切
- 退去が出たとき、すぐに募集活動をしてくれる管理会社・仲介会社がついている
- 管理もしっかりしており、入居者が安心して定住してくれる環境が整っている
反対に、空室リスクが高いマンションの例
- 駅から遠いなど、立地が良くない
- 古くて外観や設備の劣化が目立つ
- ワンルームで単身者向け(回転が早く空室が出やすい)
- 周辺に新築物件が多く、競合に負けやすいエリアにある
- 治安が悪い、騒音が多いなど住みづらい地域
- 管理が行き届いておらず、エントランスが汚れている
入居者が見つかりやすく、長く住んでもらえる環境が整っていることが、安定した家賃収入につながります。
毎月の支出(費用)が少ないこと【利益が残りやすい】
次に大切なのは、毎月の支出が少ないことです。家賃収入から支出を差し引いた金額が手元に残ることが、「儲かる状態」に近づくための基本です。
どれだけ家賃が高くても、支出が多ければ利益は少なくなってしまいます。とくに自宅を貸す場合、住宅ローンが残っていると収支が圧迫されやすくなります。
まったく同じ条件の家賃収入が10万円のマンションで、費用が8万円かかるのと2万円で済むのでは、手残りの金額がかなり違ってきます。
毎月の支出が少ないシチュエーション例
- ローンを完済していて、毎月の返済負担がない
- マンションの管理費や修繕積立金が高すぎない
- 自分で管理するため、賃貸管理手数料がかからない
反対に、毎月の支出が多いシチュエーション例
- ローンが残っており、毎月の返済が重い
- 管理費・修繕積立金が高額(例:合計月3万円以上)
- 固定資産税が高い地域や築年数が古い物件
- サブリース契約で、賃貸管理手数料の料率が高い
- 駐車場料金などの維持費が多い
支出が少ないほど、手元に残る利益が多くなります。また、万が一空室になった期間も、マイナス幅を軽減できます。支出が少ないことは、初心者にとって最も安心して貸し出せる条件のひとつです。
突発的な支出が発生しにくいこと【想定外のマイナスを防げる】
儲かる可能性が高いマンションは、「突発的な支出が発生しにくい」という特徴も持っています。思いがけない出費が発生してしまうと、それまで積み重ねてきた利益が一気に消えてしまう可能性があるからです。
突発的な支出とは、マンションの設備が故障したときの費用や入居者とのトラブルを解決するための費用など、予測しづらい一時的な費用のことを指します。
原状回復費用も基本的には「敷金」で補填されますが、想定以上に室内が汚されていた場合や、高額な修理が必要な場合はオーナーが負担せざるを得ない可能性があります(契約書の内容次第)。
このような突発的な支出を減らすには、「入居者選び」や「設備の状態」「契約書の内容」が非常に重要です。
突発的な支出が発生しにくいマンションの例
- 築浅で給湯器・エアコン・水回り設備が新しい(不具合が発生しにくい)
- 信頼できる管理会社がすぐに対応してくれる
- 入居審査をきちんとしてトラブルの少ない人に貸している
- 原状回復や修理について細かく明記した契約書を使っている
- 普段から入居者との連絡が取れており、状況を把握できている
反対に、突発的な支出が発生しやすいマンションの例
- 築20年以上で設備が老朽化している
- 給湯器・エアコンの交換時期が近い
- 契約書が不十分でトラブル発生時に費用負担の線引きが曖昧
- 入居者の素行が悪く、ゴミ出しや騒音などの苦情が多い
- 管理会社の対応が悪く、対応が不十分になっている
「予期せぬ出費」が何度も発生してしまうと、せっかく積み重ねた利益が減ってしまいます。できるだけこうした予想外の支出が起こりにくいようなマンションを選び、契約書の条項追加や入居者の選定もしっかり行いましょう。
突発的な支出を減らすことで、毎年の収益が安定して、安心してマンションを貸し出すことができます。
将来の売却益が見込めるマンションであること【トータルでプラスになる】
そして最後に、売却益が見込めることも儲かるマンションの大事な特徴です。賃貸経営は長期的に見て利益を得る方法ですが、万が一の出口戦略として「売却」が含まれていると、より安心です。
マンションを貸すこと自体はプラスでも、最終的に大きく値下がりしてしまうと、トータルでは赤字になる可能性もあります。将来的に利益を得るためにも、マンションの価値が安定していることはとても重要です。
売却益が見込めなくても大きなマイナスでなければ許容範囲といえますが、やはりプラスが見込める物件のほうが安心です。
将来マンションの価値が上がりそうなエリアを選ぶことで、売却時に利益を得るチャンスがさらに増えます。理想は、月々の収支の差でコツコツと利益を出し、売却時にも利益を出すことです。
将来の売却益が見込めるシチュエーションの例
- 今後も人口が増え続ける都市部に立地している
- 駅チカや再開発エリアなど将来的な需要が高い
- 購入時にすでに価格が安く、相場が下がりにくいマンション
- 将来的にも、賃貸需要が見込めるエリアにあるマンション
- 相続・贈与などで取得した物件で、そもそも取得コストがかかっていないケース
反対に、売却益が見込めないマンションの例
- 地方や郊外で人口が減っており、将来的に資産価値が下がりそうなエリアにある
- 駅から遠いなど交通の便が悪く、他のマンションよりも魅力が低いマンション
- 老朽化が進み、修繕積立金の不足など管理に不安があるマンション
- 売却までにリフォームや建て替えなど大きな出費が必要となるケース
将来的に売却してまとまった利益が出せるかは、儲かるかどうかの大事なポイントです。
マンションを貸して儲かる2つの詳細シミュレーション例

ここまで解説したように、「貸して儲かるマンション」には共通点がありますが、実際どのようなパターンで儲かるのか、まだイメージしづらい方もいるかも知れません。
ここからは、マンションを貸して儲かる理想的な2つのパターンについて、あくまでシミュレーションですが、長期的な目で「どのくらい儲かるか」を解説していきます。
資産価値が下がらないマンションを頭金を多めに入れて購入したケース
最初のケースは、もともと資産価値が下がらないマンションを探して購入して、頭金を多めに入れてローン返済額を抑えたケースです。
想定したシチュエーションとしては、独身時代に資産性の高い都内の中古(築浅)ワンルームマンションを所有するために、条件が良いマンションを探して購入した状況です。
購入価格4,000万円のうち、2,000万円を頭金として支払っており、残りは25年の住宅ローン(年利0.5%)で返済中。結婚を機にそのマンションを手放さず、賃貸に出すことにしたという現況です。同じ都内に住んでいるため最低限の管理は自分で行えるため、賃貸管理手数料を抑えています。
このケースの前提条件
- エリア:東京都中央区・月島駅 徒歩5分
- 築年数:築8年(30㎡・1Kタイプ)
- 購入価格:4,000万円(うち頭金2,000万円、住宅ローン借入額2,000万円)
- ローン:貸し出し時点での残債は1,600万円で、事業ローン(2%)に借り換え
家賃収入:年間180万円
- 家賃収入(15万円 × 12カ月)=180万円
支出:年間124.4万円
- ローン返済(7万円 × 12カ月)=84万円
- 管理費・修繕積立金(1.5万円 × 12カ月)=18万円
- 賃貸管理手数料(15万円 × 3% × 12カ月)=5.4万円
- 固定資産税・都市計画税=12万円
- 火災保険料=5万円
この場合の年間収支は、「家賃収入180万円 − 支出124.4万円」=55.6万円です。初年度は、仲介会社への支払いは最低限のハウスクリーニング代の初期費用がかかりますが、それでも黒字が残る可能性が高いでしょう。
相続で取得したため取得費ゼロのマンションを貸すケース
2つ目のケースは、親が相続税対策として購入して、生前に住んでいた地方都市の好立地マンションを相続で取得したケースです。
相続で親が購入したマンションを取得した場合、購入費用がかかっていないため、非常に有利な条件で賃貸経営を始めることができます。また、住宅ローンの返済がないため、収支も黒字になりやすいのが特徴です。
とくに、相続したあとの収益も見越して親が条件の良いマンションを購入してくれていた場合、貸すことで儲かる可能性も高まります。たとえば、地方都市でのカップル向けの物件は一定の需要があるため、安定した収益を得やすいケースといえるでしょう。
このケースの前提条件
- 親が生前に、相続税対策として購入したマンション
- カップル向けの2LDKマンションで、地方都市の中心部・駅徒歩圏内で賃貸市場でも需要が高い
- 築年数は15年の中古マンションで、家賃は月額18万円
- 住み替えで空き家となったが、遠方のため、貸し出すことを決定
家賃収入:年間216万円
- 家賃収入(18万円 × 12カ月)=216万円
支出:年間45.8万円
- ローン返済=なし
- 管理費・修繕積立金(1.5万円 × 12カ月)=18万円
- 賃貸管理手数料(18万円 × 5% × 12カ月)=10.8万円
- 固定資産税・都市計画税=12万円
- 火災保険料=5万円
このケースの場合の年間収支は、「家賃収入216万円 − 支出45.8万円」=170.2万円です。初年度は、仲介会社への支払いは最低限のハウスクリーニング代の初期費用がかかりますが、それでもかなりの利益が残るでしょう。
相続したマンションを10年後(築25年になる年)に売却する場合、購入費用を自分では負担していないため、売却益はそのまま利益となります。
10年後に売却した場合の最終的な利益
※3,000万円で売却できたと想定
【貸している10年間の利益】1,702万円(170.2万円×10年)− 想定外費用100万円=1,602万円
【売却益】売却金額2,000万円 − 売却にかかる費用100万円=1,900万円
【合計】1,602万円+1,900万円=3,502万円
※売却益に対する譲渡所得税(約20%)が発生します。また、マンションを相続した時点で、相続税が発生する可能性があります。実際の手取り額はこれよりも少なくなる点にご注意ください。
このように、市場価値が下がりにくいマンションを相続で取得した場合には、貸している間はもちろん、売却時点でも大きな利益が出る可能性が高いといえます。
マンションを貸して儲けを出したい方が知っておくべき注意点3つ

ここまで、マンションを貸すことで儲かるケースについて詳しく解説してきました。
しかしながら、「自分のマンションは条件も良いし儲かるかも!」と前向きになっている今だからこそ、冷静に確認しておきたい注意点があります。
実際に貸し出してから「こんなはずじゃなかった…」と後悔しないためにも、以下のポイントをしっかり押さえておきましょう。
物件や状況が整っていても絶対に儲かるとは限らない
今回解説したような「儲かりやすい条件」を満たしているケースでも、絶対に儲かるとは限らない点に注意しましょう。実際に貸してみると「想定通りに収益が出なかった」「予期せぬ事態が起こってしまった」というケースはありえます。
どんなに綿密に現実的にシミュレーションを立てたとしても、あくまで想定であり、実際の賃貸経営には不確実な要素が多く含まれています。そのため、あらゆるリスクを想定したうえで、回避する方法も整えておく必要があります。
たとえば「次の入居者がなかなか現れない」「退去時の原状回復費用が想定以上にかかる」「新たな入居者を募集するための費用が高い」「家賃を下げる必要がありそう」など、このまま貸しても儲けがなかなか出なさそうという場合には、無理に貸し続けるよりも、売却や買い取りなど、より適した選択肢に切り替えることも検討の価値があります。
貸すことに固執せずに柔軟に選択していくことが重要となります。
結局は「物件ごとの固有の事情」に大きく左右される
儲かりそうな条件は満たしていても、実際に利益を出せるかどうかは、結局は「物件ごとの固有の事情」に寄ることが多い点にも注意しましょう。
不動産はひとつとして同じ物件が存在しない「個別性の強い資産」です。立地や広さ、築年数など条件が似ていても、その他のあらゆる要素によって、家賃設定や空室リスクがまったく異なる結果になります。
たとえば、一見するとほとんど同じような条件に見えるマンションでも、家賃20万円でなかなか空室にならないマンションもあれば、家賃13万円でもなかなか空室が埋まらないというマンションもあります。
人気のマンションは「1階が地域で人気のカフェで外観もおしゃれ」な一方、埋まらないマンションには「トラブルを起こしがちな入居者がいる」など、一見見えにくい理由が隠れているケースもあるのです。
また、部屋が位置している階数や日当たり、周辺施設、管理状況、眺望の良さ、間取りの使いやすさ、収納の多さなど、その他あらゆる要素がかかわってきます。
自分のマンションの賃貸需要やリスクを客観的に判断するには、不動産会社や管理会社などのプロに実際に見てもらうのがおすすめです。複数社に相談し、相場や改善点について意見を聞くと安心です。
似たような条件の物件と比べて楽観的に判断せず、「自分の物件はどうか?」を冷静に見極めることが成功の第一歩です。
賃貸経営について自発的に学んでおく必要がある
マンションを貸す際には、仲介・管理をしてくれる不動産会社の助言を得ながら判断していくことになりますが、任せきりでは判断を誤ることもあるため、自発的に学んでおく必要がある点にも注意しましょう。
この記事の中でも断片的にリスクについてお話しましたが、マンションを貸すということにはさまざまなリスクがつきものです。
そうしたリスクの理解と対処方法についてや、賃貸借契約の契約書に盛り込むべき内容、理想的な管理方法など、賃貸経営には幅広い知識が求められます。
最低限押さえておきたい賃貸経営の知識
- 賃貸契約の種類(普通借家・定期借家)の違い
- 家賃の下落要因や空室リスクの見極め方
- 修繕積立金の仕組みと長期修繕計画の見方
- リスクを回避するための具体的な方法
- 青色申告・減価償却などの税務知識
- 出口戦略について
こうした幅広い知識を、本や信頼できる不動産メディア、セミナーなどで体系的に学んでおくと安心です。
知っていれば回避できたトラブルを、知らなかったために損してしまうことは回避したいでしょう。不動産任せではなく、自分でもしっかりと学ぶ姿勢で取り組める人が、賃貸経営に向いている人といえます。
儲かるかどうか判断したいなら「賃料査定」から始めよう

マンションを貸して儲かるかどうかは、結局は、固有の物件の条件によって大きく異なります。そのため、マンションを貸すかどうかを判断するには、まず「いくらで貸せるのか」を知ることが重要です。
たとえば、同じ駅近くにある築年数や間取りが似たマンションでも、駅のどちら側に位置しているのかや、周辺施設の利便性、住んでいる層の違いによって家賃相場は変わります。こうした情報を事前に知ることで、賃貸に出すか売却するかの判断材料にもなります。
まずは無料の賃貸管理一括査定サービスを利用して、自分のマンションがどのくらいの家賃で貸せるのかを確認することが、マンションを有効活用するための第一歩となります。
個別に不動産会社を探したり比較したりするのが難しい場合には、賃貸管理一括査定サービス「マンション貸す.com」がおすすめです。

「マンション貸す.com」は、マンションを活用したい方が完全無料で利用できる、賃貸管理一括査定サービスです。費用は一切かからず、管理会社側の従量課金で成り立っている仕組みなので、オーナーには負担なく安心して利用できます。
賃貸管理一括査定サービスに関する調査でNO.1を獲得(※)した不動産オーナー向けサイトで、審査を通過した信頼性の高い管理会社・仲介会社のみを掲載しているのが特徴です。
※獲得した部門
- 不動産を所有する方が選ぶ「信頼できる不動産会社を探す人におすすめ」賃貸管理一括査定サービス No.1
- 不動産を所有する方が選ぶ「持ち家を高く貸したい人におすすめ」賃貸管理一括査定サービス No.1
- 不動産を所有する方が選ぶ「管理費を安く抑えたい人におすすめ」賃貸管理一括査定サービス No.1
調査概要
調査方法:インターネット調査を利用したイメージ調査(Surveroidを利用)https://surveroid.jp/
調査期間:2024年12月3日~12月9日
調査概要:マンション・一戸建ての所有者、オーナー、大家が、不動産管理会社へ一括で査定を依頼するサービス(5サービス)とマンション貸す.comを比較したイメージ調査
調査実施機関:EC@JAPAN協会
調査対象:自分の不動産を所有している全国30代以上の男女324名
モニター抽出方法:インターネット調査用パネルからランダムに抽出
備考:サービス利用経験の有無は聴取していない
「マンション貸す.com」は、チャット形式の簡単な質問に答えるだけで、不動産会社を最大6社まで一括で比較できるプラットフォームです。物件の内容に合った会社を選んで比較できるので、広告や認知度にとらわれず物件の価値をしっかり評価してくれる不動産会社を見つけることが可能です。
650社を超える不動産会社が加盟しており、比較することで最適な賃貸管理会社を見つけることができます。特定の管理会社を推薦するサービスではなく、中立的な立場で情報を提供しているため、比較・検討しやすいのも特徴です。
※査定結果はあくまで相場に基づいた目安であり、実際の賃料や契約条件は、管理会社との面談・交渉によって変わります。必ずしも提示された金額で貸せるとは限りません。
どの不動産会社に依頼するかによって、「儲かるかどうか」に大きな差がでることもあります。そのため、しっかりと不動産会社を見極めて、どの業者に依頼するかしっかり選ぶことが大切です。まずはお気軽に「賃貸査定」をしてみてください。
まとめ
本記事では「マンションを貸すと儲かるのか?」について解説してきました。最後に、要点を簡単にまとめておきます。
◆【結論】マンションを貸すと儲かるケースもあるが絶対儲かる訳ではない
- うまくいけば安定した収益を得ることができますが、かならずリスクも存在する
- 転勤などで短期間だけ貸すケースでは「儲け」よりも「損を抑える」視点が重要
◆マンションを貸して「儲かった」と実感できる3つの基準
- 毎月の収支が安定して黒字であること(最低条件)
- 突発的な費用を支払っても利益が出ること
- 売却を含めてトータルで得をしていること
◆儲かる状態を目指せるマンションの4つの共通点
- 空室になりにくいマンションであること【とても重要】
- 毎月の支出(費用)が少ないこと【利益が残りやすい】
- 突発的な支出が発生しにくいこと【想定外のマイナスを防げる】
- 将来の売却益が見込めるマンションであること【トータルでプラスになる】
◆マンションを貸して儲けを出したい方が知っておくべき注意点3つ
- 物件や状況が整っていても絶対に儲かるとは限らない
- 結局は「物件ごとの固有の事情」に大きく左右される
- 賃貸経営について自発的に学んでおく必要がある
儲かるかどうか判断したいなら「賃料査定」から始めましょう。かならず一社だけでなく複数社の査定を見て、いくらで貸せそうかを確かめてみてください。

Author information
河上 隼人
1980年生まれ 広島県出身
株式会社エイムプレイス 代表取締役
インターネットメディア事業「マンション貸す.com」を運営し、不動産オーナーと不動産会社をつなぐ架け橋として活動。効率的で自由度の高い経営スタイルを追求しながら、自らも日々学び続けている。
趣味はトレーニングと健康的なライフスタイルづくり。毎日の冷水シャワーを日課とし、体幹トレーニングではアブローラーの“立ちコロ”を悠々こなす。数年前にお酒をやめてからは、心身ともにすっきりとした日々を楽しんでいる。
「挑戦と進化」をテーマに、自然体で自分らしい生き方を磨き続けている。
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