「一軒家を貸す場合、相場がどのくらいなのか知りたいと思って検索しても、戸建てに限定した賃料相場の情報はあまり見つからないことが多いのではないでしょうか。
また、「結局のところ、自分の一軒家はいくらで貸すことができるんだろう?」というところを知りたい方も多いのではないでしょうか。
この記事では、エリアごとや居住室数別、建築時期別の借家の家賃平均を、わかりやすく解説します。
 
さらに、似た条件の相場から自分の家の目安賃料を見積もるための3ステップの考え方や、賃料に影響を与える具体的な要素の整理ワークも用意しています。
 
 
この記事を読み終える頃には、「自分の家はいくらで貸せそうか?」が具体的にイメージできるようになっているはずです。ぜひこの記事を参考に、一軒家の適正賃料を考える第一歩にしてみてください。
【基礎知識】一軒家を貸すときの相場(全国平均・エリア・間取り・築年数別)
 
まずは、一軒家を貸すときの相場について、エリア別・間取り別・築年数別に紹介していきます。
【都道府県ごと】一軒家を貸すときの家賃相場:4万円〜9万円程度が平均
まずは、都道府県ごとに一軒家を貸した場合の家賃相場を見ていきましょう。ここでは、統計局による「令和5年住宅・土地統計調査」の結果を加工して、都道府県別にまとめたデータを紹介します。
この調査は、実際に住宅(集合マンションを含む)を借りて住んでいる国民を対象に調査したものなので、「募集賃料」ではなく「実際にいくら支払って住んでいるか」を知ることができます。
なお、1行目にあるとおり、借家の1カ月あたり家賃の全国平均は、60,649円です(家賃0円を含まない場合)。
【都道府県ごとの借家の1カ月あたり家賃の平均】
| 都道府県 | 借家の1カ月あたり家賃の平均 (家賃0円を含む) | 借家の1カ月あたり家賃の平均 (家賃0円を含まない) | 
| 全国 | 59,643円 | 60,649円 | 
| 北海道 | 44,793円 | 45,674円 | 
| 青森県 | 40,238円 | 41,884円 | 
| 岩手県 | 42,978円 | 44,532円 | 
| 宮城県 | 51,110円 | 52,147円 | 
| 秋田県 | 41,986円 | 43,107円 | 
| 山形県 | 44,936円 | 46,126円 | 
| 福島県 | 44,001円 | 44,939円 | 
| 茨城県 | 47,524円 | 48,594円 | 
| 栃木県 | 46,642円 | 47,840円 | 
| 群馬県 | 44,268円 | 45,643円 | 
| 埼玉県 | 62,265円 | 63,141円 | 
| 千葉県 | 61,372円 | 62,210円 | 
| 東京都 | 87,126円 | 88,295円 | 
| 神奈川県 | 70,922円 | 71,918円 | 
| 新潟県 | 46,491円 | 47,581円 | 
| 富山県 | 45,497円 | 46,184円 | 
| 石川県 | 46,319円 | 46,957円 | 
| 福井県 | 45,991円 | 47,259円 | 
| 山梨県 | 45,302円 | 46,415円 | 
| 長野県 | 46,023円 | 47,028円 | 
| 岐阜県 | 45,656円 | 46,693円 | 
| 静岡県 | 51,508円 | 52,621円 | 
| 愛知県 | 55,223円 | 55,927円 | 
| 三重県 | 47,120円 | 48,233円 | 
| 滋賀県 | 50,682円 | 51,592円 | 
| 京都府 | 57,170円 | 58,185円 | 
| 大阪府 | 59,227円 | 59,778円 | 
| 兵庫県 | 57,845円 | 58,634円 | 
| 奈良県 | 51,999円 | 53,041円 | 
| 和歌山県 | 42,054円 | 43,084円 | 
| 鳥取県 | 42,577円 | 43,935円 | 
| 島根県 | 42,528円 | 43,665円 | 
| 岡山県 | 48,209円 | 49,078円 | 
| 広島県 | 51,544円 | 52,366円 | 
| 山口県 | 41,926円 | 42,956円 | 
| 徳島県 | 42,893円 | 43,834円 | 
| 香川県 | 45,282円 | 46,067円 | 
| 愛媛県 | 41,680円 | 42,762円 | 
| 高知県 | 42,170円 | 43,093円 | 
| 福岡県 | 51,176円 | 51,895円 | 
| 佐賀県 | 45,265円 | 46,053円 | 
| 長崎県 | 43,304円 | 44,636円 | 
| 熊本県 | 44,566円 | 45,671円 | 
| 大分県 | 41,888円 | 42,880円 | 
| 宮崎県 | 41,450円 | 42,084円 | 
| 鹿児島県 | 39,418円 | 40,638円 | 
| 沖縄県 | 49,400円 | 50,903円 | 
      参考:令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計「第48-2表 家計を主に支える者の年齢(6区分)別住宅の1か月当たり家賃(10区分)別借家に居住する主世帯数及び1か月当たり家賃-全国、都道府県、市区町村」を加工して作成
      ただし、この数値はあくまで「平均値」かつ「集合住宅も含む値」である点に注意が必要です。
      たとえば、東京都の借家の1カ月あたり家賃の平均(家賃0円を含まない)は88,295円ですが、人気のエリアかつ駅から近い物件では20万円や30万円を超えるケースもあります。
      もう少し詳細に相場を知りたい場合には、このあとの2章を参考にしてください。
【居住室数別】一軒家を貸すときの家賃相場:4室なら約6.5万円が平均
次に、一軒家の部屋数ごとの家賃相場も確認しましょう。
先ほどと同じ、統計局による「令和5年住宅・土地統計調査」の結果を加工して、居住室数ごとにまとめたデータを紹介します。
| 居住室数とは 居住室数とは、住宅内の居間、茶の間、寝室、客間、書斎、応接間、仏間、食事室等の居住用の室の数をいいます。玄関、台所(炊事場)、トイレ、浴室、廊下、土間等、及び店、事務室、旅館の客室等の営業用の室は除きます。 | 
【部屋数ごとの借家の1カ月あたり家賃の平均】
| 住宅の居住室数 | 借家の1カ月あたり家賃の平均 (家賃0円を含む) | 借家の1カ月あたり家賃の平均 (家賃0円を含まない) | 
| 総数 | 59,656円 | 60,630円 | 
| 1室 | 52,571円 | 53,315円 | 
| 2室 | 61,113円 | 61,802円 | 
| 3室 | 62,758円 | 63,535円 | 
| 4室 | 63,725円 | 64,969円 | 
| 5室 | 72,752円 | 77,191円 | 
| 6室 | 64,755円 | 70,588円 | 
| 7室以上 | 66,331円 | 75,962円 | 
      
      参考:令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計「第113表 居住室数(7区分)別住宅の1か月当たり家賃(10区分)別借家(専用住宅)数及び1か月当たり家賃-全国、都道府県、市区を加工して作成
      居住室数が1室の場合は5万円台、2室〜4室の場合は6万円台、5室以上の場合は7万円台というのが全国的な相場となります。
      
【建築時期別】一軒家を貸すときの家賃相場:築45年で家賃は半分になる
次に、建築時期別の部屋数ごとの家賃相場も確認しましょう。ここでも先ほどと同じ、統計局による「令和5年住宅・土地統計調査」の結果を加工して、建築時期(一軒家が建てられた年)ごとにまとめたデータを紹介します。
【建築時期ごとの借家(専用住宅)の1カ月あたり家賃の平均】
| 住宅の建築の時期 | 1畳当たり家賃 | 新築〜築2年を100%とした場合の価格差 | 
| 総数 | 3,403円/畳 | ー | 
| 1950年以前(築73年以上) | 1,679円/畳 | −65.42% | 
| 1951~1970年(築53〜72年) | 2,251円/畳 | −53.64% | 
| 1971~1980年(築43〜52年) | 2,388円/畳 | −50.82% | 
| 1981~1990年(築33〜42年) | 2,947円/畳 | −39.31% | 
| 1991~2000年(築23〜32年) | 3,204円/畳 | −34.02% | 
| 2001~2005年(築18〜22年) | 3,659円/畳 | −24.65% | 
| 2006~2010年(築13〜17年) | 4,036円/畳 | −16.89% | 
| 2011~2015年(築8〜12年) | 4,046円/畳 | −16.68% | 
| 2016~2020年(築3〜7年) | 4,402円/畳 | −9.35% | 
| 2021~2023年9月(築0〜2年) | 4,856円/畳 | ー | 
※住宅の建築の時期のカッコ内は、2023年時点での築年数です。
当然ながら、建築時期が古いほど、新築〜築2年の一軒家(2021〜2023年9月建築)に比べて価格が下がることがわかります。
1971年築〜1980年築(2023年時点で築43年〜築52年)の一軒家は、新築〜築2年の物件と比べて家賃は半分になり、1950年以前に建てられた一軒家は65%も価格が下がります。
一軒家の相場から適正家賃を割り出す方法
 
1章では、都道府県別など条件別の一軒家の賃貸相場を解説しました。しかしながら、この相場だけを見ていても「あなたが貸したい一軒家の相場(適正家賃)」が分かるわけではない点に注意しましょう。
なぜならば、同じ「東京都新宿区」の「2LDK」の一軒家であっても、最寄り駅がどの駅なのかや、駅からの徒歩時間、外観、築年数などさまざまな要素によって、家賃には大きな差が現れるからです。
不動産会社に相談する前に、自分でざっくりとした相場感を掴んでおくことで、納得感を持って話を進められますし、査定額を見たときにも「高すぎる」「安すぎる」の判断がしやすくなります。
ここからは、各エリアの一戸建ての家賃相場を参考にしながら、「自分の一軒家の場合はいくらで貸すことができそうか」を見極める方法を紹介していきます。
 
ぜひこのステップを見ながら一緒に手を動かしていただき、一軒家の適正な家賃がいくらぐらいか判断してみてください。
【ステップ1】不動産情報サイトでエリアなど条件を合わせて検索する
まずは、不動産情報サイトで、貸し出したい一軒家と条件が似ている物件が、どのくらいの家賃で募集されているかを調べます。
(1)自分のエリアで一戸建て賃貸の掲載数が多いサイトを選ぶ
戸建ての賃貸は、マンションやアパートよりも掲載数が少ない傾向があります。そのため、なるべく掲載数が多いサイトを使うのがポイントです。
全国的に見ると「SUUMO(スーモ)」の掲載数が比較的多くておすすめですが、地域によっては「LIFULL HOME'S(ホームズ)」や「アットホーム」、その他のサイトの掲載数が多いケースもあります。
「◯◯(最寄り駅名) 一戸建て 賃貸」などのキーワードでGoogle検索して、上位に出てきたサイトを開いてみましょう。
たとえば、「吉祥寺 一戸建て 賃貸」と調べると、「SUUMOの吉祥寺の賃貸一戸建て情報」が表示されます。
(2)最寄り駅・間取り・駅からの徒歩時間・築年数などを合わせて検索する
あとは、できるだけ自分の貸したい一軒家の情報に近い物件を見つけるために、間取りや駅からの徒歩時間、築年数などで絞り込んでいきます。
ただし、絞り込みすぎてしまうと参考にできる物件がヒットしないこともあるため、絞り込みすぎにも注意が必要です。
たとえば、東京の中央線沿線にある「吉祥寺駅」では、995件の情報が見つかりました(2025年5月時点)。
 
出典:SUUMO関東版「賃貸一戸建てで探す>吉祥寺駅エリア」
ここから、間取りを「3LDK」にすると334件となり、さらに築年数を「25年以内」にすると269件となりますが、駅からの徒歩時間を「20分以内」にすると16件まで減少します。
検索結果を見ながら条件を調整しつつ、自分の物件と似た一軒家が表示されるようにしましょう。
【ステップ2】一覧から「ハズレ値」を除いて相場の参考にする
検索して出てきた物件をもとに、「あなたの家に近い条件の物件はいくらで貸し出されているか」を確認していきます。「だいたい◯万円〜◯万円くらいなんだな」という相場の感覚をつかむことが大切です。
表示された中には、いわゆる「ハズレ値(=特別に安い・高い物件)」も含まれています。これらを除外する目を持つことがポイントです。
| ハズレ値の例 ・明らかに相場よりも家賃が安い物件がある:定期借家契約などの要因がないか確認 ・築40年なのに家賃が高い:フルリフォーム済みなどの要因がないか確認 | 
ハズレ値を見つけて取り除ける場合は取り除いたうえで、募集賃料の金額を参考にするようにしましょう。
たとえば、SUUMOで吉祥寺駅から徒歩20分以内で築25年以内の3LDKの一戸建てを検索した場合の検索結果を参考にすると、月額24万円〜35万円ということがわかりました(2025年5月調査時点)。
あまり相場を絞りすぎずに、幅を持たせて理解するのがおすすめです。なぜならば、表示されている物件情報だけではわからない、価格の上振れ・下振れの要因があるからです。
あくまで参考として「◯万円〜◯万円のあいだの一軒家が多いんだな」と理解しておきましょう。
【ステップ3】相場に個別の要素を加点・減点して賃料を算出する
最後に、細かな条件を加味して、「自分の家ならこのくらいで貸せそう」という調整をしてみましょう。
詳しい「加点要因」と「減点要因」の内容については3章で解説しますが、以下のようなものがあります。
| 一軒家を貸すときの賃料に影響を与える11の項目 ・地域ごとの家賃相場(都心・地方など)【影響度:★★★★】 ・間取り・広さ(3LDK・4LDKなど)【影響度:★★★】 ・築年数(築45年で家賃は半額になる)【影響度:★★★】 ・周辺環境(利便性・学区・治安など)【影響度:★★★】 ・建物構造(木造かRC造かなど)【影響度:★★】 ・リフォーム・リノベーションの有無【影響度:★★】 ・駐車場の有無・台数・屋根など【影響度:★★】 ・水害などのハザードリスク【影響度:★★】 ・ペット飼育の可否【影響度:★】 ・収納の多さ・家の使いやすさ【影響度:★】 ・その他【影響度:★〜★★★(ケースによる)】 | 
このように家賃に影響を与える要因はかなり多岐にわたるのですが、その中でもそのエリアの状況に照らし合わせて重要度が高そうな補正を加えるのがおすすめです。
たとえば、駐車場がない一軒家だった場合、駅チカ物件であれば価格にさほど影響しない可能性が高いですが、車がないと生活が難しいエリアなら致命的な欠点となります。
一般人だと判断が難しいものですが、次の3章の内容も参考にしたうえで、予測してみましょう。
なお、予測があっているか答え合わせするために、賃料査定に来てくれた不動産会社の担当者に訊いてみることをおすすめします。
一軒家を貸すときの賃料に影響を与える11の項目
 
一軒家を貸す際、賃料はさまざまな要因によって大きく左右されます。どんな条件が家賃に影響を与えるのかを知ることが、適正な賃料設定のために非常に重要です。
今回は、特に影響が大きい要因を中心に、賃料が高くなるケースと低くなるケースをわかりやすく解説します。
ここでは、家賃の上昇要因や低下要因を具体的に説明し、実際の例を挙げながら理解を深めていきます。
地域ごとの家賃相場(都心・地方など)【影響度:★★★★】
1章で地域ごとの家賃相場を紹介したように、一軒家がどの地域にあるかによって、家賃にはかなり大きな差が生まれます。
全国的な相場差が大きく、物件の条件にかかわらず地域によって家賃が大きく変わるため、すべての要素の「土台」となる最も影響度が高い要素です。
たとえば、東京都内でとくに人気が高い23区内では、月額30万円を超える家賃を取れるケースもあります。一方で、地方の農村部や人口減少エリアであれば、月額1万円〜3万円でも借り手が見つからないケースもあるのです。
1章の内容も参考に、地域ごとの家賃相場をベースにして、一軒家を貸す場合の家賃を決めていきましょう。
間取り・広さ(3LDK・4LDKなど)【影響度:★★★】
一軒家を貸すとき、間取り・広さも大きな影響を与える要素のひとつです。単身向け・ファミリー向けなど、間取りによって想定される入居者層が変わり、家賃にも直接反映されやすい要素となります。
1章でも解説したとおり、居住室数ごとの家賃平均(家賃0円を含まない場合)を見ると、
・居住室数が1室の場合:53,315円
・居住室数が4室の場合:64,969円
・居住室数が7室以上の場合:75,962円
など、間取りによって月額家賃は1万円〜2万円など差が生まれることがあります。
1章の内容も参考に、自分の家の間取りの家賃平均を確認してみてください。
築年数(築45年で家賃は半額になる)【影響度:★★★】
築年数が新しいほうが家賃は高く、古いほど家賃は下がる傾向があり、特に築30年を超えると条件次第で賃料が大幅に変動します。
1章でも解説したとおり、築年数が古いほど以下のように価格は下がります。
築0〜2年を100%とした場合
・築13〜17年の家賃:16.89%下がる
・築18〜22年の家賃:24.65%下がる
・築23〜32年の家賃:34.02%下がる
・築33〜42年の家賃:39.31%下がる
・築43〜52年の家賃:50.82%下がる
・築53〜72年の家賃:53.64%下がる
・築73年以上の家賃:65.42%下がる
1章の内容も参考に、自分の家の築年数の場合は新築と比べてどの程度家賃が下がりそうかイメージしておきましょう。
周辺環境(利便性・学区・治安など)【影響度:★★★】
同じ地域(市区町村や沿線)のエリア内でも、具体的な立地によって家賃に差が出ることがあります。商業施設や学校、治安などの周辺環境は入居者の暮らしやすさに直結するため、賃料差につながるケースがあります。
たとえば、「繁華街の中心部」と「少し外れた静かな場所」では、同じエリア内でも家賃に大きな差が生じることがあります。
とくにファミリー層を中心とした一軒家の入居者は、日々の暮らしやすさや子育てのしやすさを重視する傾向があります。また、「便利な施設が近くにあるか」「人気の学校の学区かどうか」なども価格に影響を与えます。
| 周辺相場よりも家賃が「高くなる」ケース ・商業施設や飲食店が多いエリア:同じ地域内でも、ショッピングモールや飲食店、カフェが豊富なエリアは家賃が高くなる傾向があります。人気のエリアだと、家賃が5万円など差が出ることもあるでしょう。 ・主要な幹線道路に近いエリア:主要な幹線道路に面している物件や、大通りに近い物件は、交通の便が良いため家賃が高くなる場合があります。特に、出入口や交通の要所として重要な位置にある場合、利便性が非常に高くなるため、家賃が月額1万円〜3万円程度高くなることがあります。 ・学区が良い場所:特に子どもがいる家庭にとっては、学区が重要なポイントになります。同じエリア内でも、優れた公立学校が近くにあるエリアは、家賃が高くなることがあります。とくに、学力が高い学校や評判の良い学校区に入る物件は、家賃が月額1万円〜3万円程度高くなることがあります。学区が良い場所は、子どもが成長するために重要な要素となり、人気があります。 | 
| 周辺相場よりも家賃が「低くなる」ケース ・騒音や振動が気になる場所:周囲に工場や交通量の多い道路が近い場所では、騒音や振動が気になるため、家賃が下がることがあります。特に、音が大きくて安眠できない、振動がひどいというような環境では、家賃が月額1万円〜2万円程度安くなることがあります。たとえば、駅から近くても、周囲に工事現場が多いエリアや、鉄道の高架下などは家賃が低くなる要因となります。 ・学区が悪い場所:同じエリア内でも、学区があまり良くない場所では、家賃が安くなることがあります。近隣の学校の評判や学力が低い場合、そのエリアは子どもがいる家庭には避けられがちで、家賃が月額1万円〜2万円程度安くなることがあります。特に教育熱心な家庭は、学区を重視するため、学区が悪い場所では需要が少なく、家賃が下がる傾向があります。 | 
周辺環境による家賃の影響は非常に大きくなります。同じエリア内でも、商業施設や治安、交通の便、学区、自然環境の有無によって、家賃が高くなる場合や低くなる場合があります。
とくに、学区が良い場所や治安が良い場所、便利な商業施設が整っているエリアでは家賃が高くなり、騒音が気になるエリアや学区が悪い場所では家賃が下がる傾向があります。
建物構造(木造かRC造かなど)【影響度:★★】
一軒家を借りる人にとって、建物の安全性や快適性はとても重要です。防音性や耐久性の面で評価が分かれるため、構造によって一定の家賃差が出る傾向があります。
とくに子どもがいる世代が家を探す場合には、「どんな構造で建てられているか」「断熱性は高いか」「地震に強いか」といった点が、家賃に影響するケースがあります。
なかでも地震や火事などが多いエリアでは、耐震性や断熱性が高い建物は安心感があり、長期的に住みやすいという理由で賃料を高めに設定できることがあります。
| 周辺相場よりも家賃が「高くなる」ケース ・RC造(鉄筋コンクリート造)や鉄骨造:強固な構造と耐震性、断熱性が確保されているため、特に都市部では家賃が高く設定されます。高層階や新築物件などは、月額家賃が1万円〜2万円程度高くなることもあります。 ・ヘーベルハウスのような軽量鉄骨造:耐震性や耐久性に優れ、家賃設定が高めになることが一般的です。特にリフォーム後の物件は、さらに高い賃料設定が可能です。 | 
| 周辺相場よりも家賃が「低くなる」ケース ・木造の一軒家 :一般的に建築コストが安いため、賃料も低く設定されがちです。特に築年数が古い木造住宅や、耐震補強がされていない場合は、家賃が月額1〜2万円程度低くなることがあります。ただし、新築やリフォームが施された木造住宅は、家賃が低くなることは少なく、人気エリアでは競争力のある価格で貸し出せることもあります。 | 
建物の性能は、長期的に住むかを判断する重要な要素です。快適で安全な住まいは、より高い賃料で借り手がつきやすくなります。
リフォーム・リノベーションの有無【影響度:★★】
築年数が古い一軒家の場合は、リフォーム・リノベーションを実施しているかどうかが、価格に影響します。
フルリノベーションをしていれば、築年数が古いという欠点を補うことができ、内装は新築同様となります。
とくに、内装や設備が最新で現代的なデザインであれば、借り手にとって魅力的なポイントとなり、家賃を高く設定できる可能性があります。
一方で、リフォームがされていない物件は「設備が古い」「機能が足りない」など入居者に敬遠されてしまい、家賃を低くしないと借り手が現れない可能性があります。
周辺相場よりも家賃が「高くなる」ケース
- 水回りや内装がリフォームされた場合:キッチンやバスルーム、トイレなどの水回りをリフォームすることで、見た目や使い勝手が大きく改善されます。これにより、家賃が1万円〜3万円程度高くなることがあります。とくに設備が最新だと、家賃を高く設定しやすくなります。
- フローリングの張替えや壁紙の変更:汚れや古さを感じさせない新しいフローリングや壁紙に変更すると、全体的な印象が大きく変わります。これにより、家賃が月額5,000円〜1万円程度上がることもあります。
- デザイン性が高いリノベーション:おしゃれな内装や間取り変更など、他の物件と差別化を図ったリノベーションが行われた場合、とくに高く家賃設定できる場合があります。
リフォームは賃料に大きな影響を与える要因ですが、借り手のニーズに応じたリフォームを行うことが大切です。
なお、「自分でDIYしたい」というニーズも一定数あるため、大規模なリフォームはせずに「DIY可能物件」として貸し出すという選択肢もあります。
駐車場の有無・台数・屋根など【影響度:★★】
駐車場の有無や条件も、一軒家を貸す場合に設定する家賃への影響があります。地方では駐車場の有無が家賃に与える影響が大きく、都市部ではオプション扱いになるなど地域差もあります。
とくに「車での移動が必須のエリアなのに駐車場がない」という場合、家賃がかなり下がる可能性があります。
都市部では駐車場代が月額数万円にもなるため、駐車場の有無が家賃に与える影響は非常に大きいです。
ただし、駅チカ物件の場合にはさほど影響を与えないこともありえます。
周辺相場よりも家賃が「高くなる」ケース
- 屋根付き駐車場や広い駐車スペース:特に屋根付きの駐車場や、広い駐車スペースが確保されていると、さらに家賃が高くなり、月額家賃が2万円程度上がる場合もあります。
周辺相場よりも家賃が「低くなる」ケース
- 駐車場がない:駐車場がない場合、周辺で月極駐車場を探す必要があり、その分の費用がかかります。このため、駐車場なしの物件は家賃が1〜2万円安くなることがあります。
- 駐車場が不便な場所にある場合:例えば、遠くの場所にある駐車場を利用しなければならない、駐車が難しい場所に駐車場がある場合は、家賃が少し安くなることもあります。
周囲の駐車場事情も確認して、影響度合いを判断しましょう。
水害などのハザードリスク【影響度:★★】
物件が水害・土砂災害・地震のリスクが高いエリアにある場合、その情報が賃貸希望者に知られることで、家賃に影響を与えることがあります。
近年では「ハザードマップで確認するのが当たり前」という意識も広がっているため、災害リスクが家賃に与える影響も無視できなくなっています。
ハザードリスクを気にするかどうかは人にもよりますが、ハザードマップの危険地域に該当するだけで選択肢から外れることもあるため、立地次第では「影響度:★3」に相当することもありえます。
周辺相場よりも家賃が「高くなる」ケース
- そのエリアで数少ないハザードマップで色がついていないエリアや、高台で見晴らしが良く静かな住宅街など、複数の好条件が重なると、同エリアの中でも家賃を高めに設定できる可能性があります。
周辺相場よりも家賃が「低くなる」ケース
- 水害リスクが高いエリア:浸水想定区域内の物件や、ハザードマップで「洪水」「内水氾濫」の危険性が示されている地域は、なかなか入居者が決まらず家賃を下げなければならないケースがあります。特にファミリー層や防災意識の高い層は避ける傾向にあり、入居までに時間がかかることもあるでしょう。
- 過去に災害が発生した地域:過去に浸水被害や土砂崩れが起きたことがニュースになった地域では、家賃が相場より1〜2割下がることもあります。風評リスクが長引き、入居者の選定に苦労することも少なくありません。
入居者が物件を選ぶ際に、ハザードマップで安全性をチェックすることが一般化しつつあります。
とくに、小さな子どもがいる家庭や高齢者と同居している世帯は、災害時の避難が難しいため、災害リスクの高い地域を避ける傾向が強まっています。
ペット飼育の可否【影響度:★】
ペット飼育可能かどうかも、一軒家を貸す場合の家賃に影響する可能性があります。
なぜならば、ペット(犬や猫など)を飼いたいと考えている入居者は、「ペット飼育可能の物件しか選ばない」からです。
ペットが一緒でないと困る入居者は、どんなに魅力的な一軒家だとしても「ペット不可」の時点で、その家には住めないのです。
「ペット可」の物件は供給が限られるため需要が高く、条件次第で家賃が上がることもあります。
周辺相場よりも家賃が「高くなる」ケース
- ペット飼育可で専用設備がある場合:ペット対応のフローリング(傷つきにくい素材)や、ペット用の足洗い場、脱走防止フェンス、専用ドアなどがある場合、家賃を5,000円〜1万円程度高く設定できることがあります。とくに犬や猫など大型のペットが飼える物件は、地域によっては希少価値があり、家賃を上乗せしても埋まりやすいケースが多いでしょう。
- 猫可など珍しい条件がある場合:犬はOKでも猫はNGという物件が多い中、「猫もOK」の物件は差別化要素となるため、他の条件が同じなら数千円〜1万円程度高く設定されることもあります。
周辺相場よりも家賃が「低くなる」ケース
- ペット不可で選択肢が狭まる地域の場合:2年前にフルリノベーション(水回り・床・壁すべて新調)(+1万円相当):郊外やファミリー層が多く住むエリアでは、ペットを飼いたいというニーズが比較的多く、「ペット不可」という条件がネックになる場合があります。そういったエリアでペット不可だと、競合に比べて家賃が5,000円〜1万円程度安くなる可能性があります。
ただし、ペット可にすることで特有のトラブル(鳴き声・におい・傷など)のリスクが高まるため、オーナー側としては敬遠する方も多いでしょう。
ペット可能にするかどうかは慎重に判断しましょう。
収納の多さ・家の使いやすさ【影響度:★】
収納スペースの多さや、家の間取りの使いやすさは、住み心地に直結する要素です。直接的な家賃アップにはつながりにくいものの、決定打になることもあり、競合物件との差別化要因になります。
とくにファミリー層は、季節物・思い出の品・子どもの持ち物など保管したい荷物が多いため、収納の多さを重視する傾向にあります。
ただし、それだけで家賃が上がる・下がるというケースはそれほど多くはなく、家賃に与える影響は「中程度」にとどまると考えられます。
周辺相場よりも家賃が「高くなる」ケース
- 収納が豊富な間取り:ウォークインクローゼットや納戸、床下収納、小屋裏収納などがある物件は、収納家具を買わずに済むため人気が高く、5,000円〜1万円程度の家賃アップが見込めることがあります。とくに、収納スペースが間取りの1〜2割以上を占める場合、収納重視の借り手から選ばれやすくなります。
- 回遊動線や生活動線がよい間取り:例えば、洗濯動線が短い、キッチンから各部屋が見渡せる、子育てしやすい設計などは、使い勝手が良いとされ、物件の満足度が上がるため、競争力が高まります。
周辺相場よりも家賃が「低くなる」ケース
- 間取りが使いにくい:無駄な廊下が多い、細かく仕切られすぎていて家具が置きにくい、採光が取りづらいなど、日常生活の動線にストレスがある場合も、人気が落ちてしまい家賃に悪影響が出ます。
収納や動線といった要素は、目立ちにくい一方で、暮らしの快適さに直結します。家賃に大きな差をつける要素ではないものの、他の条件が同じであれば「住みやすさ」の印象で選ばれやすくなり、家賃の維持や早期成約に効果的です。
その他【影響度:★〜★★★(ケースによる)】
その他、上記の10つの項目以外にも、一軒家を貸す場合の家賃に影響する項目は多岐にわたります。以下に例を挙げます。
周辺相場よりも家賃が「高くなる」ケース
【影響度:★★★】
- 家具・家電付きで提供している:初期費用がかからないメリットから、特に単身者や短期利用層に人気になるケースが多い。立地によるが、プラス1万円〜3万円で貸せる可能性も。
【影響度:★★】
- 太陽光発電が設置されている:電気代を軽減できるメリットがあるため高く貸せる可能性がある。
- ホームセキュリティが導入されている:安全性を重視するファミリー層に需要あり。
- インターネット無料:月額の固定費が下がるため、特に若年層やテレワーク層に人気。
【影響度:★】
- ホームシアターなどの特殊設備:高所得者層をターゲットにする高級賃貸では、こうした付加価値で賃料を上げやすくなります。
周辺相場よりも家賃が「低くなる」ケース
【影響度:★★★】
- 事故物件(心理的瑕疵あり):告知義務があるため、通常の家賃よりも数万円下がることが一般的です。
- 近隣に嫌悪施設がある(ごみ処理施設、風俗店、騒音施設など):敬遠される要因となり、家賃相場を下回る価格での募集になるケースがあります。
【影響度:★★】
- 定期借家契約:契約期間の終了をもって自動的に退去しなければならないため、通常の「普通借家契約」と比べて敬遠されやすく、家賃を下げないと決まりにくくなるケースがあります。
- 旗竿地・袋小路・前面道路が狭い:車の出入りがしにくいため敬遠される可能性があり、家賃が相場より低くなるケースが多いといえます。
- 長期空き家だった物件:雰囲気やメンテナンス状態への不安から、初期は安く貸さざるを得ない場合があります。
- 不自然な間取り(極端に狭い部屋や動線が悪いなど):生活しづらさを感じられやすく、競争力が落ちて家賃も下がりがちです。
【影響度:★】
- ホームシアターなどの特殊設備:高所得者層をターゲットにする高級賃貸では、こうした付加価値で賃料を上げやすくなります。
これらの要素は、一般的な相場要因に比べると影響度にばらつきがありますが、物件の特徴や借り手のニーズ次第では意外な強み・弱みになることもあります。
事前に物件の特徴を客観的に洗い出しておくことで、適切な家賃設定に近づけることが可能になるでしょう。
なお、ここで紹介したもの以外にも、再建築不可物件など特殊な事情が家賃に影響を与えることもあります。
総合的な家賃評価は素人には難しいものなので、最終的には不動産会社に相談することをおすすめします。
一軒家の相場から自分の物件の家賃を見積る実践ワーク
 
ここまでの内容をもとに、本章では実際に、貸したい一軒家の家賃を見積もってみましょう。
一戸建てを賃貸に出す際は、まず「相場を調べること」が第一歩です。とはいえ、相場は物件ごとに大きく異なるため、自分の物件に近い条件の家をいくつか調べ、その平均的な家賃を把握しましょう。
そのうえで、前章で紹介した「家賃に影響を与える要素」を一つひとつ確認しながら、相場より高くなりそうか、安くなりそうかを整理すると、適切な賃料の目安を導きやすくなります。
以下のワークシートを使って、実際に手元の物件で考えてみましょう。
【SUUMOなどで似ている賃貸一戸建ての相場を調べる】
| 類似する地域・間取り・築年数で検索した 賃貸一戸建ての相場 | 月額________円 | 
【3章の内容をもとに、相場より高くなる要素・低くなる要素を書き出す】
| 影響を与える要素 | 相場より高くなる要素 | 相場より低くなる要素 | 
| 建物構造 【影響度:★★】 | ||
| リフォーム・リノベーションの有無 【影響度:★★】 | ||
| 駐車場の有無・台数・屋根など 【影響度:★★】 | ||
| 水害などのハザードリスク 【影響度:★★】 | ||
| ペット飼育の可否 【影響度:★】 | ||
| 収納の多さ・使いやすさなど 【影響度:★】 | ||
| その他 【影響度:★〜★★★】 | 
実践ワークの例
            想定エリア:千葉県船橋市(都内通勤圏の郊外)
            間取り:3LDK(約85㎡)
            築年数:築25年
            SUUMOで調べたところ、同じ地域・間取り・築年数の一戸建ての相場は、月10万円〜15万円の間でした。平均値でいうと12.5万円です。
            自分の物件は以下のような特徴があるため、家賃に次のような影響がありそうです。
      
相場より高くなりそうな点
            駐車場が2台分あり、1台は屋根付き(+5,000円相当)
            ・2年前にフルリノベーション(水回り・床・壁すべて新調)(+1万円相当)
      
相場より高くなりそうな点
最寄りのバス停まで徒歩10分と、やや不便(−3,000円相当)
・ハザードマップで浸水リスクが「中」になっている(−2,000円相当)
想定家賃は、12.5万円 +加点1.5万円−減点5,000円=13.5万円前後になりそうというイメージです。
※価格の加点・減点はあくまで目安です。エリアによっても加点具合・減点具合が異なることがあり、ニーズは変動するため、最終的には不動産会社など専門家の意見も参考にしましょう。
      
このワークを通じて、自分の物件に近い家賃相場と、その相場よりも「高くできそうな要素」と「安くなりそうな要素」を整理できたと思います。事前に整理しておくことで、不動産会社に相談する際にも、希望家賃の根拠を説明しやすくなるでしょう。
とはいっても、自己評価だとどうしても思い入れがあって高く評価しすぎてしまう傾向があります。最終的な賃料の設定や募集条件は、地域の市場をよく知る不動産会社と相談しながら決めるのが安心です。
今回のワークをたたき台に、プロの意見も取り入れながら適正な賃料を見つけていきましょう。
相場をもとに一軒家を貸すときの注意点
 
ここまでは、一軒家を貸す場合の家賃相場データや、同じエリアの相場の調べ方、さらに家賃に影響を与える具体的な要素について見てきました。
ただし、相場をもとに「このくらいで貸せそうだ」と思っても、実際にはそのとおりに借り手が見つかるとは限りません。シミュレーションして「10万円で貸すことができそう」という結果が出たとしても、自己判断でその家賃にこだわりすぎてしまうと、結果的に損してしまう可能性があるため注意です。
この章では、現実的な家賃設定や募集条件を考えるための注意点を解説していきます。
実際の想定家賃は賃料査定に出してみないと分からない
実践ワークで個別の家賃イメージが湧いたと思いますが、実際には、最終的な家賃は不動産会社の「賃料査定」に出してみないとわかりません。査定を受けて初めて、現実的な金額が見えてきます。
(1)理由1:希望家賃と成約家賃は異なる可能性があるから
理由のひとつとして、「SUUMO」や「ホームズ(LIFULL HOME’S)」に掲載されている賃料はあくまで「募集時の希望家賃」であって、実際にその金額で借り手が決まったかどうかまでは分からないことが挙げられます。
たとえば、家賃が月額35万円の賃貸一戸建て情報が載っていると、「このエリアは家賃相場が高いのだな」と思ってしまいがちですが、実際には35万円では入居者が決まらず、大幅に家賃交渉される可能性もあります。
また、一軒家はマンションに比べて物件数が少なく、似た条件の物件と比較しにくいため、相場を読むのが難しいという側面もあります。
その点、プロの不動産会社であれば、周辺の成約事例や現在の需要、空室状況なども踏まえて根拠ある査定額を出すことが可能です。
(2)理由2:相場をもとに加点・減点した内容が合っているとは限らないから
前章では、相場を基に「価格に影響を与える要素」を加点・減点する方法をお伝えしましたが、あくまで素人による調整なので、合っているとは限りません。
よくある失敗例として、「愛着のある一軒家を高く貸したい」という気持ちから、相場よりも高く評価してしまうことがあります。
実際に個別の要素が加点要素となるかは、やはり賃料査定でプロの目で判定してもらうしかありません。
自分で周辺相場を調べて、加点・減点要素を洗い出すことはとても大切ですが、最終的な家賃の判断は不動産会社の賃料査定を通じて行うのが確実です。
賃料査定の金額でかならず貸せるとは限らない
賃料査定で詳細な家賃を見積もってもらったとしても、それはあくまで「目安」にすぎず、その金額で借り手が決まるとは限りません。
家賃は、需要と供給のバランスで決まります。同じような条件の物件が周囲にたくさん空いていれば、競合が多いため決まりにくくなり、賃料を下げる必要が出てくることもあります。また、借り手側の感覚と合わなければ、条件が良くても敬遠されてしまう場合もあります。
たとえば、14万円で想定していた物件が2か月間まったく内見も入らず、最終的に12万円に下げたらすぐに決まった、というケースもあります。家賃は売値と違って「住んでもらって初めてお金が入る」ものなので、空室が長引くとその間の収入がゼロになります。
賃料は、最初に想定した通りにいかないことも多いため、柔軟に見直す前提で家賃設定を考えることが大切です。
家賃は高ければ良い訳ではない(決まりにくくなる)
「賃料査定ではできるだけ高く見積もってほしい」と考える方もいるでしょうが、家賃は「高ければ良い」とは限りません。募集スタート時の賃料を高くしすぎると、かえって借り手が見つかりにくくなるリスクがあります。
よくある勘違いとして、賃料査定を複数社にしてもらう場合、「一番高い賃料を出してくれた不動産会社に決めたい」と考える方がいます。しかしながら、高い家賃に見合う設備や立地が伴っていないと、割高感が出てしまい、問い合わせすら入らないこともあります。
たとえば、同じエリアに12万円の似たような物件が複数ある中で、あなたの物件だけ15万円に設定すると、「設備が古いのに高いな」と感じられて避けられる可能性があります。空室が3カ月続くと、それだけで45万円の機会損失になります。
家賃は高く設定すれば良いというものではありません。適正かつ決まりやすい金額にして「早く借りてもらう」ことが、結果的に収益を安定させるコツです。
賃料だけでなく「初期費用」や「条件面」も競合になる
家賃が他の物件と同じくらいでも、「初期費用」や「入居条件」がネックになると、借り手がつきにくくなることがあります。
借り手が物件を探すときは、家賃だけでなく「礼金・敷金の金額」「即入居できるか」などの条件も重視します。他の物件より初期費用が高かったり制約が多かったりすると、比較されたときに不利になるのです。
たとえば、同じエリアで家賃13万円の物件が2つあったとします。一方は「礼金・敷金ゼロで即入居可能」、もう一方は「礼金1カ月・敷金2カ月・入居は2か月後」となれば、前者の方が人気が出るのは明らかです。家賃は同じでも、実際の出費や使い勝手で判断されるのです。
借り手にとって魅力的な物件にするには、家賃だけでなく「初期費用」や「入居条件」も整えておく必要があります。
一軒家の正確な相場を知りたいならば賃料査定がおすすめ
 
ここまで、「一軒家を貸したい」と考えている方に向けて、相場の調べ方や家賃に影響するポイント、注意すべき点などを解説してきました。
ここまで読んで、「なんとなく自分の家はこのくらいで貸せそう」というイメージがついた方も多いと思います。ただし、実際の賃料は立地や築年数だけで決まるものではなく、近隣の成約実績やタイミング、借り手のニーズによって常に変動しています。
自己判断で相場より高く設定してしまい、空室が長引く…というケースは少なくありません。
さらに、不動産会社の中には、売却には強いけれど賃貸に不慣れな会社もあります。そうした会社を選んでしまうと、契約書の作りが甘かったり借り手とのトラブル対応が不十分だったりと、後から後悔する原因になることもあります。
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まとめ
本記事では「一軒家を貸すときの相場」について詳しく解説してきました。最後に、要点を簡単にまとめておきます。
◆【基礎知識】一軒家を貸すときの相場(全国平均・エリア・間取り・築年数別)
・【都道府県ごと】一軒家を貸すときの家賃相場:4万円〜9万円程度
・【居住室数別】一軒家を貸すときの家賃相場:4室なら約6.5万円が平均
・【建築時期別】一軒家を貸すときの家賃相場:築40年で家賃は半分になる
◆一軒家の相場から適正家賃を割り出す方法
・【ステップ1】不動産情報サイトで最寄り駅・間取り・築年数・構造を合わせて検索する
・【ステップ2】一覧から「ハズレ値」を除いて相場の参考にする
・【ステップ3】相場に個別の要素を加点・減点して賃料を算出する
◆一軒家を貸すときの賃料に影響を与える11の項目
・地域ごとの家賃相場(都心・地方など)【影響度:★★★★】
・間取り・広さ(3LDK・4LDKなど)【影響度:★★★】
・築年数(築45年で家賃は半額になる)【影響度:★★★】
・周辺環境(利便性・学区・治安など)【影響度:★★★】
・建物構造(木造かRC造かなど)【影響度:★★】
・リフォーム・リノベーションの有無【影響度:★★】
・駐車場の有無・台数・屋根など【影響度:★★】
・水害などのハザードリスク【影響度:★★】
・ペット飼育の可否【影響度:★】
・収納の多さ・家の使いやすさ【影響度:★】
・その他【影響度:★〜★★★(ケースによる)】
◆相場をもとに一軒家を貸すときの注意点
・実際の想定家賃は賃料査定に出してみないと分からない
・賃料査定の金額でかならず貸せるとは限らない
・家賃は高ければ良い訳ではない(決まりにくくなる)
・賃料だけでなく「初期費用」や「条件面」も競合になる
一軒家を貸す場合の適正家賃は、家を見てみなければわからない部分が大きいものです。まずは複数の不動産会社に見積をしてもらって、「いくらで一軒家を貸すことができそうか」を確かめてみましょう。
 
				Author information
河上 隼人
						1980年11月8日生まれ
						広島県出身
						株式会社エイムプレイス 代表取締役
						
						インターネットメディア事業「マンション貸す.com」を運営し、不動産オーナーと不動産会社をつなぐ架け橋として活動。効率的で自由度の高い経営スタイルを追求しながら、自らも日々学び続けている。
						
						趣味はトレーニングと健康的なライフスタイルづくり。毎日の冷水シャワーを日課とし、体幹トレーニングではアブローラーの“立ちコロ”を悠々こなす。数年前にお酒をやめてからは、心身ともにすっきりとした日々を楽しんでいる。
						「挑戦と進化」をテーマに、自然体で自分らしい生き方を磨き続けている。
					
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